EVENT
2025.2.20
【国立国際美術館】特別展「ノー・バウンダリーズ」境界を超える現代アートの饗宴
「境界」って何だろう? 大阪・中之島の国立国際美術館で2025年2月22日(土)から6月1日(日)まで開催される特別展「ノー・バウンダリーズ」は、そんな問いかけから始まる、刺激的なアート体験への招待状です。
目次
「境界」とは何か?現代社会を読み解く鍵
私たちの周りには、国境や土地の境界といった物理的なものから、文化、ジェンダー、社会規範といった目に見えない境界まで、数え切れないほどの「バウンダリー(境界)」が存在しています。グローバル化やテクノロジーの進化により、これらの境界は曖昧になる一方で、新たな分断や排除も生み出されています。
「ノー・バウンダリーズ」展では、国内外で活躍する20名以上の現代美術作家の作品を通して、そんな「境界」という概念を現代アートの視点から読み解き、既存の枠組みを解体し、多様性や共生の新たな価値観を提示します。
注目の作品と作家たち
ミン・ウォン《ライフ・オブ・イミテーション》(2009)
シンガポール出身、ベルリン在住のミン・ウォンによる2チャンネル・ビデオ作品。ハリウッド映画『イミテーション・オブ・ライフ』へのオマージュとして制作され、シンガポールの3大民族(中華系、マレー系、インド系)の俳優たちが入れ替わり同じ役を演じることで、人種、ジェンダー、文化的アイデンティティの境界を軽やかに超えていきます。
ヴェネチア・ビエンナーレでも高く評価されたこの作品は、グローバル社会における文化的規範からの逸脱をユーモアを交えて表現しており、異なる文化的背景を持つ人々が共生する現代社会を映し出す鏡となっています。
ミン・ウォン《ライフ・オブ・イミテーション》2009 年 2 チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(HD、カラー、サウンド)国立国際美術館蔵 © Ming Wong
エヴェリン・タオチェン・ワン《トルコ人女性たちのブラックベリー》(2023)
中国・成都出身、オランダ・ロッテルダム在住のエヴェリン・タオチェン・ワンによる油彩画。東洋と西洋、伝統と現代という二項対立を超え、中国の伝統的書画と西洋絵画技術を融合させた画期的な作品です。
この作品では、ジェンダーや植民地史といった重いテーマを、繊細かつ大胆な筆致で表現。文化的境界を越えた芸術表現の可能性を示しています。
エヴェリン・タオチェン・ワン《トルコ人女性たちのブラックベリー》2023 年 油彩、鉛筆、石膏、カンバス 国立国際美術館蔵 © Evelyn Taocheng Wang
アリン・ルンジャーン《246247596248914102516... そして誰もいなくなった》(2017)
タイ・バンコク出身のアリン・ルンジャーンによる映像作品。ヒトラーの最後の面会者がタイ人であったという歴史的事実と、作家自身の父親がドイツ企業で働いた経験という個人的記憶を重ね合わせることで、歴史と個人、東洋と西洋、過去と現在という時空間の境界を再構築しています。
歴史的事実と個人的物語が交錯するこの作品は、グローバル化した世界における歴史認識の複雑さを浮き彫りにします。
ミン・ウォン《ライフ・オブ・イミテーション》2009 年 2 チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(HD、カラー、サウンド)国立国際美術館蔵 © Ming Wong
田島美加《アニマ11》(2022)
日本人の両親を持ち、ロサンゼルス生まれ、ニューヨーク在住の田島美加による彫刻作品。黒ガラスとブロンズ製ジェットノズルを組み合わせた有機的形態が特徴的なこの作品は、環境、社会、テクノロジーの境界を曖昧にしながら、現代社会における人間の存在を問いかけます。
田島は「アールダムーブルモン」シリーズや「ネガティブ・エントロピー」シリーズなど、音楽、テキスタイル、彫刻といった様々なメディアを横断する作品で知られ、その多様なアプローチは本展のテーマである「境界の解体」を体現しています。
