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2025.1.19
古都奈良の絵画史を巡る旅!特別展「大和の美」で古代から現代までの美の系譜に触れる
古都奈良が秘める芸術的魅力をご存知でしょうか?悠久の歴史の中で育まれた寺院や神社、そして豊かな自然は、多くの芸術家たちにインスピレーションを与え、独自の文化を花開かせてきました。
2025年1月18日から3月9日まで、奈良県立美術館で開催される特別展「大和の美 ~古都を彩った絵師たちの競演」では、中世から現代までの奈良ゆかりの絵画作品を通して、その魅力を余すことなく堪能できます。
この記事では、美術初心者の方にも分かりやすく、展覧会の見どころや関連情報をご紹介します。
目次
特別展「大和の美」の概要と魅力
本展は、普段なかなか目にする機会のない奈良ゆかりの絵画作品を、古代から現代まで網羅的に展示することで、奈良の美術史を包括的に理解できる貴重な機会です。単に作品を鑑賞するだけでなく、時代背景や絵師たちの生き様、そして奈良という土地が美術に与えた影響を知ることで、より深く作品の魅力を感じることができます。
特に注目すべきは、これまであまり知られていなかった絵師たちの作品に光が当てられている点です。教科書には載っていないような、地元で活躍した絵師や、奈良に滞在したことで独自の画風を確立した絵師たちの作品を通して、多様な奈良の美術に触れることができます。
さらに、併設展示「大和の工芸」では、正倉院宝物に見られる伝統技術から、近世に発展した赤膚焼や奈良人形一刀彫まで、奈良の工芸品も展示されます。絵画と工芸、両方の視点から大和の美を堪能できる、まさに至福の空間と言えるでしょう。
古代から現代まで:奈良絵画の変遷を辿る
本展は、時代ごとに章立てされており、奈良絵画の流れを分かりやすく理解することができます。それぞれの章の見どころを詳しく見ていきましょう。
序章:古代・ヤマトの美 - 国際色豊かな古代絵画の世界
高松塚古墳壁画や法隆寺金堂壁画、正倉院宝物などの模写作品を通して、古代大和の国際色豊かな絵画文化に触れることができます。
第1章:中世・南都の美 - 寺社文化と南都絵所の隆盛
中世奈良では、寺社文化が美術の発展に大きな役割を果たしました。
南都絵所と呼ばれる絵師集団が活躍し、仏画や肖像画など、様々なジャンルの作品を生み出しました。この章では、鑑貞や山田道安といった代表的な絵師の作品を中心に、信仰と深く結びついた中世絵画の世界を堪能できます。
第2章:近世・大和の美 - 武家社会と多様な絵画表現
近世に入ると、武家社会の影響を受けながら、大和絵は新たな展開を見せます。
柳沢淇園や画僧・古礀、そして幕末の志士たちの作品からは、当時の社会情勢や人々の思想を反映した多様な表現を見ることができます。また、名所旧跡を描いた作品からは、当時の奈良の風景を想像し、旅情に浸ることもできます。
特集展示:奈良洋画の黎明 没後100年 大村長府 - 東洋思想と西洋画の融合
本展の目玉の一つが、大和郡山市出身の洋画家・大村長府の特集展示です。
精緻な祭礼図や神秘的な風景画を通して、東洋思想に基づく独自の審美眼を確立した大村の画業を振り返ります。西洋画の技法を取り入れながらも、日本の伝統的な美意識を表現した作品は、見る者に深い感銘を与えます。
第3章:近現代・奈良の美 - 洋画 - 近代化の中で花開いた奈良の洋画
近代化の波が押し寄せた時代、奈良でも西洋画が盛んに制作されるようになりました。
東京美術学校で教鞭をとった中村勝治郎や、須田国太郎といった、奈良で洋画教育に貢献した画家たちの作品、そして文豪・志賀直哉や東大寺・上司海雲などの洋画家たちの作品を通して、近代奈良の洋画の活況を感じることができます。
第4章:近現代・奈良の美 - 日本画 - 伝統と革新が織りなす日本画の世界
近代の日本画壇においても、奈良は重要な役割を果たしました。
春日絵所預を務めた大坪正義や吉川観方、そして平山郁夫や畠中光享、安田靫彦、小倉遊亀といった、奈良にゆかりのある著名な日本画家たちの作品は、伝統を継承しつつも新たな表現に挑戦する、彼らの情熱を感じさせます。
併設展示「大和の工芸」:美と技の共演
絵画だけでなく、奈良の工芸品も楽しめるのが本展の魅力です。
正倉院宝物に代表される漆工や木工、近世に発展した赤膚焼や奈良人形一刀彫、そして能面や刀剣など、多様なジャンルの工芸品が展示されます。
絵画と工芸、それぞれの視点から大和の美に触れることで、より深く奈良の文化を理解することができます。
イベント情報:講演会、美術講座、ギャラリートークで理解を深める
会期中には、展覧会をより深く理解するためのイベントが開催されます。
■講演会「守り伝える大和の美 ―文化財保護の現場から―」
文化財保護の専門家による講演を通して、奈良の美術を守る取り組みについて学ぶことができます。
講師:神田雅章氏[龍谷大学文学部教授]
日時:令和7年2月24日(月・祝)14時~15時30分(開場:13時30分)
会場:当館1Fレクチャールーム(60名・当日先着順・13時から整理券配布)
■美術講座「奈良洋画の黎明 大村長府の画業」
学芸員による解説で、大村長府の画業について理解を深めることができます。
講師:松川綾子[当館学芸員]
日時:令和7年2月9日(日)14時~15時(開場:13時30分)
会場:当館1Fレクチャールーム(60名・当日先着順)
■担当学芸員によるギャラリートーク
展示作品について学芸員の解説を聞きながら鑑賞することで、新たな発見があるでしょう。
日時:令和7年1月25日(土)・3月1日(土)14時~(約1時間)
会場:当館 展示室
まとめ:古都奈良の美に触れる特別な体験
特別展「大和の美」は、古代から現代までの奈良の絵画と工芸を通して、その歴史と文化を体感できる絶好の機会です。
美術初心者から愛好家まで、誰もが楽しめる内容となっています。2025年の開催を心待ちにし、古都奈良の美の世界に浸ってみませんか?
開催概要
特別展「大和の美 ~古都を彩った絵師たちの競演」
会期:令和7(2025)年1月18日(土)~3月9日(日)
(前期)1月18日(土)~2月9日(日)、(後期)2月11日(火・祝)~3月9日(日)
会場:奈良県立美術館
住所: 〒630-8213 奈良市登大路町10-6
交通アクセス: 近鉄奈良線「近鉄奈良駅」下車徒歩約10分、JR大和路線「奈良駅」下車徒歩約20分
開館時間:9時~17時 ※入館は16時30分まで
休館日:月曜日(ただし、2月24日、3月3日は開館)、2月25日(火)
観覧料:一般800(600)円、大・高生600(400)円、中・小生400(200)円
※( )内は団体料金(20名以上)
※身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳(アプリを含む)をお持ちの方と介助の方1名は無料でご観覧いただけます。
URL: https://www.pref.nara.jp/11842.htm
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