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EVENT

2024.12.2

【大阪】『歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力』が開催へ。国芳の名品が大阪中之島美術館に大集結!

江戸時代末期を代表する浮世絵師の一人であり、武者絵から戯画、風景画など幅広い分野で活躍した歌川国芳(1797〜1861年)。その独創的な発想と卓越した画力による斬新な作品は、浮世絵というジャンルや時代を超え、今も多くの人々の心を引きつけています。

大阪では13年ぶりの大規模な個展『歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力』が、2024年12月21日より大阪中之島美術館にてスタートします。

圧倒的な想像力と画力!江戸時代末期の浮世絵師、歌川国芳とは?

《相馬の古内裏》弘化2〜3年(1845〜46)頃 個人蔵

まず歌川国芳のプロフィールについてご紹介します。寛政9年(1797)、江戸の日本橋にて染物業を営む家に生まれた国芳。

12歳の時に描いた鍾馗の絵が初代歌川豊国に認められたことをきっかけに、15歳にて弟子入りを果たします。しかし下積み時代は長く、若い頃は役者絵を描くなどして活動したものの、あまり人気を集めませんでした。

そうした国芳が世に知れ渡ったのは30歳を過ぎてからのことです。当時、流行していた中国の小説『水滸伝』の錦絵のシリーズを国芳が手がけるとヒット。

豪傑を一人一人描いた《通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)》連作/シリーズが大当たりし、「武者絵の国芳」として一躍、浮世絵界のスターダムへとのしあがりました。

《鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘》弘化2年(1845)頃 個人蔵

その後は、武者絵や戯画、風景画、美人画、歴史画などさまざまな分野で活動。国芳が46歳の時、「天保の改革」のもとで役者絵など浮世絵全般に対する取り締まりが厳しくなりますが、それでも例えば役者を描くかわりに猫をモチーフに役者の似顔絵を表すなど、持ち前の才知を活かした作品を発表し、人々から喝采を浴びます。

後進の育成にも力を入れた国芳は、芳幾や芳年などの優れた弟子たちを生み出し、一門を築き上げて、江戸の浮世絵史に大きな足跡を残したのです。

『歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力』の3つの見どころ

歌川国芳展 見どころ①「武者絵の国芳」による魅惑のヒーローが大集合!

《吉野山合戦》嘉永4年(1851)頃 個人蔵

30歳代はじめ「水滸伝」の英雄を描き、遅咲きの成功を手にした国芳。3枚続きの大画面を活かしたダイナミックな構図や物語の決定的瞬間をつかむ表現など、武者絵は国芳の手で大きく進化します。

その魅力は現代の漫画やアニメに通じるとも言われるほど。豪傑たちの個性や物語の緊迫感を生き生きと描いた国芳はキャラクターの心理描写にも長け、歴史画以上の深みを作品に与えました。

本展では出世作の「通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)」連作/シリーズから、最晩年の6枚続きの大作《四条縄手の戦い》(前期のみ)など、国芳の代名詞である武者絵の名品が一堂に並びます。

歌川国芳展 見どころ②お江戸に笑いを提供!機知に富む国芳の描いた戯画の魅力とは?

《きん魚づくし ぼんぼん》天保13年(1842)頃 個人蔵

笑いを誘い、巧妙な暗喩や寓意を用いつつ、時に風刺を潜ませた戯画も、国芳の得意としたジャンルの一つです。猫、金魚、鳥をはじめ、道具や玩具を擬人化させたり、絵に二重の意味を持たせたり、言葉遊びを織り込んだりと、手を替え品を替えては多くの戯画を描きました。

そして天保13年(1842)に、江戸幕府によって役者や遊女を描くことが禁止された際も、戯画による笑いと風刺で苦境を乗り切ります。国芳の戯画における深い洞察力と巧みな表現は、幕末の混乱や社会矛盾をも鋭く描き出しているのです。

歌川国芳展 見どころ③ 新発見作品も登場。大の猫好きだった国芳のアイデアと観察眼に大注目!

