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STUDY

2022.1.13

サイゼリヤにある絵ってなに?よく見る絵画についてイタリア在住者が解説!

サイゼリヤは、イタリア料理を中心に取り扱っている人気のファミリーレストランです。
サイゼリヤと言えば、店内の至るところに飾られている絵画が特徴的ですよね。
おいしい料理とともに、ちょっと贅沢なイタリアの雰囲気を感じることのできる空間です。
今回の記事では、そんなサイゼリヤの店内で見ることのできる絵画について、ローマの大学院で美術史を専攻している筆者が解説していきます。

ボッティチェリ『プリマヴェーラ』

ボッティチェリ『プリマヴェーラ』Sandro Botticelli, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

サイゼリヤ内で最もよく見る作品のうちのひとつが、この『プリマヴェーラ』ではないでしょうか。
『プリマヴェーラ』とは、イタリア語で『春』という意味の言葉です。
この作品は、15世紀に活躍したイタリア人画家のボッティチェリが手掛けたものです。
この作品は、ボッティチェリがロレンツォ・デ・メディチの結婚祝いのために作成したものです。
『プリマヴェーラ』という主題はその名の通り、花が咲き誇り活気に満ちる『春』 を描いています。
これは結婚の贈り物ということもあり、肥沃・多産などの意味が込められていると解釈されています。
絵に向かって左側の3人の美しい女性は『三美神』と呼ばれ、美しさを象徴しています。
『三美神』の主題は、時代ごとにどのような女性が美しいとさせていたかを知る手掛かりにもなります。
このボッティチェリの『プリマヴェーラ』からは、当時はふくよかで健康的な体系の女性が「美しい」と考えられていたようです。

ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』

ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』Sandro Botticelli, Public domain, via Wikimedia Commons

ルネッサンス初期の画家であるボッティチェリの作品は、芸術作品をめぐる激動の時代の中で多くが失われてしまったと言われています。
中世キリスト教世界では、芸術作品はイエス様の教えを伝達するために存在するものであり、画家個人の個性を出すことは重視されていませんでした。
代わりに、教皇や貴族をはじめとした貴族の依頼の通りに、宗教主題を取り扱う形で作品がつくられた時代だったのです。
しかし、15世紀以降アラビア文化から古代ギリシア・古代ローマの偉大な芸術や学問を「逆輸入」したことにより、失われていた古典を復興する運動が興りました。
それが、『ルネッサンス』です。
ボッティチェリはそのルネッサンスの先駆けとなった画家の1人です。
そんな中、ルネッサンスに反発した教会権威が芸術をキリスト教に関連したものに限定するため、異教的(キリスト教以外)主題を扱った主題を破壊するという動きがありました。
『ヴィーナスの誕生』は、異教的なテーマなだけでなく、メインの登場人物であるヴィーナスが裸で描かれているという中世にはご法度だった構成を持っていました。
この作品が現代まで破壊されずに残っていることは、奇跡に近いのかもしれません。

ラファエロ『システィーナの聖母』

ラファエロ『システィーナの聖母』Raphael, Public domain, via Wikimedia Commons

最後の作品は、サイゼリヤの中でも最も多く目に入る作品かもしれません。
ボッティチェリ同様ルネッサンスを支えた重要な画家ラファエロの『システィーナの聖母』という作品です。
この作品では、メインで描かれているのはその題名に含まれている通り、聖母です。
しかし、どういうわけかサイゼリヤでは聖母マリアの足元にいる2人の天使のみが切り取られて飾られています。
ルネッサンス以前、つまり中世西洋世界では、子どもは長らく「小さい大人」として描かれてきました。
顔の作りや体の等身は大人と変わらず、ただサイズだけを変えて描かれていたのです。
しかしここで描かれているラファエロの天使は、現実の赤ちゃんのようにふっくらとかわいらしく描かれています。
天使という重要な役目を負っているにもかかわらず、気だるいような自然体な姿勢で描かれていますね。
ここからも、ラファエロが作品の中に等身大の「人間」を描こうとしたことがわかります。
サイゼリヤのファミリー向けの親しみやすい雰囲気と、人間らしく生き生きとしたラファエルの天使は相性ばっちりです。


次にサイゼリヤに行った際には、おいしい料理だけでなくこれらの作品にもぜひ注目してみてくださいね。

はな

はな

3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経て2021年秋よりイタリアの大学で美術史修士課程に進学予定。フリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経て2021年秋よりイタリアの大学で美術史修士課程に進学予定。フリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。