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EVENT

2023.4.1

【4月のおすすめ展覧会5選】ルオーからマティス、そして土佐出身の知られざる絵師、絵金の回顧展まで。

今年は全国的に桜の開花が早く、かつてないスピードにて日本列島の南から北までが桜色に染まろうとしています。

4月は多くの展覧会がスタートする時期です。ここではともに約20年ぶりとなるルオーとマティスの2つの回顧展をはじめ、実に高知県外では50年ぶりの開催となる土佐の絵師、絵金の展覧会など、5つのおすすめ展覧会をご紹介します。

「ルオーの美術館」で鑑賞する、日本におけるルオーの最も充実した回顧展

19世紀末から20世紀前半のフランスで活躍した画家、ジョルジュ・ルオー(1871〜1958年)。キリスト教主題の作品を制作した一方、サーカスや娼婦といった社会の底辺で生きる人々などを描くと、晩年にかけて光り輝くような色彩と絵具を厚く塗り重ねた独自の表現を獲得し、多くの人々の心をとらえてきました。また二つの大戦を経験したルオーは、戦争の残酷さや人間の苦悩を見つめ続けた画家のひとりでもあります。

パナソニック汐留美術館で開催される『開館20周年記念展 ジョルジュ・ルオー—かたち、色、ハーモニー—』では、ルオーが自らの芸術を語るのに用いた言葉、「かたち、色、ハーモニー」をキーワードにしてルオーの造形の魅力を紹介。フランスや国内の美術館などより国内初公開のものを含む約70点の作品が展示されます。かねてより同館にはルオーの代表作が約260点収蔵されていますが、まさに「ルオーの美術館」ならではの充実した回顧展となります。

『開館20周年記念展 ジョルジュ・ルオー—かたち、色、ハーモニー—』 パナソニック汐留美術館
開催期間:2023年4月8日(土)〜6月25日(日)
所在地:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
アクセス:JR線新橋駅より徒歩約8分。東京メトロ銀座線新橋駅2番出口より徒歩約6分。都営大江戸線汐留駅3・4番出口より徒歩約5分
開館時間:10:00~18:00 
 ※5月12日(金)、6月2日(金)、6月23日(金)、6月24日(土)は20:00まで開館
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:水曜日(ただし5月3日、6月21日は開館)
料金:一般1200円、65歳以上900円、大学生1100円、中・高校生700円、小学生以下無料
https://panasonic.co.jp/ew/museum/

お庭のカキツバタとコラボレーション!国宝『燕子花図屏風』が根津美術館にて公開

江戸時代の琳派を代表する作品のひとつである、尾形光琳(1658〜1716年)の国宝『燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)』。金地に高品質な絵具を用いて描かれた燕子花は、はつらつとした正気に満ちていて、花群がリズミカルに続く構図は、現代のデザインの観点から見ても魅力に溢れています。光琳や作品の名を知らずとも、図版などで一度や二度、目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

この光琳の『燕子花図屏風』を中心に、幕府の御用絵師の狩野探幽をはじめ、琳派の祖である俵屋宗達の後継者の喜多川相説、さらには光琳の弟子だった渡辺始興といった、光琳が生きた期間に活動した絵師の作品を紹介する展覧会が、東京・南青山の根津美術館にて開かれます。同館の敷地内には都心とは思えないほど緑豊かな庭園が広がり、4月末からは池にてカキツバタも見頃を迎えます。同館での『燕子花図屏風』の公開は年に一度。お庭の花と屏風との貴重なコラボレーションを楽しみましょう。

『特別展 国宝・燕子花図屏風 光琳の生きた時代1658~1716』 根津美術館
開催期間:2023年4月15日(土)~5月14日(日)
所在地:東京都港区南青山6-5-1
アクセス: 東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅下車A5出口(階段)より徒歩8分。開館時間:10:00~17:00
 ※5月9日(火)から5月14日(日)は19:00まで
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日。ただし5月1日(月)は開館。
料金:一般1500円、学生1200円
 ※オンライン日時指定予約
https://www.nezu-muse.or.jp

国語や算数などの科目別のセクションにて紹介?森美術館にて楽しく学ぶ最先端の現代アート

1990年代以降、世界の多様な歴史や文化的観点から考えられるようになった現代アート。学問の最先端では研究者があらゆるものを「わからない」と探究し、世界の認識をより豊かにすべく、新しい発見や発明を積み重ねています。そして現代アーティストらも、固定観念をクリエイティブに乗り越えていこうと活動を重ね、「わからない」を探究し続けています。いわば現代美術館は、そのような未知の世界に出会って学ぶ「世界の教室」でもあるのです。

