EVENT
2022.12.27
平安貴族の華やかな王朝文化の世界へ!式年造替記念特別展「春日大社 若宮国宝展―祈りの王朝文化―」
奈良国立博物館にて式年造替記念特別展「春日大社 若宮国宝展―祈りの王朝文化―」が開幕しました。会期は2023年1月22日(日)までです。
本展は、今年の10月に春日大社の若宮の本殿御造替が完了したことを記念した展覧会です。御造替(ごぞうたい)とは、社殿を造り替え、神宝や調度品などを新調する事業のこと。平安時代から続く歴史的行事の成功を記念し、若宮神にかかわる国宝や重要文化財が一堂に展示されています。
《若宮御料古神宝類 銀鶴》 平安時代(12世紀) 奈良 春日大社
会場では、平安貴族たちが奉納した工芸品や、これまでの御造替にかかわる器物、歴史資料を通し、平安時代の華やかな王朝文化に触れることができました。同時に、私たち現代人も文化を守り受け継いでいく当事者であることを実感しました。展覧会の見どころを、美術ライターの明菜が紹介していきます。
最高峰の工芸品の今と当時の姿を比較
《若宮御料古神宝類 毛抜形太刀》平安時代 保延元年(1135) 奈良 春日大社
展覧会名にある「若宮国宝展」のとおり、本展では「若宮御料古神宝類」として国宝に指定されている作品がすべて展示されています。一部は鎌倉時代に下りますが、ほとんどが平安時代後期(12世紀)に製作され、藤原摂関家をはじめそれに近い平安貴族から奉納されたとみられている品々です。
当時最高峰の技術を駆使して作られた千年近い歴史を持つ工芸品は、私たちが目の当たりにできるだけで奇跡のようです。長い時間を経た風合いには、守り継いできた人々の思いが詰まっています。
《若宮御料古神宝類 毛抜形太刀 復元模造》(部分) 現代 平成15年(2003) 奈良 春日大社
本展では、現代の科学調査と人間国宝の技術により、当時の姿を復元した作品も展示されています。例えば、太刀に施された装飾の細かさが伝わるでしょうか? 非の打ち所のない完璧な美しさの前に、ため息をつくことしかできませんでした。平安貴族の美意識や当時の職人たちの技術の高さがうかがえます。
復元の鑑賞を通じ、当時の貴族が神にどれほどの思いを捧げたのかを感じ取ることができました。最高峰の工芸品が奉納されるほど、若宮神が篤く信仰されていたとも言えるでしょう。
日本文化の歴史的リレー
今回で60回目を迎えた春日大社の御造替は、平安時代から続く伝統的な事業。古くは天皇や上皇、藤原摂関家など、現代では国や企業、一般の支援者、神社関係者などに支えられて存続してきました。
また、現代まで続いてきた「春日若宮おん祭」は、保延2年(1136)、関白であった藤原忠通によって始められたと伝えられています。若宮神を寿ぐ祭祀で、古式の神事と神楽、舞楽や猿楽などの芸能が奉納されます。祭礼に奉仕する大勢の人々が、伝統的な衣装に身を包んで隊列を組んで参上する「お渡り」(風流行列)で広く知られています。
本展では、御造替に関する資料やおん祭の様子を描いた絵巻などが展示され、千年の伝統を守り受け継いできた文化のリレーを学ぶことができました。同時に、私たちも文化を未来に伝える当事者です。歴史の大きな流れの中で、私たちがすべきことを考えさせられる展覧会でした。
【まとめ】華やかな王朝文化と歴史的なリレー
《若宮御料古神宝類 金鶴及銀樹枝・銀樹枝》 平安時代(12世紀) 奈良 春日大社
平安時代の最高峰の技術を駆使した優れた作品や、当時の姿を復元した作品に触れ、平安貴族たちの美意識の高さや若宮神が篤く信仰されていたことを学べる展覧会でした。
同時に、御造替やおん祭といった伝統的な行事が千年もの間継承され、現代に受け継がれていることも重要です。有形・無形の文化は決して過去のものではありません。伝統という名のバトンを、たとえ無自覚だとしても私たちは確実に受け取っているのだと痛感しました。
伝統を守ってきた人々に敬意を抱くとともに、次の世代のために自分に何ができるかを考えさせられる展覧会でした。
展覧会情報
式年造替記念特別展「春日大社 若宮国宝展―祈りの王朝文化―」
会期:令和4年(2022)12月10日(土)~令和5年(2023)1月22日(日)
会場:奈良国立博物館 東・西新館
休館日:毎週月曜日(ただし、1月2日[月・休]、1月9日[月・祝]は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月10日(火)
開館時間:午前9時30分~午後5時 ※入館は閉館の30分前まで
https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/special_exhibition/202212_wakamiya/
画像ギャラリー
あわせて読みたい
-

EVENT
2026.04.19
「”カフェ”に集う芸術家」展タイアップメニューが6月13日より登場!
イロハニアート編集部
-

EVENT
2026.04.18
【千葉・養老渓谷】『チームラボ 養老渓谷』が4月17日(金)オープン!光のアート空間!
イロハニアート編集部
-

EVENT
2026.04.17
オカタオカ・陶板作品が並ぶ個展「TOBAN TOBAN」が瀬戸・STUDIO 894で開催
イロハニアート編集部
-

EVENT
2026.04.16
1021日、103カ国—世界を旅した写真家が問う「境界とは何か」。竹沢うるま個展『Boundaries』虎ノ門で開幕
イロハニアート編集部
-

EVENT
2026.04.11
大阪堂島浜タワー16階のデジタルギャラリーで「Sunny COLLECTION」開催 4月8日(水)から
イロハニアート編集部
-

EVENT
2026.04.09
【東京都庭園美術館】約10年ぶりの回顧展「ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―」2026年7月4日から開催
イロハニアート編集部
このライターの書いた記事
-

STUDY
2026.04.13
フェルメールは借金王?美しい青の絵具を代償に没落した巨匠
明菜
-

EVENT
2026.04.08
【京都市京セラ美術館 現地レポ】『西洋絵画400年の旅—珠玉の東京富士美術館コレクション』生きた美術史に触れる展覧会
明菜
-

EVENT
2026.03.26
14年ぶり最後の来日!?『フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日』
明菜
-

STUDY
2026.03.23
《真珠の耳飾りの少女》のモデルは誰?絵画ジャンル「トローニー」の秘密を暴く3つの説
明菜
-

EVENT
2026.03.19
【読者プレゼント】来場者が主役!京都市京セラ美術館『大どろぼうの家』開催。ゴヤもルノワールも盗まれた?
明菜
-

EVENT
2026.03.16
東京都庭園美術館『建物公開2026 アニマルズ in 朝香宮邸』動物たちのアートが一挙公開!
明菜

美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
明菜さんの記事一覧はこちら



