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2026.11.2
【2026年11月のおすすめ展覧会5選】オルセー美術館の名画から、円山応挙の空間革命まで。東京で見ておきたい展覧会。
11月は、海外の名品が集う大型展から、日本初の回顧展まで、注目の展覧会が相次いで開幕します。
ファン・ゴッホの《星月夜》が16年ぶりに来日するオルセー美術館展や、古い仮面に魅せられた人々の眼差しをたどる展覧会、約20年ぶりとなる円山応挙の大規模回顧展など、5つの展覧会をご紹介します。秋から冬へ向かうお出かけ先の参考にしてみてください。
目次
「いまを生きる歓び」を名画とともに。オルセー美術館展が東京都美術館で開幕|東京都美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ《星月夜》 1888年 オルセー美術館 © GrandPalaisRmn (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF
東京都美術館の開館100周年を記念して、『オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び』が開催されます。「印象派の殿堂」とも称されるオルセー美術館のコレクションから、絵画、彫刻、工芸、写真など約110点が来日。ミレー、ルノワール、モネ、ファン・ゴッホら、身近な「いま」を見つめた芸術家たちが見出した「生きる歓び」をたどります。
23年ぶりに来日するミレーの《落穂拾い》(1857年)は、貧しい農民のために刈り入れ後の畑に残された落穂を、腰をかがめて拾う3人の農婦を描いた作品です。厳しい労働の様子と、後方に広がる豊かな実りとが対比され、聖書の一場面を思わせる静けさのなかに、たくましく生きる人々の気高さと尊厳が感じられます。
ファン・ゴッホの《星月夜》(1888年)が16年ぶりの来日を果たします。描かれているのは、アルルのローヌ川越しに望む夜空と街の景色。実景そのままではありませんが、夜は「昼間よりもいきいきしていて、色彩が豊か」と弟テオに書き送ったとおり、星やガス灯、川面に映る光が輝くように表現されています。また前景には、手紙で「恋人たち」と記された2人の姿も見られます。
本展は全7編の構成で、ほかにもドガの《ル・ペルティエ通りのオペラ座の稽古場》(1872年)やカイユボットの《床削り》(1875年)、それに16年ぶりの来日となるゴーガンの《アレアレア》(1892年)といった名品が並びます。会場の空間デザインは、オルセー美術館をはじめフランスで活躍するセノグラファーのセシル・ドゥゴスが担当。「歓びにあふれた会場」がどのように築かれるのかにも期待が高まります。
ジャン=フランソワ・ミレー《落穂拾い》 1857年 オルセー美術館 © Musée d'Orsay, Dist. GrandPalaisRmn / Patrice Schmidt / distributed by AMF
『東京都美術館開館100周年記念 オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び』
開催場所:東京都美術館 企画展示室
開催期間:2026年11月14日(土)~2027年3月28日(日)
所在地:東京都台東区上野公園8-36
開室時間:9:30~17:30(金曜日は20:00まで) ※入室は閉室の30分前まで
休室日:月曜日(11月23日、1月4日、1月11日、3月22日は開室)、11月24日、12月22日~1月3日、1月12日、3月23日
観覧料:一般2,400円、大学・専門学校生1,300円、65歳以上1,600円、高校生以下無料
展覧会公式サイト:東京都美術館開館100周年記念 オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び
仮面に魅せられた人々の眼差しをたどる。鬼面、古面の再現、能面67点が集う|静嘉堂@丸の内
《木鬼面》 松浦武四郎旧蔵 年代未詳(平安〜鎌倉時代か) 静嘉堂文庫美術館蔵
「仮面」と聞いて、何を思い浮かべますか?能面やお祭りのお面、あるいは鬼の顔でしょうか。人はなぜ、顔を象る仮面に魅かれるのでしょう。静嘉堂@丸の内で開催される『THE MASKS:仮面に魅せられた人々』では、古い仮面に魅かれ、蒐め、摸した人々の眼差しを、近世から近代へとたどります。
「北海道」の名付け親である松浦武四郎は、探検家でありつつ、古物の大蒐集家でもありました。旧蔵品の《木鬼面》は、もとは蛙画の名手・松本奉時が所持していたもので、18世紀の大坂で文化サロンを築いた木村蒹葭堂周辺の文人たちの箱書が残されています。鬼面を考証する熱は18世紀に生まれ、19世紀へと引き継がれると、さらなる広がりを見せました。