東京・六本木の森美術館にて開かれる『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』では、現代アートを「美術」や「図画工作」といった枠組みから解き放ち、「国語」、「算数」、「理科」、「音楽」などの8つの科目別のセクションで紹介。森美術館のコレクションや現代美術史で参照するべき重要な作品、また本展のための新作を通して、見たことのない、また知らなかった世界との出会いを提示します。東京で一番空に近い美術館にて刺激と発見に満ちた現代アートが展開することでしょう。

『森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』 森美術館
開催期間:2023年4⽉19⽇(水)~9⽉24⽇(⽇)
所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
アクセス:東京メトロ日比谷線六本木駅1C出口徒歩3分(コンコースにて直結)。都営大江戸線六本木駅3出口徒歩6分
開館時間:10:00~22:00
 ※火曜日のみ17:00まで。ただし5月2日(火・祝)、8月15日(火)は22:00まで
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般2000(1800)円、学生(高校・大学生)1400(1300)円、子ども(4歳~中学生)800(700)円、シニア(65歳以上)1700(1500)円
 ※平日料金。休日は一般・シニアは200円増し、学生・子どもは100円増し
 ※( )内はオンラインチケット料金。
https://www.mori.art.museum/jp/

50年ぶりに県外にて回顧展が開催!土佐の絵師、絵金の知られざる鮮烈な芝居屏風絵の世界

幕末から明治初期にかけて活動した絵師、金蔵(1812〜1876年)を知っていますか? 土佐で活動した金蔵は、数多くの芝居絵屏風を残し、地元では「絵金さん」の愛称で長年親しまれてきました。浄瑠璃や歌舞伎の場面を時に血みどろで鮮烈に描いた作品は、極めてユニークでかつおどろおどろしくも美しく、一度見れば頭から離れないような強い印象を残します。現在でも高知では夏祭りの数日間、県内各所の神社などで飾られ、人々の目を楽しませてきました。

その絵金を半世紀ぶりに高知県外にて紹介するのが、大阪のあべのハルカス美術館にて開かれる『恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金』です。ここでは絵金の傑作として名高い香南市赤岡町の4つの地区が所蔵する芝居絵屏風をはじめ、芝居の物語や年中行事の絵巻、さらには土佐を襲った大震災を描いた画帖や関わりのあった絵師の作品を通し、絵金の類稀なる個性と魅力を明らかにします。また神社の絵馬台の再現展示や、高知の夏祭りを彩る絵馬提灯なども見どころです。

『恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金』 あべのハルカス美術館
開催期間:2023年4月22日(土)~ 6月18日(日)
所在地:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F
アクセス:近鉄大阪阿部野橋駅西改札、JR線天王寺駅中央改札、地下鉄御堂筋線天王寺駅西改札よりそれぞれ2〜3分
開館時間:火~金 / 10:00~20:00、月土日祝 / 10:00~18:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:4月24日(月)、5月8日(月)、22日(月)
料金:一般1600円、大高生1200円、中小生500円
https://www.aham.jp/
https://www.ktv.jp/event/ekin/

パリ、ポンピドゥー・センターから名品約150点が来日!東京都美術館の『マティス展』

20世紀を代表するフランスの巨匠、アンリ・マティス(1869〜1954)は、純粋な色彩による絵画様式であるフォーヴィスム (野獣派) を生みだすと、84歳にて世を去るまで鮮やかな色彩と光を探し求め、後世の芸術家にも多くの影響を与えました。肖像画や室内画、それに風景画といった絵画だけでなく、彫刻、ドローイング、また「ジャズ」などのシリーズで知られる切り紙絵、さらには南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂のためのプロジェクトなど、幅広いジャンルにて業績を残しています。

東京都美術館にて開催される『マティス展 Henri Matisse: The Path to Color』では、世界最大規模のマティスコレクションを誇る、パリのポンピドゥー・センターから名品約150点が来日。マティスの多角的な仕事の軌跡を時間を追ってたどっていきます。国内でのマティスの回顧展は約20年ぶりのこと。マティス初期の傑作『豪奢、静寂、逸楽』が日本初公開を果たすなど、マティスファンはもちろん、西洋絵画ファンにとって見逃せない展覧会となります。

マティスについてもっと知りたい方はこちら!
▼アンリ・マティスとは? 生涯と絵画作品から「彼は何がすごいのか?」を紐解く

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『マティス展 Henri Matisse: The Path to Color』 東京都美術館
開催期間:2023年4月27日(木)~8月20日(日)
所在地:東京都台東区上野公園8-36
アクセス:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成電鉄京成上野駅より徒歩10分
開室時間:9:30~17:30
 ※金曜日は20:00まで
 ※入場は閉館の30分前まで
休室日:月曜日、7月18日(火) ※ただし、5月1日(月)、 7月17日(月・祝)、 8月14日(月)は開室。
観覧料:一般2200円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1500円、高校生以下無料
 ※オンラインでの日時指定予約制
https://www.tobikan.jp
https://matisse2023.exhibit.jp/

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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