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2026.5.4

【2026年5月のおすすめ展覧会5選】若冲の初公開作から安西水丸の世界、そしてゴッホ《夜のカフェテラス》まで

ゴールデンウィークの休暇、どのように過ごしていますか。遠出して非日常を味わうのも、身近な美術館で作品にじっくり向き合うのも、この季節ならではの贅沢です。

今回は伊藤若冲の魅力に遊び心に迫る『若冲にトリハダ!野菜もウリ!』や、安西水丸の全仕事をたどる『イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY』、そしていよいよ東京にて開幕する『大ゴッホ展 夜のカフェテラス』など、5つのおすすめの展覧会をご紹介します。

見ればきっとトリハダ?京都の「若冲展」が誘う新たな発見 | 福田美術館

伊藤若冲《果蔬図巻》(部分) 1790年以前 福田美術館蔵 通期展示伊藤若冲《果蔬図巻》(部分) 1790年以前 福田美術館蔵 通期展示

2019年10月、京都・嵐山に開館した福田美術館。江戸時代から現代にかけての美術品を幅広く網羅するコレクションで知られ、展覧会ごとに多くのアートファンの注目を集めています。併設のカフェも、「渡月橋を落ち着いて望める絶景スポット」として人気を博し、美術鑑賞とあわせて楽しめるのも大きな魅力です。

企画展『若冲にトリハダ!野菜もウリ!』は、初期から晩年に至る約40点を通して、細密な彩色画と奔放な水墨表現を自在に行き来する若冲の探究心を紹介します。独特の技法「筋目描き」が冴える《芦葉達磨図》 や同館初公開の《蛇図》など、実験精神に満ちた試みも見逃せません。

最大の見どころは、約1年間の修理を終えて帰ってきた 《果蔬図巻》。約3メートルにわたる画面に、色とりどりの野菜や果物がいきいきと描かれ、若冲が日常の食材に寄せた深い愛情が感じられます。あわせて、翌年に制作された重要文化財《菜蟲譜》を初めて並べて展示し、表現の展開を比較できます。

また曽我蕭白、円山応挙、長沢芦雪ら同時代の絵師の作品も紹介し、18世紀京都画壇の広がりを提示します。親しみやすい主題の奥に潜む革新性とユーモアに触れられる本展は、思わず目を引くキャッチーなタイトルとは裏腹に、若冲の芸術世界を本質へと迫る充実した内容となります。

伊藤若冲《菜蟲譜》(部分)  1791年以前 佐野市立吉澤記念美術館蔵 4月25日(土)〜5月8日(金)、6月20日(土)〜7月5日(日)展示伊藤若冲《菜蟲譜》(部分)  1791年以前 佐野市立吉澤記念美術館蔵 4月25日(土)〜5月8日(金)、6月20日(土)〜7月5日(日)展示

『若冲にトリハダ!野菜もウリ!』 福田美術館
開催期間:2026年4月25日(土)〜7月5日(日)
 前期:4月25日(土)〜6月1日(月) 後期:6月3日(水)〜7月5日(日)
所在地:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
アクセス:JR山陰本線(嵯峨野線)「嵯峨嵐山駅」下車徒歩12分、阪急嵐山線「嵐山駅」下車徒歩11分。嵐電(京福電鉄)「嵐山駅」下車徒歩4分。
開館時間:10:00~17:00(最終入館 16:30)
休館日:5/12(火)、6/2(火)、6/16(火)
観覧料:一般1500円、高校生900円、小・中学生500円
美術館サイト:福田美術館

現実を超えるリアリティ。ロン・ミュエクが問いかける「人間」とは? | 森美術館

ロン・ミュエク《イン・ベッド》 2005年 所蔵:カルティエ現代美術財団 展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025年 撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館ロン・ミュエク《イン・ベッド》 2005年 所蔵:カルティエ現代美術財団 展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025年 撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館

ロン・ミュエク(1958年オーストラリア生まれ、英国在住)は、革新的な素材と技法によって、具象彫刻の可能性を拡張してきた現代美術作家です。人間の身体を驚くほど精緻に再現した作品は、現実と見紛うリアリティを備えながら、孤独や不安、脆さといった内面的な感情を浮かび上がらせます。

森美術館で開催される『ロン・ミュエク』は、カルティエ現代美術財団との協働により実現した国際巡回展で、パリ、ミラノ、ソウルを経て東京へと巡回します。一作品を制作するのに数ヶ月、あるいは数年を要するため、ミュエクの総作品数は50点ほどにとどまりますが、そのうち日本初公開6点を含む11点を集めた貴重な機会が実現します。

