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2026.7.24
取材レポート【京都文化博物館】『マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking -Beauty, Dream, Love』「花柄」に否定的だった?「ウニッコ」の誕生秘話から読み解く
京都文化博物館にて『マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking -Beauty, Dream, Love』が開幕しました。色鮮やかなドレスやプリントが並び、眺めているだけでも楽しい気分になれる展覧会です。
右も左も可愛いドレスばかりでキョロキョロしながら会場を歩いていたのですが、そんななか、ある一枚のキャプションに目が留まりました。
そこには、「マリメッコの創業者は花柄のパターンに否定的だった」とあります。
マリメッコと聞けば「ウニッコ」という花柄をイメージする人も多いはず。それほど花柄のイメージが強いブランドですが、創業まもない頃は、むしろ花柄は避けられていたのです。
ウニッコが生まれたのは、そうした環境であえて花柄に挑んだ1人のデザイナーがいたから。その誕生秘話を手がかりに、本展が掲げる「模様のちから」を読み解いていきましょう。
花が好きなのに花柄を作らなかった理由
1951年にマリメッコを創業したアルミ・ラティア。決して花を嫌っていたわけではなく、花が大好きだったそうです。花を贈り物にしたり、マリメッコの社内に生花を飾ったりしていました。
だからこそ、テキスタイルにおける「花柄」にも一家言あったよう。「花はあまりにも美しく、テキスタイルに表現するにはふさわしくない」という考えがあり、野生の花の意匠を生地に取り入れようとはしませんでした。
また、創業当時の世間では小さくて可憐な花柄が流行していたそう。新しくて大胆なものを創造しようとしていたマリメッコにとって、流行りを真似することは眼中になかったのです。
こうした背景があり、花柄プリントはマリメッコでは扱われていませんでした。ところが、1人のデザイナーが花柄に挑戦。その人こそ、「ウニッコ」の生みの親であるマイヤ・イソラです。
あえて花柄に挑んだデザイナー、マイヤ・イソラ
マイヤ・イソラは創業期からマリメッコを支えたデザイナーのひとりで、彼女がデザインしたパターンは全部でなんと500を超えるそうです。ラティアとも深い交流があり、彼女の花柄への考え方も知らなかったわけではないと思われますが、それでもイソラはマリメッコで花柄に挑みました。
ときは1964年。イソラは花を写実的に描くのではなく、抽象化していくつかのデザインへ落とし込みました。彼女が生み出した大胆かつ躍動感のあるパターンは従来の花柄の枠にはまらず、新しいものを創造するマリメッコの方針とも調和。花柄に否定的だったラティアにも認められました。
そのうちの1枚が、こんにちのマリメッコを代表する「ウニッコ」です。
ウニッコとは、フィンランドで「ケシの花」のこと。ですが、実物のケシの花の造形に捉われないデザインで、シンプルかつ抽象的なのに溢れんばかりの生命力を感じられます。赤とピンクの大ぶりな花びらが白い生地を埋め尽くすパターンは、それまでのマリメッコにもなかった前衛的なものでした。
これを機にマリメッコでは花を抽象化したパターンが開拓されるようになり、ウニッコはその伝統の出発点にもなりました。特定の時代や様式に縛られないデザインで、今もさまざまなプロダクトに使われる定番のパターンとなっています。
ウニッコだけではないかも?パターンが秘める物語
本展にはウニッコを含む約70点のドレスが展示され、マリメッコが生み出してきた多彩なパターンに触れることができます。どれも色や模様に豊かな個性があり、眺めるだけで気持ちが明るくなります。
ですが、ウニッコの誕生秘話を知ると、展示の見え方が変わってくるのではないでしょうか?
ウニッコだけでなく、どのパターンにもデザイナーの挑戦と試行錯誤があるのかも…。そんな風に想像を膨らませたとき、目の前に並ぶ数々のドレスがさらに輝いて見えました。
模様は、今に至るまでにマリメッコのデザイナーたちが積み重ねてきた創造と挑戦の結晶。だからこそ、ただ視界を華やかにするだけでなく、私たちの深くにまで届いて心を動かす力を持っているのだと思います。それこそが、本展がタイトルに掲げる「模様のちから」ではないでしょうか。
展覧会を訪れたら、ぜひお気に入りの「模様」を探してみてください。その模様には、どんなストーリーがあるのでしょうか? 想像を巡らせてみると、本展がもっと楽しくなるかもしれません。
【特設ショップ情報】夏におすすめのオリジナルティー
展覧会のキービジュアルを活用したグッズや、マリメッコの定番商品などが並ぶ賑やかなショップ。おすすめはルピシアとコラボしたオリジナルティーです。
フィンランドで親しまれているブルーベリーやカシスをブレンドした紅茶で、甘酸っぱい風味が爽やかで夏にぴったり。水出しアイスティーで飲みたい、スッキリとした味わいです。
展覧会情報
◆マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking -Beauty, Dream, Love
会場:京都文化博物館 4・3F展示室
会期:2026年7月4日(土)~9月6日(日)
休館日:月曜日(7月20日は開館)、7月21日(火)
開室時間:10:00~18:00(毎週金曜は19:30まで)※入場は閉室の30分前まで
京都展公式サイト:マリメッコ展 模様のちから
◆巡回情報
東京都庭園美術館 本館・新館:2026年10月3日(土)~12月20日(日)
ひろしま美術館:2027年1月30日(土)~3月28日(日)
北九州、富山、名古屋、長崎ほかへ巡回予定
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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
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