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2024.7.5

田名網敬一 記憶の冒険:新作含む約500作品公開!60年以上の創作

多様なメディア—絵画、コラージュ、立体作品、アニメーションを駆使し、1960年代以降、日本のアンダーグラウンドなアートシーンをリードしてきた田名網敬一の世界初となる大規模回顧展「田名網敬一 記憶の冒険」が、東京・国立新美術館で、2024年8月7日(水)から11月11日(月)まで開催されます。

田名網敬一《彼岸の空間と此岸の空間》2017年 顔料インク、アクリル・シルクスクリーン、ガラスの粉末、ラメ、アクリル絵具/カンヴァス 217 x 300 cm(3幅対) ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

会場には「橋」をモチーフとした巨大インスタレーションが国立新美術館の広大な展示室に出現します。初公開の最新作を含む約500点で、田名網敬一の60年以上に及ぶ創造的な世界が展覧されます。

展覧会の概要

田名網敬一《1967 東京》1967年 シルクスクリーン/紙 103 × 72.8 ㎝ ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

田名網は1957年に日本宣伝美術会主催の日宣美展で特選を受賞し、武蔵野美術大学在学中から活躍を始めました。そして卒業後に入社した博報堂から独立後は多岐にわたるメディアで作品を制作し、1975年には日本版『PLAYBOY』の初代アートディレクターに就任。1980年代には東洋的な楽園や奇想の迷宮を描き、1991年には京都造形芸術大学の教授として後進の育成にも携わりました。

現在も創作活動を続ける彼の作品は、世代や国境を超えて多くのアーティストやデザイナーに影響を与え、世界中の著名な美術館に所蔵されています。

田名網敬一《昇天する家(C)》1986年 木、ラッカー 100 x 63.5 x 24 cm ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

彼の幼少期に体験した戦争の記憶と、後に影響を受けたアメリカの大衆文化が、彼の色鮮やかな作品に強く反映されています。この展示は、田名網の豊富なアーカイブを通じて、彼の60年以上にわたる活動を「記憶」というテーマで再考し、過去の記憶を追いながら、その記憶がどのように変化していくかを探るものです。

田名網敬一《気配》2022年 デジタルカンヴァスプリント、雑誌のスクラップ、インク、アクリル絵具、クリスタルガラス/カンヴァス 194 x 130 cm ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

本展の見どころ

多岐にわたる田名網敬一の創作活動について、見どころを紹介していきます。

1 日本の戦後文化史と密接に結びついた作品

田名網敬一《ORDER MADE!!》1965年 シルクスクリーン/紙 78.9 x 109.4 cm ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

この展示には、日本の戦後文化史と深く関連する作品が数多く含まれています。アンディ・ウォーホルの影響を受けた、日本における最初期のポップアートとも呼べる「ORDER MADE!!」シリーズ(1965)、アメリカの『Avant Garde』誌のベトナム反戦ポスターコンテストで入選した「NO MORE WAR」シリーズ(1967)、テレビ番組「11PM」のために制作されたコラージュ手法を用いたアニメーション《Good-by Marilyn》(1971)など、戦後日本のカウンターカルチャーを反映した作品群が展示されています。

田名網敬一《NO MORE WAR》1967年 シルクスクリーン/紙 63 x 48 cm ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

田名網敬一《Good-by Marilyn》1971年 16ミリフィルム 4分25秒 ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

2 増幅を続ける「記憶」

田名網敬一《森の掟》2024年 顔料インク、アクリル・シルクスクリーン、ガラスの粉末、ラメ、アクリル絵具/カンヴァス 250 x 200 cm ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

「記憶」をテーマに創作活動を拡張している田名網は、自らの過去の記憶や夢を作品の主題にしています。幼少期の戦争体験や重い病を患った経験が、彼の創作の大きな動機となっており、「人間は自らの記憶を無意識のうちに作り変えながら生きている」という考えに基づき、脳内で増幅される「記憶」を探求しています。

田名網敬一《常磐松(A)》1986年 シルクスクリーン/紙 103 × 73 ㎝ ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

この展覧会「田名網敬一 記憶の冒険」では、新作をはじめ、70年代から記録されてきた夢日記やドローイング、関連するインスタレーションも展示し、田名網の絶え間ない創造力の源を探ります。

3 変幻自在なコラボレーション

田名網敬一《夢の王国》2018年 顔料インク、アクリル・シルクスクリーン、ガラスの粉末、ラメ、アクリル絵具/カンヴァス 140 × 100 × 4㎝ ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

田名網敬一は長いキャリアの中で、様々なクライアントとの仕事や幅広いコラボレーションを展開してきました。彼はファッションブランドのMary Quant、adidas、JUNYA WATANABE、Ground Y、そしてミュージシャンのGENERATIONS from EXILE TRIBE、八代亜紀、RADWIMPSといったアーティストたちと協働。

田名網敬一《ドカーン》2022年 顔料インク、アクリル・シルクスクリーン、ガラスの粉末、ラメ、アクリル絵具/カンヴァス 149 x 100 cm ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

さらに、ウルトラマンのようなキャラクターや生前に親交があった赤塚不二夫とのコラボレーション作品も手がけています。この展示では、田名網がどのようにしてコラボレーションを積極的に行い、新たな創造的な作品を生み出すかの過程にもスポットライトを当てています。

田名網敬一とは

ポートレイト「パラヴェンティ:田名網 敬一」プラダ青山にて 2023年 ©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

1936年に東京で生まれ、武蔵野美術大学を卒業した田名網敬一は、アートディレクター、実験映像及びアニメーション作家、アーティストとして多岐にわたる創作活動を展開しており、その独自の地位を築いています。

近年の主要な展覧会には、プラダ青山店での「パラヴェンティ:田名網 敬一」(2023年)、ヴィーナス・オーヴァー・マンハッタンでの「マンハッタン・ユニヴァース」(2022年)、NANZUKA UNDERGROUNDでの「世界を映す鏡」(2022年)、ルツェルン美術館での個展(2019年)、ジェフリー・ダイチでの個展(2019年)などがあります。

また、ポップアートの大規模な回顧展「インターナショナル・ポップ」(ウォーカー・アート・センター、ダラス美術館、フィラデルフィア美術館、2015-2016年)や「世界はポップになる」(テート・モダン、2015年)にも参加。彼の作品は、ニューヨーク近代美術館、ウォーカー・アート・センター、シカゴ美術館、M+、ナショナル・ポートレート・ギャラリー、ハンブルガー・バーンホフなど、世界各地の美術館に収蔵されています。

開催概要

展覧会名 田名網敬一 記憶の冒険
会期 2024年8月7日(水)〜11月11日(月)
休館日 毎週火曜日
会場 国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
開館時間 10:00〜18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
入館料 一般2,000円、大学生1,400円、高校生1,000円
※中学生以下は入場無料
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
チケット情報は後日、国立新美術館ホームページ等でお知らせします。
アクセス 東京メトロ千代田線乃木坂駅
青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩約5分
都営地下鉄大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分
展覧会HP 田名網敬一 記憶の冒険
お問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

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つくだゆき

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東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。

東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。

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