STUDY
2021.11.11
中世の教会建築『ロマネスク様式』って?歴史背景と楽しみ方を解説
ヨーロッパではどこも教会を中心に街が構成されていることが多く、地元の人にとっても、その街を訪れる観光客にとっても、教会は重要な存在です。
教会建築の中には、年代や建築方法によっていくつかの様式の分類があります。
教会の様式は、デザインや宗教的な側面から発展していくだけでなく、当時の建築技術とも密接に関わり合いながら発展してきました。
今回紹介するのは、11~13世紀ごろにフランス、ドイツ、イングランド、イタリアなどの地域で発達した『ロマネスク様式』です。
ロマネスク様式はどのように生まれた?
Ibex73, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
ロマネスク様式の教会は、1000年頃から西ヨーロッパを中心に登場します。
ロマネスク様式は、教会としての役割を果たすにふさわしい荘厳で耐久性に優れた建築を追求した結果、確立された様式です。
『中世ヨーロッパ』というと、『暗黒の時代』と表現されることもあり、争いの絶えない不幸な時代だったという印象を受ける方も多いかもしれません。
栄華を極めた古代ローマが異民族の侵入を機に4世紀末に終焉を迎え、時代区分としては、そこから『中世』がスタートします。
ヨーロッパの『中世』という時代の大きな特徴の1つとして、成熟した文化を備えていた古代ローマの高度な技術を直接的には引き継がなかったという点が挙げられます。
実際、古代ローマの滅亡からロマネスク教会が登場するまでに時間として600年の隔たりがあります。
ロマネスク様式以前に建てられた教会は、柱の上に板を載せて天井を作るというシンプルな構造のものが多く、天井部分は木造であることが多かったため、火災などで焼失してしまいやすい構造でした。
そこで、天井部分まで火災にも強い「石材」を用いたのが、ロマネスク様式です。
ロマネスク教会の特徴は?
Unknown authorUnknown author, Public domain, via Wikimedia Commons
『ロマネスク』という言葉は『ローマ風の』という意味がおり、『ローマの真似ごと』というような皮肉を込めて後の時代の人がつけた名前です。
古代ローマには、火災や天災に強い石材を用いた巨大建築を実現する技術があり、それを目指すような形でロマネスク様式が誕生しました。
ロマネスク様式では、これまでの天井に板を載せる形式から、2本の柱の上に半円状の天井を取り付けることで、天井部分にも石材を利用して強度の高い建築様式を確立しました。
ロマネスク様式の特徴は、この天井部分のアーチと、上部の石材の重みを支えるための太く分厚い壁です。
天井の重さを支えるため、教会全体の高さが制限されている点や、壁の強度を落さないために窓が分厚くなっている点も、ロマネスクの建築上の特性です。
ロマネスク様式の教会の見どころは?
Stanzilla, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
Jebulon, CC0, via Wikimedia Commons
ロマネスク様式の教会を訪れる際に注目すべきポイントは、壁や柱に直接ほどこされた彫刻です。
天井を支えることが建築上の最重要課題であったロマネスク教会では、分厚い壁を利用して、聖書の場面を表現したり、聖人の姿を彫ったりすることで芸術表現が行われていました。
時代が進み、次に登場するゴシック様式では、天井の軽量化が進んだことで壁の厚みが減り、壁への彫刻が減る代わりに、薄さを利用したステンドグラスが登場するようになります。
・関連記事:中世の教会建築『ゴシック聖堂』ってなに?一層楽しむための注目ポイント解説
https://irohani.art/study/5626/
ロマネスク様式の教会を訪れた際は、ぜひ彫刻に注目してみてくださいね。
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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