実際のスケールを逸脱した巨大あるいは極小の造形は、私たちの知覚や先入観を揺さぶり、「人間とは何か」という根源的な問いを突きつけます。なかでも本展の核となる《マス》は、無数の頭蓋骨によって構成されるインスタレーション。森美術館の空間に応じて再構成されるサイトスペシフィックな作品として、圧倒的な存在感を放ちます。

さらにフランスの写真家、ゴーティエ・ドゥブロンドによる写真や映像を通して、制作の舞台裏を多角的に紹介。ミュエクの彫刻を通して、身体と存在をめぐる思索へと誘われることでしょう。

ロン・ミュエク《マス》 2016-2017年 所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018年フェルトン遺贈 展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025年 撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館ロン・ミュエク《マス》 2016-2017年 所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018年フェルトン遺贈 展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025年 撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館

『ロン・ミュエク』 森美術館
開催期間:2026年4月29日(水)〜9月23日(水)
所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
アクセス:東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口より徒歩3分(コンコースにて直結)。都営地下鉄大江戸線「六本木駅」3出口より徒歩6分。
開館時間:10:00~22:00
 ※火曜日のみ17:00まで
 ※ただし5/5(火・祝)、8/11(火・祝)、9/22(火・祝)は22:00まで
 ※最終入館は閉館時間の30分前まで
会期中無休
観覧料:[平日]一般2,300円(2,100円)、学生(高校・大学生)1,400円(1,300円)、シニア(65歳以上)2,000円(1,800円)
[土・日・休日]一般2,500円(2,300円)、学生(高校・大学生)1,500円(1,400円)、シニア(65歳以上)2,200円(2,000円)
 ※当日窓口料金。( )内はオンラインチケットの料金
美術館サイト:森美術館

日本画家、川合玉堂の描いたなつかしい日本の情景 | 山種美術館

川合玉堂《早乙女》 1945(昭和20)年 絹本・彩色 山種美術館川合玉堂《早乙女》 1945(昭和20)年 絹本・彩色 山種美術館

山種美術館で開催される『川合玉堂 ―なつかしい日本の情景―』は、開館60周年を記念する特別展として、日本画家・川合玉堂(1873〜1957年)の画業を体系的に振り返ります。同館の創立者・山﨑種二は、しばしば玉堂邸を訪ねるほど玉堂と深く交流。そうした縁を背景に蒐集された玉堂作品は71点を超え、コレクションの中でも重要な位置を占めています。

円山・四条派を基盤に狩野派の様式も取り入れ、近代日本画における風景表現を切り拓いた玉堂。日本の山河をこよなく愛し、四季折々の自然やそこで営まれる人々の暮らしを情感豊かに描き出した作品は、どこか懐かしく、観る者の郷愁を静かに呼び起こします。

本展では、初期の代表作《鵜飼》から大正期の《紅白梅》(玉堂美術館)、昭和初期の《石楠花》、そして円熟期を示す《春風春水》や《早乙女》、戦後の第1回日展に出品された《朝晴》に至るまで、名作の数々が一堂に会します。古典的な筆法と写実的なまなざしを融合させながら展開した、玉堂芸術の歩みを通覧できます。

またスケートを楽しむ人々を描いた《氷上(スケート)》といったモダンな作品も見どころ。その他には横山大観や川端龍子らとの交流を示す作品も紹介され、玉堂の温かな人柄にも触れることができます。失われつつある日本の原風景を伝えるその世界は、あらためて自然の豊かさと美しさを気づかせてくれます。
※所蔵先表記のない作品はすべて山種美術館蔵

川合玉堂《氷上(スケート)》 1953(昭和28)年 紙本・彩色 山種美術館川合玉堂《氷上(スケート)》 1953(昭和28)年 紙本・彩色 山種美術館

『【開館60周年記念特別展1】 川合玉堂 ―なつかしい日本の情景―』 山種美術館
開催期間:2026年5月16日(土)〜7月26日(日)
所在地:東京都渋谷区広尾3-12-36
アクセス:JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番出口より徒歩約10分
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日[7/20(月・祝)は開館、7/21(火)は休館]
入館料:一般1400円、大学生・高校生1100円、中学生以下無料
美術館サイト:山種美術館

初公開の原画も!イラストレーター・安西水丸、そのすべて | PLAY! MUSEUM

展覧会ティザービジュアル展覧会ティザービジュアル

1970年代より小説、漫画、絵本、広告など多方面で活躍し、「仕事」と「あそび」を往還しながら独自の表現を築いた安西水丸(1942〜2014年)。その歩みを原画や印刷物、資料など約400点を通してたどる『イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY』が、東京・立川のPLAY! MUSEUMにて開催されます。

