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2024.7.12

ミニチュア写真家/見立て作家・田中達也!アイデア創出の原点に迫る

日用品を別のものに見立て、ミニチュア人形と組み合わせた作品写真をSNSで発表し、人気を集めるミニチュア写真家・見立て作家、田中達也の展覧会「田中達也展 みたてのくみたて」が、2024年8月1日(木)から28日(水)まで日本橋髙島屋S.C.本館8階ホールで開催されます。
日本初公開となる約160点の写真と立体作品が展示され、多彩な新作が揃います。全作品が写真撮影可能で、自分がミニチュア人形になったようなフォトスポットも用意されており、ミニチュアの世界に入り込んだような感覚を楽しめます。

列車のくみたて「くみたて」より(福音館書店) ©Tatsuya Tanaka

田中達也とは

2017年から開催されている「MINIATURE LIFE展」は、国内外へ展開しています。また、2017年にはNHK連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバックを担当し、2020年にはドバイ国際博覧会日本館のクリエイターとして参画しました。近年では絵本作家としても活動しており、「くみたて」(福音館書店)や「おすしが ふくを かいにきた」(白泉社)などの絵本を出版しています。

田中達也作品の魅力

田中達也は、日常の物を別の物に見立てるアート「MINIATURE CALENDAR」をInstagramで毎日発表しているミニチュア写真家・見立て作家です。2011年から毎日欠かさず作品を発表し続け、投稿数は5800を超えました。コロナ禍で3日間ホテル隔離を余儀なくされた際も、ホテルのアメニティやベッドのシーツを使って作品を完成させ、投稿を続けました。
見立てのきっかけは、それまでミニチュアを撮影していた田中が、ある日、食卓に残ったブロッコリーをお皿に置き、木に見立てて撮影した作品がInstagramで多くの「いいね」を集めたことから始まりました。
ポイントは、誰もが知っている身近な物をモチーフにすること。多くの人が「ブロッコリーは木に見えるよね」と共感できるシンプルなアイデアが、Instagramのフォロワー数約380万人(2024年7月現在)という人気につながっているのかもしれません。ちなみに、見立て作品の第一号となったブロッコリーには「小さな幸せ」という花言葉があり、このミニチュアの見立てアートに偶然にもぴったりでした。

菓製婦は見た ©Tatsuya Tanaka

アイデアを考える際には、買い物に行くことが多く、物がたくさん並んでいる様子を見てヒントを得るそうです。また、同じモチーフでもサイズを変えることで異なる見立てが可能になります。例えば、ホッチキスの針は、大きく見るとビルに見え、中くらいに見ると飛行機のタラップの階段、小さく見ると机の上に積まれた書類に見えます。比較する人の大きさを変えることで、同じホッチキスの針でもさまざまな見立てが広がります。

胞子の帽子 ©Tatsuya Tanaka

ミニチュア人形のうち、約70%は既製品を使用し、約30%は既製品を改造したり、3Dプリンターで制作しているそうです。これにより、見立てにぴったり合う大きさの人物を作ることができます。ちなみに、田中は10万体以上のミニチュア人形や、50万点以上の文房具や食品サンプルを所有しています。


田中の作品のもうひとつの魅力は、ユーモアに富んだタイトルです。作品に登場するミニチュアの形だけでなく、タイトルの言葉遊びも楽しむことができます。例えば、「花火ボンボンボーン盆」という作品では、菊の花を花火に見立て、花火の音をお盆にかけています。花火は一瞬で終わりますが、菊は日持ちが良いため墓前に供えられることが多いという言葉のギャップもあり、裏側を読み取ることで作品のより深い意味を楽しめます。

今日も1日ガムばろう ©Tatsuya Tanaka

「どうしてアイデアが尽きないのですか?」と聞かれた時、田中は2011年から毎日作品を発表し続ける中で、見立てのアイデアを見つけ出し、組み立てる方法が自然に身についたと答えます。今回の展覧会「みたてのくみたて」は、この問いに対する田中なりの答えを示す展覧会となっています。