彫刻家の加納鉄哉は、明治17年(1884)のフェノロサや岡倉天心による古社寺調査に同行し、東京美術学校の初代彫刻教諭を務めた人物です。静嘉堂が所蔵する鉄哉作の仮面18面は、奈良時代の伎楽面や追儺(ついな)面をもとにしながら、単なる摸造にとどまらず、鉄哉自身の解釈が加えられています。また面裏や箱の銘から、古面を「摸」した意図に迫ります。
新発田藩主・溝口家に伝来し、静嘉堂の所蔵となった能面67点が、すべて公開されます。これらの面の名や作者の読み解き方も紹介されるほか、能面を意匠に取り入れた工芸品も初公開。さらに五十代で能に傾倒した創設者・岩﨑彌之助の世界にも触れられます。またアーティストデュオ・Nerholによるポートレートと珪化木の作品が特別展示され、仮面を通して「顔」を見つめる展覧会に、現代美術の視点が重なります。
『THE MASKS:仮面に魅せられた人々』
開催場所:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
開催期間:2026年11月21日(土)~2027年1月17日(日)
所在地:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(11月23日、1月11日は開館)、11月24日、12月28日~1月1日、1月12日
入館料:一般1,500円、大高生1,000円、中学生以下無料
展覧会公式サイト:THE MASKS:仮面に魅せられた人々
ノルウェーを代表する巨匠、ニコライ・アストルップ。日本初の回顧展|東京ステーションギャラリー
《ルバーブ》1911〜21年、DNB貯蓄銀行財団/コーデ・ベルゲン美術館 Photo: Dag Fosse / Kode
ノルウェーの画家、ニコライ・アストルップ(1880~1928年)と聞いても、作品を思い浮かべる人は少ないかもしれません。しかし彼は、エドヴァルド・ムンクの17歳年下で同時代に活躍し、20世紀初頭のノルウェーで傑出した画家の一人として、近年世界的に評価が高まっています。そのアストルップの日本初の回顧展が、東京ステーションギャラリーにて開かれます。
西ノルウェーの湖畔の村、ヨルステル(現・スンフィヨルド)で育ったアストルップは、画家であると同時に園芸家でもありました。さまざまな苗木を手に入れては、自宅の庭で実験的な栽培を重ねます。幼少期を過ごした牧師館のあるオールフースの庭や、最後の住まいとなったサンダルストランの庭は、創作の源泉となった場所。会場では四季折々の現地映像も交え、庭を散策するように作品を楽しめます。
ジャンルを越境した異色ともいえる版画群にも注目しましょう。アストルップは、木版画に一点ずつ手で加筆したり、カンヴァスの上で版木による摺りと手描きを併用したりと、版画と油彩の境界を行き来する独自の手法を生み出しました。大都市の工房から遠く離れて暮らしたため、制作の工程はすべて自分で担ったといいます。本展では、木版画や油彩画と版木を合わせて紹介し、その創造の秘密に迫ります。
母親と協働したテキスタイルの仕事にも光が当てられます。地域で主導的な役割を果たしたテキスタイル作家だった母親は、アストルップが地元の植物を題材にデザインした織物を制作し、ノルウェー国内の博覧会で受賞するなど高く評価されました。幼い頃から手仕事とともにあった環境が、彼の創作に与えた影響を探ります。
《リュウキンカの夜》1915〜27年の間、DNB貯蓄銀行財団/コーデ・ベルゲン美術館 Photo: Dag Fosse / Kode
『ニコライ・アストルップ 創造する庭』
開催場所:東京ステーションギャラリー
開催期間:2026年11月21日(土)~2027年1月31日(日)
所在地:東京都千代田区丸の内1-9-1(JR東京駅 丸の内北口改札前)
開館時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(11月23日、1月11日、1月25日は開館)、11月24日、12月28日~1月2日、1月12日
入館料:一般1,800円、高校・大学生1,300円、中学生以下無料
展覧会公式サイト:ニコライ・アストルップ 創造する庭
空間ごと描いた絵師、円山応挙。「リアルの先へ」進んだ画業をたどる|江戸東京博物館
重要文化財 円山応挙「松に孔雀図襖」(部分) 寛政7年(1795) 兵庫・大乗寺 通期展示
部屋全体が、ひとつの絵の世界になる。江戸時代の絵師・円山応挙(1733~1795年)は、そんな空間づくりに挑んだ人でした。東京都江戸東京博物館のリニューアルを記念して開かれる『円山応挙 リアルの先へ 空間革命』は、約20年ぶりの大規模回顧展。「円山派」を生み出した応挙の画業を、120点を超える作品で総合的に紹介します。