《流行猫の変化》天保12〜13年(1841〜42)頃 個人蔵

大の猫好きで知られる国芳は、絵を描く時も懐中で仔猫を可愛がったと伝えられるほどでした。国芳の猫たちは、 戯画、役者絵、美人画などのさまざまなジャンル登場。そして人気役者に扮したり、遊郭の客になったりと、人間顔負けの活躍ぶりを見せます。

本展では、猫を描いた新発見作品の 《流行猫の変化》(通期)も公開します。国芳が姿勢や表情に絶妙な愛嬌を込めて表現した猫たちに注目しましょう。

講演会、ギャラリートーク、イベント情報

《忠臣蔵十一段目夜討之図》天保2〜3年(1831〜32)頃 個人蔵

会期中に行われる関連イベントの情報です。

講演会「国芳の個性とその魅力」

開催日時:2025年1月11日(土)14:00~15:30(開場13:30)
講師:浅野秀剛(あべのハルカス美術館館長、大和文華館館長)
会場:大阪中之島美術館 1階ホール
定員:150名
料金:無料。先着順。ただし本展の観覧券(半券可)が必要。

講演会「北斎・広重と国芳の奇想」

開催日時:2025年1月26日(日)14:00~15:30(開場13:30)
講師:安村敏信(静嘉堂文庫美術館館長)
会場:大阪中之島美術館 1階ホール
定員:150名
料金:無料。先着順。ただし本展の観覧券(半券可)が必要。

担当学芸員によるギャラリートーク

開催日時:2025年1月15日(水)、2月5日(水)11:00~12:00
定員:30名
料金:無料。ただし当日ご利用になられる観覧券が必要です。
申込:展覧会WEBサイトにて公開するイベントページから申込みください。

こども本の森 中之島×大阪中之島美術館 出張!ほんのもりピクニック

屋内ピクニックスペースで絵本を手に取って見ていただけます。こども本の森 中之島のスタッフによる読み聞かせも行います。
開催日時:2025年2月1日(土)10:00~16:00
会場:大阪中之島美術館 1階ワークショップルーム
対象:どなたでも ※読み聞かせは、こども向けの内容となります。
料金:無料・事前申込不要

講演会やギャラリートークに参加し、より国芳や江戸の浮世絵師について理解を深めるのも良いのではないでしょうか。詳しくは展覧会WEBサイト をご覧ください。

まとめ:約400点が集まる歌川国芳展の決定版!

《日本駄右ェ門猫之古事》弘化4年(1847) 個人蔵

「武者絵・説話」、「役者絵」、「美人画」、「風景」、「摺物と動物画」、「戯画」、「風俗・情報・資料」の7つのセクションに加え、特別展示として「肉筆」からなる本展の出品作品は約400点と膨大。武者絵や戯画をはじめとする幅広い画題の浮世絵版画や貴重な肉筆画などが集結する、国芳展の決定版と呼んでも過言ではありません。※本展は、前期・後期で大幅な展示替えがあります。

《みかけハこハゐがとんだいゝ人だ》弘化4年(1847)頃 個人蔵

創造と挑戦で時代を彩った奇才の浮世絵師、歌川国芳の偉業を、『歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力』にて目の当たりにしてください。

展覧会情報

『歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力』 大阪中之島美術館 4階展示室
開催期間:2024年12月21日(土)~2025年2月24日(月・休)
前期:2024年12月21日(土)〜2025年1月19日(日) 後期:2025年1月21日(火)〜2025年2月24日(月・休)
所在地:大阪市北区中之島4-3-1
アクセス:京阪中之島線 渡辺橋駅(2番出口)より南西へ徒歩約5分、Osaka Metro四つ橋線 肥後橋駅(4番出口)より西へ徒歩約10分。
開場時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日、12月31日、1月1日、1月14日
 ※1月13日(月・祝)、2月24日(月・休)は開館
観覧料:一般1,800円(前売・団体 1,600円)、高大生1,500円(前売・団体 1,300円)、小中生500円(前売・団体 300円)
展覧会HP:歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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