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STUDY

2022.2.3

どこに注目する?主題『受胎告知』鑑賞を楽しむためのポイント3つ

「西洋美術」を鑑賞する際に、美しさは理解できるけど、主題の内容がいまいちわからないという人も多いのではないでしょうか。
特に近世までの西洋美術には、宗教主題を扱ったものが多く登場します。
中でも、美術館などで作品鑑賞をしていると必ずと言っていいほど目にするのが『受胎告知』という主題です。

受胎告知の楽しみ方のポイントFra Angelico, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

実は『受胎告知』は筆者が最も好きな主題でもあります。
キリスト教ではイエス磔刑やピエタなど悲しい主題も多い中、『受胎告知』はほっこり温かい気持ちになれる作品が多いからです。
この記事では、芸術主題『受胎告知』を楽しむためにはどのようなポイントに注意すべきかについて紹介します。

1.『受胎告知』のストーリーとは?

『受胎告知』のストーリーとはLeonardo da Vinci, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

『受胎告知』は初期キリスト教美術からよく採用されてきた主題であり、中世、近世、近代とそして現代まで、千年以上の年月の中で描かれてきました。
この主題は、聖母マリアのもとに突然大天使ガブリエルが舞い降りる場面を中心として描かれています。
大天使ガブリエルは、処女である聖母マリアが神の子イエスを身体に宿していることを伝えるシーンなので、『受胎』『告知』と呼ばれています。
純潔である身で子供を宿していることを告げられたことで、聖母マリアにとってはびっくりするような出来事だったでしょう。
『受胎告知』は、聖母マリアと大天使ガブリエルが二人で描かれていることが多く、比較的簡単に見分けることのできる主題です。
聖母の純潔の象徴である「白いユリ」を大天使が持っているか、作品の中に含まれることが多いという特徴もあります。

2.『受胎告知』では聖母マリアの表情に注目

『受胎告知』では聖母マリアの表情に注目Simone Martini, Public domain, via Wikimedia Commons

『受胎告知』は主イエスの物語の始まりの場面です。
キリスト教信徒にとって最も重要なできごとの1つであり、長い歴史の中でこの主題の作品が繰り返し作られたのも納得です。
それだけでなく、カトリック教会の中には聖母マリアに捧げられたものも多く、教会の祭壇画や装飾に好まれたという背景があります。
聖母マリアはこの『受胎告知』のシーンで、突然神の子を身ごもったことを知りました。
予期せぬ出来事に不安そうな表情を浮かべていたり、静かに大天使の話を聞いていたり、驚いて目を見開いていたり、作品ごとに聖母マリアの表情は異なります。
『受胎告知』で大天使ガブリエルが聖母マリアのもとに降り立った際、聖母は読書中で、本を広げた状態で話をしていることもあります。
『受胎告知』を主題とした作品を見る際には、特に聖母マリアの表情に注目してみてください。

大天使ガブリエルから見る『受胎告知』

大天使ガブリエルから見る『受胎告知』San Geremia, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

『受胎告知』のもう一人の大切な登場人物は、大天使ガブリエルです。
大天使ガブリエルは、伝統的に背中に翼の生えた若者として描かれます。
多くの作品では、大天使ガブリエルは空から舞い降りたような状態で聖母マリアに対峙した姿で表現されています。
ついさっき天から降りてきたような躍動感を備えて描かれることが多く、驚く聖母マリアとの対比がこの主題の見どころです。
ガブリエルの翼の部分は、作品によってもバラエティが豊かな部分なので、注目して見ると面白いかもしれません。
模様や大きさ、形に至るまで、作品の1つの個性ともなっている部分です。

美しく温かい主題をじっくり楽しみましょう

受胎告知は穏やかな構造で描かれることが多い作品です。
長い期間愛され続け時代ごとに作品の傾向が異なるため、1つの主題をめぐって芸術がどのように変化したかを感じることができる点も、おもしろいですね。
もし美術館などで『受胎告知』をテーマにした作品を見つけたら、作品のストーリー、聖母マリアの表情、大天使ガブリエルの躍動感の3つに注目してみてください。

【写真4枚】どこに注目する?主題『受胎告知』鑑賞を楽しむためのポイント3つ を詳しく見る

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はな

はな

3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経て2021年秋よりイタリアの大学で美術史修士課程に進学予定。フリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経て2021年秋よりイタリアの大学で美術史修士課程に進学予定。フリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

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