田島美加《アニマ11》2022 年 黒ガラス、ブロンズ製ジェットノズル 国立国際美術館蔵 Photo by Charles Benton© Mika Tajima
その他の注目作品
●ヴォルフガング・ティルマンス《アストロ・クラスト、a》(2012) - 写真というメディアの可能性を拡張する実験的作品
●ヤン・ヴォー《無題》(2019-20) - ベトナム出身の作家による、文化的アイデンティティを探求する作品
ヴォルフガング・ティルマンス《アストロ・クラスト、a》2012年 インクジェットプリント、クリップ 国立国際美術館蔵 © Wolfgang Tillmans
ヤン・ヴォー《無題》2019-20年 国立国際美術館蔵 「ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ」展示風景(国立国際美術館、2020 年)撮影:福永一夫© Danh Vo
大阪・関西万博2025と響き合う展覧会
本展覧会の会期中、2025年4月から大阪・関西万博が開催されます。
1970年の日本万国博覧会をきっかけに建設された国立国際美術館が、半世紀以上を経て再び万博の開催に合わせて特別展を開催する意義は大きく、技術革新と社会課題の解決に向けた万博のテーマと、境界を超えて多様な価値観の共存を探る本展は、相互に響き合う内容となっています。
美術初心者にもおすすめの理由
「現代アートは難しそう」と思っている方にこそ、この展覧会をおすすめします。
本展で取り上げられるテーマ「境界」は、私たち一人ひとりの日常生活に密接に関わるものであり、作品を通して自分自身の中にある「見えない境界線」に気づくきっかけになるでしょう。
展示される作品は映像、絵画、彫刻など多岐にわたり、それぞれが独自の視点から「境界」というテーマにアプローチしています。
特に映像作品は物語性があり、美術に馴染みがない方でも親しみやすいでしょう。
関連イベントも開催予定
ギャラリートーク等も開催予定です。詳細は決まり次第、国立国際美術館の公式サイトで発表されます。
特別展「ノー・バウンダリーズ」
引用元:展覧会ページ
さいごに
「ノー・バウンダリーズ」展は、既成概念を超え、多様性や共生の価値を再認識する機会となるでしょう。アートを通して、新たな視点や発見に出会い、自分自身の「境界」を広げてみませんか?
開催概要
会期:2025 年2月22日(土)‒6月1日(日)
会場:国立国際美術館 地下3階展示室(〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55)
開館時間:10:00 ‒ 17:00、金曜・土曜は20:00 まで ※入場は閉館の30 分前まで
休館日:月曜日(ただし2月24 日、5月5日は開館)、2 月25日(火)、5月5日(水)
主催:国立国際美術館
協賛:ダイキン工業現代美術振興財団
観覧料:一般1,200 円(1,000 円)大学生700 円(600 円)
※( )内は 20 名以上の団体及び夜間割引料金(対象時間:金曜・土曜の 17:00―20:00)
高校生以下・18 歳未満無料(要証明)・心身に障がいのある方とその付添者1 名無料(要証明)
※本料金で、同時開催のコレクション展もご覧いただけます
交通アクセスはこちら
引用元:アクセス情報
出品作家 ※変更となる場合があります
クリスチャン・ボルタンスキー、フェリックス・ゴンザレス=トレス、廣直高、鎌田友介、マイク・ケリー、キム・ボム、松井智惠、三島喜美代、ミヤギフトシ、森村泰昌、アリン・ルンジャーン、カリン・ザンダー、シンディ・シャーマン、田島美加、田中功起、ヴォルフガング・ティルマンス、ヤン・ヴォー、エヴェリン・タオチェン・ワン、ミン・ウォン、山城知佳子、やなぎみわ
特別展「ノー・バウンダリーズ」
引用元:展覧会ページURL
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