展覧会の見どころ

「見立て」の発想の起点を7つのゾーンに分類し、田中のアイデア創出の原点を明らかにしていきます。

HOME 暮らしから生まれるアイデア

「HOME」のゾーンでは、身近なものや日常の風景から着想を得た作品を展示しています。「見立て」の魅力は、私たちが普段使っている日用品などの一般的な物を、別の視点から捉えて新たな意味や面白さを見出すことにあります。

この波にかける ©Tatsuya Tanaka

FORM 形から生まれるアイデア

「FORM」のゾーンでは、物体の「形」に着想を得た作品を展示しています。田中は、「見立て」のアイデアを考える際に、形をシンプルに捉えることから始めます。四角い積み木の上に三角形の積み木を置くと「家」ができるように、基本的な形を用いて考えることで、多様なアイデアを探り出します。

メガネでかけ回る ©Tatsuya Tanaka

COLOR 色から生まれるアイデア

「COLOR」のゾーンでは、「色」に着想を得た作品を展示しています。例えば、海を思い浮かべるとき、多くの人は青を想像しますが、実際には荒波の灰色の海や南国のエメラルドグリーンの海など、さまざまな色の海があります。色のイメージを簡略化することで、連想しやすい見立てを見つけやすくなります。

アイスることを誓います ©Tatsuya Tanaka

SCALE 大きさを変える

「SCALE」のゾーンでは、形や色とは異なる「大きさ」に注目した作品を展示しています。大きさの基準を変えることで、同じモチーフでも印象が変わります。ホッチキスの針は、1/24スケールだと書類の束に見えますが、1/2500スケールだとビルのように見えるなど、視点が変わることで見立ても変わってきます。

コーンなバッグはいかがでしょう? ©Tatsuya Tanaka

MOTION 動きや変化を考える

「MOTION」のゾーンでは、「動き」や「変化」に焦点を当てた作品を展示しています。例えば、メトロノームの振り子の動きをシンプルに捉えると、左右に往復する動きになります。このように、「往復するもの」や「回転するもの」など、形は異なっていても動きが似ているものを連想していきます。

LIFE 生き物に置き換える

「LIFE」のゾーンでは、寿司やアイス、ソーセージなどが買い物客や店員に擬態した仮想世界を描いた著書『おすしが ふくを かいにきた』の世界を体感できます。まぐろの刺身を身にまとったお寿司が新しい洋服を買いに来るシーンを再現したミニチュア作品などが展示されています。

おすしが ふくを かいにきた「おすしが ふくを かいにきた」より(白泉社) ©Tatsuya Tanaka

WORLD 世界共通の視点から考える

「WORLD」のゾーンでは、多様性が重要視される時代においても、世界各国に共通するテーマに基づいた作品を展示しています。人々がそれぞれ異なる背景を持ちながらも、同じ地球に暮らす人間としての共通点を見立てに反映した作品を通じて、「世界はつながっている」という田中のメッセージを感じ取ることができます。

プロポーズの切り札 ©Tatsuya Tanaka

開催概要

展覧会名 田中達也展 みたてのくみたて MINIATURE LIFE MITATE MIND
会期 2024年8月1日(木)〜28日(水) ※8月21日(水)は休業日
会場 日本橋髙島屋S.C.本館 8階ホール
〒103-8265 東京都中央区日本橋2-4-1
開館時間 10:30〜19:00(19時30分閉場)
※最終日8月28日(水)は17:30まで(18時00分閉場)
入館料 前売券:一般 1,000円/大学・高校生 800円
当日券:一般 1,200円/大学・高校生 1,000円 中学生以下無料
アクセス JR「東京駅」八重洲北口から徒歩5分
東京メトロ銀座線・東西線「日本橋駅」直結
都営地下鉄浅草線「日本橋駅」から徒歩4分
展覧会HP 田中達也展 みたてのくみたて

【写真10枚】ミニチュア写真家/見立て作家・田中達也!アイデア創出の原点に迫る を詳しく見る
つくだゆき

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東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。

東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。

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