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EVENT

2025.5.4

【京都】没後40年 鴨居玲展「見えないものを描く」5月30日から開催 — 戦後日本画壇の鬼才が描いた人間の内面

戦後日本美術界の鬼才と称された画家・鴨居玲(かもい・れい)の芸術世界に迫る特別展が、京都駅直結の美術館「えき」KYOTOで2025年5月30日(金)から7月6日(日)まで、会期中無休で開催されます。

「見えないもの」を描き続けた異才の軌跡

「人間とは何か」を問い続けた鴨居玲(1928-1985)は、単なる外見的な写実ではなく、「見えないものを描く」ことを創作の核心に据えた画家でした。金沢美術工芸専門学校(現・金沢美術工芸大学)で宮本三郎に師事した後、フランス、ブラジル、イタリア、スペインなど世界各地を巡る中で、独自の画風を確立していきました。
特に「おばあさん」や「酔っぱらい」といった市井の人々をモチーフに選び、人間の内面や自身の理念を鮮烈な筆致で表現した作品群は、今なお多くの人々の心を揺さぶります。享年57歳という短い生涯の中で、鴨居が模索し続けた「人間の心と心の関係」の探求の軌跡を、本展ではテーマ別に辿ります。

展示の見どころ

本展では鴨居芸術の核心となる5つのテーマに沿って作品が展示されます。

モティーフの模索と選択

《サイコロ》1969年頃 長崎県美術館

1960年代以前の初期作品から、後の鴨居芸術へと発展する萌芽を見ることができます。模索の時代に描かれた作品群は、若き日の鴨居の試行錯誤と芸術的探求の原点を示しています。

自画像の変遷

「自画像の画家」と称された鴨居の、初期から晩年までの自画像が一堂に会します。時代とともに変化する表情と技法を通して、内省的な眼差しで自己と対峙し続けた画家の精神世界を垣間見ることができるでしょう。

「私の村の酔っぱらい」シリーズ

1970年代のスペイン滞在時に生み出された「酔っぱらい」のシリーズは、鴨居芸術のひとつの到達点とも評されています。社会の周縁に生きる人々の生々しくも尊厳ある姿を通して、人間存在の本質に迫った作品群は必見です。

新たな挑戦「女性像」

帰国後に新たに取り組み始めた「女性像」は、鴨居にとって大きな挑戦となりました。このテーマに向かい苦悩した軌跡を追うことで、晩年の鴨居の創作の深化を感じ取ることができます。

信仰への問い「教会」

滞欧中、キリスト教文化圏で過ごす中で生まれた「なぜ自分は無宗教なのか」という問いから始まった「教会」シリーズ。宗教と人間の関係性を独自の視点で描いた作品群からは、鴨居の思想的深みを感じることができます。

さらに特別コーナーとして、1978〜70年にかけて『週刊読売』で連載された陳舜臣のエッセイ「弥縫録 中国名言集」のために手掛けた挿絵原画の一部も展示されます。文学作品との対話の中で生まれた鴨居の繊細な画業にも、ぜひ注目してください。

ギャラリートークも開催

展覧会会期中の2025年6月14日(土)14:00からは、笠間日動美術館副館長・株式会社日動画廊代表取締役副社長の長谷川智恵子氏によるギャラリートークが開催されます。鴨居玲と深い関わりを持つ専門家による約45分の解説は、作品理解をさらに深める貴重な機会となるでしょう。
事前申込は不要ですが、参加には美術館入館券が必要です。混雑時は入館制限がある場合もありますので、お早めの来場をお勧めします。

鴨居玲プロフィール

1928年、石川県金沢市に生まれた鴨居玲は、金沢美術工芸専門学校で宮本三郎に師事しました。1959年から66年にかけて、パリをはじめ南米やローマなど世界各地を巡り、1968年に日動画廊(大阪)で初の個展を開催。翌年には昭和会展優秀賞と安井賞を受賞し、画壇での評価を確立します。
再び渡欧した鴨居は、1971年にスペインにアトリエを構え、マドリード、バルデペーニャス、トレドなどに住みながら創作活動を展開。パリとニューヨークでも個展を開き、国際的な活動を続けました。1977年に帰国後は神戸にアトリエを構え、1984年に兵庫県文化賞を受賞。しかし翌1985年、神戸の自宅で57歳の若さでこの世を去りました。
短い生涯ながら、その強烈な個性と独自の表現は、日本の近現代美術史に確固たる足跡を残しています。

展覧会詳細

◆ 没後40年 鴨居玲展 見えないものを描く

【会場】美術館「えき」KYOTO(京都駅ビル内ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
https://www.mistore.jp/store/kyoto/museum/event_list/event07.html
【会期】2025年5月30日(金)~7月6日(日) 会期中無休
【開館時間】 10:00~19:30(入館締切は閉館30分前)
【入館料(税込)】
一般1,100円(900円)
高・大学生900円(700円)
小・中学生500円(300円)
※( )内は前売料金。2025年4月19日(土)から5月29日(木)まで販売。
※高・大学生の方は学生証をご提示ください。
※「障害者手帳」をご提示のご本人さまとご同伴者1名さまは、当日料金より各200円割引。
【主催】美術館「えき」KYOTO、京都新聞
【企画協力】 公益財団法人日動美術財団、株式会社日動画廊
【問合せ】 TEL 075-352-1111(ジェイアール京都伊勢丹大代表)
【前売りチケット販売場所】当館チケット窓口(休館日を除く)、チケットぴあ、ローソンチケット

見えるものの奥にある「見えないもの」を描き続けた鴨居玲の芸術世界。人間存在の根源に迫る鮮烈な作品群に出会える貴重な機会を、ぜひお見逃しなく。

【PR TIMES】「没後40年 鴨居玲展 見えないものを描く」美術館「えき」KYOTOで開催
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000388.000021989.html

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イロハニアート編集部

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アートをもっと自由に、もっとたくさんの人に楽しんでもらいたいという想いから生まれたメディア。日々、アートのイロハが分かるコンテンツを配信しています。アイコンは「イロハニくん」。アートのそばに、ひっそりと棲んでいます。

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