見どころのひとつは、近年アトリエで見つかった、村上春樹の初期短編『午後の最後の芝生』をイメージして描かれた原画が初めて公開されること。安西と村上は互いを「兄弟のようだ」と語るほど深い親交で結ばれ、エッセイや絵本といった数多くの仕事をともにしました。

PLAY! ならではの試みとして注目したいのが、作品のトレードマークとなった「ホリゾン(水平線)」をモチーフとした作品群です。約50メートルにわたる楕円形の展示空間いっぱいに、約70点もの「ホリゾン」作品を一挙に展示。安西の原風景であり、「ホリゾン」の由来ともなった房総半島・千倉の海の映像とともに、イラストレーションと記憶の風景とがひと続きに広がる空間が立ち上がります。

加えて、安西の収集品や制作の背景にも触れながら、そのインスピレーションの源泉をひもときます。展示鑑賞の後は、描いて作って楽しめる「水丸るワークショップ」に参加して、その軽やかな線の魅力を体感してみるのもおすすめです。

作品「猫と花」 illustrated by Mizumaru Anzai © Masumi Kishida作品「猫と花」 illustrated by Mizumaru Anzai © Masumi Kishida

『イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY』 PLAY! MUSEUM
開催期間:2026年5月20日(水)〜7月12日(日)
所在地:東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3 棟 2F
アクセス:JR立川駅北口・多摩モノレール立川北駅(国営昭和記念公園方面)より徒歩約10分
開館時間:10:00~17:00(土日祝は18:00 まで/入場は閉館の30分前まで)
休館日:会期中無休
入場料:一般1,800円、大学生1,200円、高校生1,000円、中・小学生600円、未就学児無料
ウェブサイト:『イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY』

名作《夜のカフェテラス》がやって来る。話題のゴッホ展がいよいよ東京へ! | 上野の森美術館

フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のカフェテラス(フォルム広場)》 1888年9月16日頃 クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands. Photography by Rik Klein Gotinkフィンセント・ファン・ゴッホ《夜のカフェテラス(フォルム広場)》 1888年9月16日頃 クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands. Photography by Rik Klein Gotink 

© Collection Kröller-Müller Museum,

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890年)の前半生に焦点を当てた『大ゴッホ展 夜のカフェテラス』が、上野の森美術館にて開催されます。これはオランダのクレラー=ミュラー美術館の所蔵作品のみで構成された大規模な展覧会で、神戸会場、そして福島会場を巡回し、ともに大きな反響を呼びました。ファン・ゴッホが画家として歩み始めたオランダ時代から、印象派の画家たちと交流したパリ時代、そして南仏アルルで独自の様式を確立するまでの軌跡をたどります。

なかでも見逃せないのが、約20年ぶりに来日を果たした、不朽の名作《夜のカフェテラス(フォルム広場)》です。アルルに実在したカフェを描いた本作は、深いコバルトブルーの夜空とガス灯の黄色が鮮烈な対比をなし、星々がきらめく詩情豊かな情景を生み出しています。夜でありながら黒を用いない革新的な色彩表現は、ゴッホの創造力を象徴するものといえます。

またクロード・モネやピエール=オーギュスト・ルノワールら同時代の画家による作品もあわせて展示。多様な表現が交錯した時代の中で、ファン・ゴッホがいかにして独自の絵画世界へと到達したのか、その創造のプロセスをたどることができます。なお本展はファン・ゴッホの画業を2期に分け、足掛け4年にわたって紹介する壮大なプロジェクト。その第1期として、ぜひとも足を運びたいところです。

フィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》 1887年4〜6月 クレラー=ミュラー美術館  © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands. Photography by Rik Klein Gotinkフィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》 1887年4〜6月 クレラー=ミュラー美術館  © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands. Photography by Rik Klein Gotink

© Collection Kröller-Müller Museum,

『大ゴッホ展 夜のカフェテラス』 上野の森美術館
開催期間:2026年5月29日(金)〜8月12日(水)
所在地:東京都台東区上野公園1-2
アクセス:JR「上野駅」公園口より徒歩3分。東京メトロ・京成電鉄 上野駅より徒歩5分。
開館時間:[日~木曜日] 9:00~17:30 [金・土・祝日] 9:00~19:00
 ※入館は閉館の30分前まで
会期中無休
観覧料:[平日] 一般2,800円、大学・専門学生・高校生1,600円、中学生・小学生1,000円 [土日祝] 一般3,000円、大学・専門学生・高校生1,800円、中学生・小学生1,200円
東京展公式サイト:『大ゴッホ展 夜のカフェテラス』

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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