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2024.4.11
『デ・キリコ展』が東京と神戸で開催!「形而上絵画」を生み出した画家の全体像に迫る
デ・キリコ(1888-1978)は「形而上絵画」と名付けた作品によってシュルレアリスムの画家をはじめとした、数多くの芸術家に衝撃を与えた画家です。このたび、東京都美術館にて2024年4月27日(土)~8月29日(木)、神戸市立博物館にて2024年9月14日(土)~12月8日(日)までの期間、デ・キリコ芸術の全体像に迫る大回顧展『デ・キリコ展』が開催されます。
この記事では、本展の見どころや、デ・キリコの魅力を紹介します。
唯一無二の表現力を持った画家、デ・キリコとは?
ジョルジョ・デ・キリコは、1888年にイタリア人の両親のもとギリシャのヴォロスで誕生しました。父の死後、母と弟とともにミュンヘンへと移り美術学校に通います。その間、デ・キリコはフリードリヒ・ニーチェの哲学や、アルノルト・ベックリン、マックス・クリンガーらの作品に触れ、大きな影響を受けました。
1910年頃には、最初の「形而上絵画」シリーズの作品を制作し、さまざまな前衛画家たちへ大きな影響を与えていきます。
しかし、1919年以降のデ・キリコは伝統的な絵画への関心が増したことで、古典的な主題や技法を用いた作品を手がけるようになり、シュルレアリスムたちと険悪な関係になります。
そんな中でも、過去に描いた「形而上絵画」の再制作を行い、1968年頃からは「新形而上絵画」と呼ばれる新たな作品を生み出していきます。
デ・キリコは前衛画家や批評家への厳しい態度や、常識を逸脱した哲学的な作品により、時に非難されることもありました。それでも弟や妻など身近な存在が理解者となり、世間の評価に左右されることなく、およそ70年にもおよぶ芸術家人生を貫き通したのです。
「形而上絵画」とは?
デ・キリコに触れる上で切り離せない、代名詞ともいえるシリーズが「形而上絵画」です。
「幻想的」「神秘」「不思議」「不安」といった、非日常的な雰囲気をまとうそれらの作品は、サルバドール・ダリやルネ・マグリットといった後のシュルレアリスムの画家をはじめとした、数多くの画家へ衝撃を与えます。
簡潔明瞭な構成で広場や室内が描かれているのにもかかわらず、歪んだ遠近法、脈絡のない特異なモティーフの配置、空間と時間のズレなど、幻想的な雰囲気によって、日常に潜む非日常を絵画化しています。
本展では、1910年代に制作された初期の「形而上絵画」、一転して西洋絵画の伝統に回帰した作品、晩年の「新形而上絵画」まで、100点以上の作品が展示されます。とりわけ多くの画家へ衝撃を与えた1910年代の「形而上絵画」は世界中に散らばっており、まとめてみられる貴重な機会となっています。
デ・キリコ芸術の全体像に迫る
大回顧展となる本展、「形而上絵画」だけでなく、多岐にわたるデ・キリコの芸術活動にも焦点をあてます。
初期から取り組んできた自画像や、肖像画に注目した最初のセクションでは、様々な衣装をまとい、自己を演出するデ・キリコをご覧いただけます。《17世紀の衣装をまとった公園での自画像》や、その絵画の前でポーズを取る姿を映した写真から、デ・キリコの人となりに迫ります。
また、デ・キリコ自身の原体験が密接に関係している「イタリア広場」では、《バラ色の塔のあるイタリア広場》や《イタリア広場(詩人の記念碑)》などが展示されます。
そのほか「形而上的室内」「マヌカン」などのテーマに分け、初期から晩年までの絵画を紹介します。
さらに、西洋絵画の伝統へと回帰したネオバロック期の作品や、彼の手がけた彫刻作品や挿絵、舞台衣装のデザインなども展示されます。絵画のみに留まらない幅広い創作活動をご覧いただけます。
大回顧展となるこの機会に是非、デ・キリコの魅力を堪能してみては。
役者のムロツヨシさんが音声ナビゲーターに!
今回音声ガイドナビゲーターを務めるのは、ドラマ・映画・舞台で活躍する役者のムロツヨシさん。「形而上絵画」をわかりやすく解説してくれます。
ムロツヨシさん コメント
ひとりの表現者として、何ができるか。
皆さまとデ・キリコの作品との出合いに、お供させて頂けたら嬉しい限りです。
宜しくお願い致します、ムロツヨシです。
【プロフィール】
ムロツヨシ(役者)
1976年1月23日生まれ、神奈川県出身。
大学在学中に役者を志し、99年に作・演出・出演を行った独り舞台で活動を開始、
映画「サマータイムマシン・ブルース」をきっかけに映像にも活動を広げる、
現在映画、ドラマ、舞台とジャンルを問わず活躍中、、、
■音声ガイド 貸出料金:
会場レンタル版 1台650円(税込)
アプリ配信版(iOS/Android)「聴く美術」 販売料金700円(税込)
※配信期間 2024年4月27日~12月15日(予定)
開催概要
東京
会 期:2024年4月27日(土)~8月29日(木)
会 場:東京都美術館(東京・上野公園)
休室日:月曜日、5月7日(火)、7月9日(火)~16日(火)
※ただし、4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)、7月8日(月)、8月12日(月・休)は開室
開室時間:9:30~17:30、金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
観覧料金(税込):一般2,200円(2,000円)、大学生・専門学校生1,300円(1,100円)、65歳以上1,500円(1,300円)
※土曜・日曜・祝日及び8月20日(火)以降は日時指定予約制(当日空きがあれば入場可)
※( )内は前売料金。2024年3月14日(木) 10:00 ~ 4月26日(金) 23:59までの販売。
※高校生以下無料。
神戸
会 期:2024年9月14日(土)~12月8日(日)
会 場:神戸市立博物館
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト:『デ・キリコ展』
【関連記事】
デ・キリコはどんな芸術家?作品の特徴と見どころを簡単に解説!
https://irohani.art/study/16769/
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美術大学彫刻コースを卒業後、アートギャラリーで働いています。粘土を触ったり、ものをつくること、動物や自然が好きです。
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