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2023.1.30
アートがわからない人こそオルセー美術館を訪れるべき3つの理由
芸術の都パリには、世界的に有名な美術館がいくつかあり、その1つがオルセー美術館です。ルーヴル美術館と並んで人気のオルセー美術館は、誰でも一度は目にしたことがあるような名作がずらりと並んでいます。
目次
No machine-readable author provided. Ossiostborn~commonswiki assumed (based on copyright claims)., CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
「アートは難しそうだからパリに来ても美術館に行かない」と思っている方、ちょっと待ってください。実はオルセー美術館はアートがわからない人でも楽しめる特別な場所なのです。この記事では、ヨーロッパの大学院で美術史を専攻する筆者が、オルセー美術館を訪れるべき3つの理由を紹介します。
【パリ・オルセー美術館】を訪れるべき3つの理由
理由①:オルセー美術館は建物そのものが美しいから
Daniel Vorndran / DXR, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
オルセー美術館は、展示されている作品はもちろんのこと、美術館の建物自体の美しさを特徴とします。1900年のパリ万博の際に建築された鉄道駅兼ホテルを再利用しており、広々とした空間に名画たちがゆったりと展示されています。
セーヌ川のほとりにある建物の外観は、よく見るともともと鉄道駅だったことを感じさせます。展示室の中には鉄道駅時代の大時計があり、オルセー美術館のトレードマークの1つです。
理由②:オルセー美術館には宗教画が少ないから
Adrian Scottow from London, England, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
アートがわからないという人の中には、宗教画が苦手という人もいるのではないでしょうか。西洋美術においてキリスト教は最も重要なトピックの1つであり、時代によっては「アート=宗教画」と決められていたほどです。
宗教画は観ていてつまらないという人でも、オルセー美術館は比較的訪れやすい美術館です。なぜなら、パリの他の有名美術館であるルーヴル美術館や国立中世美術館に比べると、宗教画が圧倒的に少ないためです。
というのも、オルセー美術館は基本的に19世紀のフランスにおける絵画作品を展示することになっており(例外あり)、当時の自然でロマンチックな作品が多く集まっています。風景や人物など私たちにも身近なテーマを扱う作品が多いため、親近感をもって作品鑑賞ができます。
理由③:オルセー美術館には有名作品がコンパクトに展示されているから
Adrian Scottow from London, England, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
オルセー美術館は、鉄道駅を改築した構造をしているため、建物自体は大きく広々としています。しかし、同じくパリにあるルーヴル美術館に比べると美術館の規模はそこまで大きくなく、気軽に立ち寄って鑑賞ができるサイズ感です。
実際、オルセー美術館の常設作品数は4,000点程度と言われ、38万点を常設しているルーヴル美術館に比べると周りやすい規模といえます。ルーヴル美術館は全体を見て周るのに6時間以上かかることもありますが、オルセー美術館は2~3時間あればじっくり各作品を楽しめます。
オルセー美術館に展示されている作品は、歴史や美術の教科書で目にしたことがあるような有名なものが多く、それらが同じ展示室にギュッと配置されています。アートがわからない人でも、気軽に立ち寄ることができる美術館です。
まとめ
オルセー美術館は、アートがわからない人でも親しみやすい美術館であり、パリを訪れた際はぜひ立ち寄りたい場所です。ゴッホやモネなど、著名な芸術家の作品を生で見る経験は一生ものの思い出になるでしょう。
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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