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2024.12.14
【東京】今週末でかけたい! アートな名建築カフェBEST3
レトロな洋館や明治時代の町家建築など、現代に引き継がれる歴史的建造物。今では貴重となった当時の建築様式や装飾の数々は、芸術作品そのものです。
見学するだけでも見応え十分な名建築ですが、空間美を楽しみながら食事やお茶を楽しめる素敵なスポットも! 今度の週末は、アートな名建築カフェに出かけませんか?
目次
慶應義塾 図書館旧館にあるカフェ八角塔で季節限定スイーツをいただきます!
名門大学にお邪魔してレトロ建築を見学!
一般の人にも開放されている慶應義塾大学。レンガ造りの図書館旧館は見学自由
慶應義塾大学 三田キャンパスは、貴重な建築物の宝庫!
創立者・福澤諭吉が存命中の明治時代に建てられたもの、曽禰達蔵や中條精一郎といった日本を代表する建築家によるものなど、歴史的価値の高い建物が数多く残されています。
なかでも図書館旧館は、国の重要文化財にも指定されている名建築。曽禰中條建築事務所により、明治45(1912)年に竣工したゴシック様式の洋館です。
赤レンガ造りの外観は、まるで教会のような美しさ。大正12(1923)年の関東大震災や昭和20(1945)年の空襲により被災してしまうものの、そのたびに修復を重ねて守られてきました。
建物内部の一部が公開されており、大学関係者以外も見学可能です。
図書館旧館の階段踊り場には、見事なステンドグラスが。シャンデリアにも注目して
建物に入って突き当たりにある中央階段には、高さ6.45m、幅2.61mもの大きなステンドグラスが飾られています。
描かれているのは、ペンを手にした西洋文明のシンボルである女神と、封建とミリタリズムの象徴である鎧をまとった武士。ラテン語でCalamvs Gladio Fortior(ペンは剣よりも強し)の文字が刻まれています。
階段を上がると、2階には「福澤諭吉記念 慶應義塾史展示館」があります。福澤諭吉の生涯と慶應義塾の160年の歴史を紹介する展示館となっており、こちらも見学自由。
大窓が並ぶ高い天井やレトロなシャンデリアなど、空間も見どころです。
建物見学のあとはカフェ八角塔でひと休み
オーストリアの建築家、ヨーゼフ・ホフマンがデザインした壁紙にも注目!
1階にある「カフェ八角塔」は、図書館旧館の一角にある喫茶店です。ネオクラシック(新古典主義)をコンセプトにした、軽食やスイーツを味わえます。
カフェ八角塔がある部屋は、図書館旧館の竣工当時は雑誌室として使われており、戦後は事務室に。昭和57(1982)年には、建築家・槇文彦により改装され展示室として使用されたそう。
寄木張りの床やシャンデリア、壁紙など展示室当時のレトロ&高級感のある雰囲気をそのまま残しています。
老舗メーカーの三越製作所が手掛けた八角形のテーブル、ドイツのトーネット社によるヴィンテージチェアなど、室内装飾も素敵なんです!
グラスの中にさまざまな味わいと食感が同居するクープ・グラッセ(800円)
看板メニューは、注文を受けてからサイフォンで一杯ずつ抽出するコーヒー。
コーヒー豆は、蔵前にあるコーヒーとチョコレートの名店・蕪木が手掛ける八角塔オリジナルブレンドです。同じく蕪木による高カカオのチョコレートサブレとのマリアージュは最高!
ランチなら、12種類のスパイスを使ったカレー、「コルリ」がおすすめです。メニュー名は福澤諭吉の著書で、日本で初めてカレーを紹介した際に、「コルリ」と訳したことが由来しているそうです。
そのほかにも毎月、限定スイーツが登場するので要チェックです。私がオーダーしたのは、桃がテーマのパフェ、クープ・グラッセ。桃のコンポート、桃ソルベ、グリークヨーグルト、自家製グラノーラなどが層を織りなす絶品でした!
店内ではカフェオリジナル商品や慶應義塾大学公式グッズも販売しています。榮太楼飴は、図書館旧館の大時計などをモチーフにした缶入りのキャンディ。パッケージが可愛くてお土産にぴったりです。
施設概要
■慶應義塾 図書館旧館
所在地:東京都港区三田2-15-45 慶應義塾大学三田キャンパス
アクセス:浅草線・三田線三田駅A3出口から徒歩7分
開館時間:10:00~18:00(最終入場17:30)
休館日:日曜・祝日、夏季休暇、年末年始
観覧料:無料
公式サイト: https://www.keio.ac.jp/ja/、https://history.keio.ac.jp/
お問い合わせ:03-5427-1200(福澤諭吉記念 慶應義塾史展示館)
■カフェ八角塔
営業時間:10:00~18:00(ランチは11:00~13:30 LO、カフェは15:00~17:30 LO)
定休日:図書館旧館に準ずる
お問い合わせ:03-5443-0377
日本初の百貨店・日本橋三越本店を探検♪
ライオン像がシンボルの本館正面玄関。「三越」の文字の上には金のマーキュリー像が
日本橋三越本店は、延宝元年(1673)年に創業した呉服店「越後屋」を前身とし、明治37(1904)年に開業した日本初の百貨店。現在の建物は昭和10(1935)年に完成したもので、まるで中世ヨーロッパのような西洋古典様式を基調とした建築がひと際目を引く名建築です。
日本橋のシンボル的存在ですが、地下鉄駅直結とアクセス便利なので、意外に外観をじっくり見る機会がないという人もいるのではないでしょうか。
ということで、今回は中央通りに面した正面玄関からアクセス。大正3(1914)年に設置された、2体のライオン像が目印です!
