STUDY
2023.6.5
「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が待ちきれない!【第2回】建築を理解するための3つのポイント
アントニ・ガウディはスペイン・カタルーニャを代表する建築家です。ガウディはサグラダ・ファミリアやカサ・ミラをはじめとした、独創的で優雅な作品を多く残しました。
東京国立近代美術館では、2023年6月13(火)から9月10日(日)まで『ガウディとサグラダ・ファミリア展』が開催されます。そこでイロハニアートでは、展覧会をより楽しむための解説記事を全6回にわたってお送りします。
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2回目となる今回は、建築家ガウディの建築に共通している3つのキーワード、「歴史」「自然」「幾何学」について詳しく紹介します。
ガウディを理解するポイント①歴史
参考:サグラダ・ファミリア(Photo by Ank Kumar) CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
彼の作品に最も大きな影響を与えたのは、ヨーロッパの中世後期に興隆したゴシック様式であることには間違いありません。建物全体の背が高く、天に突き出すようなサグラダ・ファミリアの特徴は、ゴシック様式をガウディ流に解釈したものです。
過去の建築様式を研究し、構造的な課題と装飾的な選択を繰り返すことで、ガウディは偉大な作品を世に残すことに成功しました。新しいものを生み出す芸術家のなかには、ガウディのように過去の作品を自分の作品に応用するケースが少なくありません。
とくにガウディが活躍した19世紀から20世紀は、作業革命による技術革新と大きな社会の変化への反発が「歴史主義芸術」の形で表現された時代でした。
しかし、ガウディがインスピレーションを受けたのはゴシック建築だけではありません。学生時代に世界のさまざまな建築に触れる機会があり、イスラム建築や東洋の美術様式からも多くを学んだと言われます。独創的なオリジナリティあふれるガウディの作品は、多様な芸術様式への強い好奇心が導いた結果なのでしょう。
ガウディを理解するポイント②自然
参考:カサ・バトリョ(Photo by Stefano Vigorelli), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
ガウディの建築に大きな影響を与えた2つめの要素は「自然」です。ガウディは幼少期より植物や動物、昆虫に対する大きな関心を示していたと言われます。
自然の中で生み出される形状は、有機的で豊かなバラエティがあることをガウディは建築の中で表現しようとしました。サグラダ・ファミリアでは木の幹や人間の骨格・筋肉に基づくような、力強く温かい構造が取り入れられています。
ガウディは自然界に発生する植物や動物の骨格ほど優れた構造はないという信条に基づき、あらゆる形を建築に取り入れました。ガウディの作品は、壮大で優美でありながらどこか親しみやすさが宿っています。それは彼が、自然という人間に身近な要素を多く取り入れているためでしょう。
ガウディを理解するポイント③幾何学
参考:サグラダ・ファミリア(Photo by Ank Kumar), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
ガウディを理解するためにもう1つ重要な要素は、幾何学です。幾何学は、三角や四角をはじめとした多角形や、円や楕円などの図形を用いたデザインを指します。
ガウディの建築の装飾には、数学的な形や数値にまつわる要素が散見されます。とくに曲線の活用はガウディの作品に重要で、学生時代から建築に曲線を取り込む研究をしていました。
幾何学というと、無機物的で冷たい印象を受けるかもしれません。しかし、ガウディが作品に応用した幾何学模様は自然界の有機物からインスピレーションを受けている特徴があります。そのため全体的な連続性や統一感がありながら、自由でダイナミックな印象を与えます。自然界における連続的な幾何学模様のパターンにより、ガウディの独特で躍動感のある建築が成立しているのです。
『ガウディとサグラダ・ファミリア展』では、ガウディの建築の独自性、創造性に迫る展示が予定されています。ぜひ足を運んでガウディ建築の理解を深めてください。
▼「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が待ちきれない!【第3回】聖堂内で注目すべき3つのポイント
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展覧会情報
ガウディとサグラダ・ファミリア展
開催期間:2023年6月13日(火)~9月10日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
開館時間:10:00~17:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:月曜日(ただし7月17日は開館)、7月18日(火)
公式サイト:https://gaudi2023-24.jp/
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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