応挙は、対象をよく観察して描く「写生」で人気を集めました。その表現は、形を捉えるだけでなく、生き物の気配や光の移ろいにまで及びます。さらに応挙は、空間全体を一つの世界として構成することにも挑み、兵庫・大乗寺(通称「応挙寺」)に伝わる障壁画などを残しました。会場では実物とともに「孔雀の間」「芭蕉の間」「山水の間」の空間を再現し、絵画と空間が響き合う世界を体感できます。
初めて公開される《牽牛花図》や、イギリスのセインズベリー視覚芸術センターから久しぶりに里帰りする《虎図》も見どころです。新たな出会いと、時を経た再会のなかで、応挙の多彩な表現が広がります。初期の眼鏡絵で培った遠近表現が、のちの独自の空間表現につながっていく流れも、あわせてたどることができます。
国宝《雪松図屏風》の展示は11月28日~12月6日の期間限定で、会期中は前期(11月28日~12月24日)と後期(1月2日~24日)で一部の作品が入れ替わります。また前期には、白い狐を描いた《白狐図》も登場。音声ガイドのナビゲーターは、声優の諏訪部順一さんが務め、作品の魅力や歴史を分かりやすく案内します。人気の応挙だけにひょっとすると混み合うかも…土曜日は午後7時30分まで開館しているので、夕方からの鑑賞もおすすめです。
国宝 円山応挙「雪松図屏風」 三井記念美術館 展示期間:11/28〜12/6
『江戸東京博物館リニューアル記念特別展 円山応挙 リアルの先へ 空間革命』
開催場所:東京都江戸東京博物館 1階特別展示室
開催期間:2026年11月28日(土)~2027年1月24日(日)
所在地:東京都墨田区横網1-4-1
開館時間:9:30~17:30(土曜日は19:30まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(1月4日、11日は開館)、12月25日~1月1日、1月12日
観覧料:一般2,100円、65歳以上1,600円、大学生・専門学校生1,300円
展覧会公式サイト:江戸東京博物館リニューアル記念特別展 円山応挙 リアルの先へ 空間革命
夢の情景を銅版に刻んだ詩情の世界。駒井哲郎の没後50年展|世田谷美術館
日本の版画史に重要な足跡をのこした銅版画家、駒井哲郎(1920~1976年)。10代半ばで銅版画に魅せられ、戦後、1951年には第1回サンパウロ・ビエンナーレで在聖日本人賞を受賞しました。パリ留学を経て帰国後は、世田谷にアトリエを構え、夢の情景や幻影を主題に、詩情豊かな作品を生み出しています。世田谷美術館で開催される『銅版画家・駒井哲郎 掌上にひろがる星座のように』では、「福原義春コレクション」を軸に、その魅力をひもときます。
展示は全5章構成です。第1章では、銅版画との出会いから作家活動が軌道にのるまでの初期作品を、第2章では、夢を主題とした連作や《束の間の幻影》など、独自の抒情が花開いた時期の作品を紹介します。第3章は、パリ留学後の白と黒による深遠なモノクロームの作品、第4章は、雑誌『新潮』の表紙原画に見られる色彩の世界へ。第5章では、敬愛した作家の版画や愛用品とともに、駒井の人物像に迫ります。
童話『夢を追う子』(1972年)のために制作された、幻想的な挿絵原画が初めて公開されます。また、駒井旧蔵のコレクションからは、親交のあった恩地孝四郎や長谷川潔、10代の頃から敬愛したシャルル・メリヨンらの版画も並び、駒井が心を寄せた表現を見ることができます。
初期から晩年までの版画に加え、これまで展示の機会が少なかった油彩画、制作道具や写真など、約300点の幅広い作品と資料で駒井の軌跡をたどる回顧展です。モノクロームの抒情から、人間の暗部に迫る表現、華やかな色彩まで、さまざまな技法で心に浮かぶ情景を銅版に刻んだ世界を、この機会に味わってみてください。
『銅版画家・駒井哲郎 掌上にひろがる星座のように』
開催場所:世田谷美術館
開催期間:2026年11月28日(土)~2027年1月31日(日)
所在地:東京都世田谷区砧公園1-2
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:毎週月曜日(1月11日は開館)、12月28日~1月4日、1月12日
観覧料:一般1,400円、65歳以上1,200円、大高生800円、中小生500円、未就学児無料
美術館サイト:銅版画家・駒井哲郎 掌上にひろがる星座のように
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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