中央ホールではさまざまなイベントを開催。写真は三越のショッピングバッグ10周年を記念したインスタレーション(現在は終了しています)
正面玄関に入ってすぐの中央ホールは、1階から5階まで吹き抜けの大空間です。昭和初期に流行したアール・デコ様式をはじめ、世界各地の装飾が見事に融合しています。
大階段の中央にそびえる天女像、ステンドグラスが鮮やかに輝く天井の大ドーム、2階バルコニーにあるパイプオルガンなどが見どころです。
アート好きにぜひ足を運んでほしいのは、本館6階にあるアートギャラリー。日本画・洋画・工芸・彫刻・現代アートなどの展覧会を開催しており、無料で見学可能、作品を購入することもできます。
レトロ食堂の「マロンシャンテリー」がお楽しみ
今回のお目当ては、本館7階にある特別食堂 日本橋。デパートにある昔ながらの食堂の雰囲気を残したお店です。
フランスの室内装飾家ルネ・プルーが手掛けたアール・デコ様式の優雅な空間で食事や喫茶を楽しめるのが嬉しい!
オーダーしたのは、東京會舘の初代製菓長が昭和25(1950)年頃に考案したというマロンシャンテリーです。まるで純白のドレスのような生クリームの中には、食感を残した黄金色の栗ペーストをしのばせています。
生クリームと栗のみというシンプルなケーキですが、一度食べたら忘れられない味わい。
ほかにもプリン ア・ラ・モードやクレープシュゼットなどクラシックなスイーツが充実していて、優雅な午後のひと時を楽しめること間違いなしです。
マロンシャンテリー(1210円)。季節により限定フレーバーが登場することも
施設概要
■日本橋三越本店
所在地:東京都中央区日本橋室町1-4-1
アクセス:銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩1分
営業時間:10:00~19:00(フロアや店舗により異なる)
定休日:不定休
公式サイト: https://www.mistore.jp/store/nihombashi.html
お問い合わせ:03-3241-3311
■特別食堂 日本橋
営業時間:11:00~19:00(フード18:00LO、喫茶18:30LO)
定休日:不定休
公式サイト: https://www.kaikan.co.jp/branch/nihonbashi/
お問い合わせ:03-3274-8495
創業150年の老舗花屋をリノベした文化財カフェ
向かって右手の建物は現在も生花店として営業している。カフェは左手の奥
2023年にオープンした花重谷中茶屋は、国の登録有形文化財をリノベーションしたカフェ。明治3(1870)年に生花問屋として創業した花重本店の歴史を引き継いでいます。
谷中霊園の入り口にあり、古くから墓参り用の花を商っていたそう。実業家の渋沢栄一も、谷中霊園内にある徳川慶喜の墓所に供える花を求めたと言われています。
敷地内にある建物は、時代に合わせて増改築され、現在に至ります。今も生花店として営業している重厚な町家建築は、明治10(1877)年頃に建設された2階建ての木造建築。カフェへ続くアプローチ部分には、江戸時代の長屋があったそう。
最近まで生花店の作業場兼倉庫として使われていましたが、リノベーションを機に解体。当時の架構が一部残されています。
店内の至る所に植物が飾られているのは生花店ならでは。観葉植物として購入も可能
アーチ型の架構をくぐり奥へ進むと、カフェの建物が見えてきます。
大正末期から昭和初期のもので、古い柱や梁を残しつつ、耐震性も備えた鉄骨造に改装されています。
ガラス張りの窓や2階まで吹き抜けとなった空間は、開放感がありモダンな雰囲気。敷地の奥は緑豊かなガーデンテラスになっていて、天気のいい日は気持ちよさそう!
2階からアクセスできるバルコニー席もあります。ガーデンテラスと2階のバルコニーは外階段でつながっており、注文を待つ間に広いテラスなど敷地内を探検するのがおすすめです。
外階段で2階につながるガーデンテラスは立体的な造り。ペット同伴もOK
メニューはパスタやホットドッグなどのランチメニューから、フレンチトーストやモンブランなどのスイーツまで色々。名物のつぼ焼いもブリュレは、売り切れてしまうほどの人気メニューだとか。
炭の熱と壷の反射熱を利用してじっくりと焼き上げたサツマイモの甘みは格別です。
もうひとつのおすすめは、「花重」の文字が入った月餅。台湾人パティシエが作る本格的な味わいで、季節限定フレーバーも登場します。
月餅はテイクアウトできるので、谷中散策のお供にしてはいかがでしょうか?
紅はるかを使ったつぼ焼いもブリュレ880円は数量限定。北海道ソフトとともに味わって
施設概要
■花重谷中茶屋
所在地:東京都台東区谷中7-5-27
アクセス:JR日暮里駅西口から徒歩8分
営業時間:10:00~17:00 (不定期でバー営業~20:00あり)
定休日:火曜・第4水曜
公式サイト: https://www.instagram.com/hanaju_yanaka_chaya/
お問い合わせ:03-5834-8871
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旅がライフワークのブックエディター/ライター。旅行ガイドの企画・制作、紀行文の執筆などをしています。“お出かけ”をテーマにアート情報を発信します!
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