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2025.3.21

【汐留】約110点の絵画で画業をたどる『オディロン・ルドン―光の夢、影の輝き』

非日常を求めて、美術館に行きたい。そんな人にチェックしてほしいのが、『PARALLEL MODE : オディロン・ルドン―光の夢、影の輝き』です。パナソニック汐留美術館にて、4月12日(土)〜6月22日(日)まで開催されます。

オディロン・ルドン《神秘的な対話》1896年頃 岐阜県美術館オディロン・ルドン《神秘的な対話》1896年頃 岐阜県美術館

オディロン・ルドン(1840-1916)は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した、フランス出身の画家。その作風は、展覧会タイトルにある「光の夢、影の輝き」が言い当てるとおり。鮮やかに描き出される幻想的な光景や、甘美さを内包する闇や黒など、豊かな物語を感じる表現を得意としました。

本展では、世界屈指のルドン・コレクションを誇る岐阜県美術館の所蔵品を中心に、国内外の名品を加えた約110点の作品が展示されます。東京では初公開となる《窓》を含め、初期から晩年までのルドンの画業の全容を堪能できる好機となりそうです。

見どころ①国内外の作品約110点でたどるルドンの画業と芸術

オディロン・ルドン《光の横顔》1885-90年頃 オルセー美術館オディロン・ルドン《光の横顔》1885-90年頃 オルセー美術館(ルーヴル美術館版画素描部)© GrandPalaisRmn (musée d'Orsay) / Gérard Blot / distributed by AMF

ルドンが生きた19世紀後半から20世紀初頭は、科学の発展によって社会が大きく変化した時代。芸術の分野でも、伝統的な美術の流れに対し、印象派をはじめとする新しい芸術潮流が次々に生まれました。

ルドンは、社会や芸術傾向の変化とともに作品発表の場や人脈を広げ、新しい画題に取り組みました。初期には木炭画や石版画で幻想的なイメージを表現し、1890年代以降はパステル画や油彩画へと展開していきます。

オディロン・ルドン《花の中の少女の横顔》1900-10年頃 岐阜県美術館オディロン・ルドン《花の中の少女の横顔》1900-10年頃 岐阜県美術館

本展では、40年以上かけてルドンの作品を収集し、世界でも傑出した高い質と量を誇る岐阜県美術館から約80点が出品。
さらに、国内に所蔵される優品、パリのオルセー美術館所蔵の油彩画と木炭画も展示されます。初期から晩年までの作品を丁寧に通覧することで、ルドンの芸術ともっと仲良くなれそうです。

見どころ②色彩の時代のパステル画と油彩画

オディロン・ルドン《絶対の探求・・・哲学者》1880年 岐阜県美術館オディロン・ルドン《絶対の探求・・・哲学者》1880年 岐阜県美術館

既にルドンをご存知の方には、「異形のものたちが登場するグロテスクな世界を黒で描いた画家」といったイメージがあるかもしれません。それもルドンの一面ですが、キャリアの後半に描いた色彩豊かなパステル画や油彩画にも注目してみましょう。

オディロン・ルドン《ペガサス、岩上の馬》1907-10年頃 ひろしま美術館オディロン・ルドン《ペガサス、岩上の馬》1907-10年頃 ひろしま美術館

本展では、1890年代(50歳代)以降の色彩の時代のパステル画と油彩画がまとまって出品。肖像画、花の絵、神話画、 装飾画など、より理解しやすい主題が選ばれ、鮮やかに表現されています。

オディロン・ルドン《黒い花瓶のアネモネ》1905年頃 岐阜県美術館オディロン・ルドン《黒い花瓶のアネモネ》1905年頃 岐阜県美術館

主題が闇の世界から光の世界へと移ろい、表現に色彩を取り入れるようになった背景には、ナビ派など同時代の画家たちの影響もあったのかもしれません。

見どころ③東京で初公開となる《窓》

1900年、パリ万国博覧会で作品が展示され、国内でのルドンの評価はますます安定的なものに。1903年にはレジオン・ドヌール勲章を受章し、1904年のサロン・ドートンヌではルドンに一室が与えられます。最晩年の1913年には、アメリカを舞台としたアーモリー・ショーに出品するなど、国際的にも名声を獲得していきました。

オディロン・ルドン《窓》1906年頃 岐阜県美術館オディロン・ルドン《窓》1906年頃 岐阜県美術館

そんなルドンが晩年に描いた《窓》が、東京で初公開されます。岐阜県美術館が新たに収蔵した本作には、晩年の主要な画題のひとつである「ステンドグラス」が描かれています。

オディロン・ルドン《『起源』IV.セイレーンは無数の針をつけて波間から現れた》1883年 岐阜県美術館オディロン・ルドン《『起源』IV.セイレーンは無数の針をつけて波間から現れた》1883年 岐阜県美術館

また、ルドン流の進化論といわれる石版画集『起源』が9点揃って展示される、貴重な機会でもあります。本展だからこそ味わえるルドン の世界をお楽しみください。

展覧会情報

PARALLEL MODE : オディロン・ルドン―光の夢、影の輝き

会期:2025年4月12日(土)〜 6月22日(日)
会場:パナソニック汐留美術館
開館時間:午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
※5月2日(金)、6月6日(金)、6月20日(金)、6月21日(土)は夜間開館 午後8時まで開館(入館は午後7時30分まで)
休館日:水曜日(ただし6月18日は開館)
展覧会ウェブサイト:PARALLEL MODE : オディロン・ルドン―光の夢、影の輝き

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明菜

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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。

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