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EVENT

2025.4.1

『ととのう展~ヘルスケアにつながる美術館~』が諸橋近代美術館にて開催!アートを通した“ととのう”感覚とは?

“ととのう”という言葉、よく耳にしませんか?タナカカツキの『マンガ サ道』を原作した大人気ドラマ『サ道』をきっかけに、2021年の新語・流行語大賞にノミネート。空前のサウナブームの中、ますます心身ともに深くリラックスする“ととのう”という価値が見直されています。

諸橋近代美術館

その“ととのう”キーワードに、『美術館からはじめるヘルスケア』を提案するユニークな展覧会が、福島県の諸橋近代美術館にて4月12日より開催されます。この記事では見どころをご紹介します。

博物館浴とは?ヘルスケア発想での新たな鑑賞体験!

ぃぃ《かたちかな》 2020年  ©︎ぃぃ 2025

まず「Introduction:“ととのう”ためのエクササイズ」では、流行語にもなった “ととのう” の概念を明らかにしながら、“ととのう”鑑賞体験のための鑑賞前の脳と体のエクササイズを紹介。眼の簡単なストレッチや頭を柔らかくするクイズ体験、さらに展示室内の目安歩数や消費カロリーの掲示など、かつてないヘルスケア発想での美術館の鑑賞体験を楽しむことができます。

続く「第1章」では、鑑賞体験が健康・ウェルビーイングにもたらす効果について、九州産業大学が研究を進める「博物館浴(博物館が持つ癒し効果を人々の健康増進・疾病予防に活用する活動)」を例に、科学的な実験方法やその結果を紹介します。

印象派の画家たちの作品から追体験する“ととのい”

アルフレッド・シスレー《積み藁》 1895 公益財団法人諸橋近代美術館

「第2章」で登場するのは印象派の画家たちの作品です。19世紀以降、ヨーロッパでは急速な近代化とともに、印象派をはじめとした多くの芸術家が都市から自然豊かな田舎町に出向き、戸外にて制作を行いました。

その背景には鉄道網の発達やツーリズムの発展による余暇活動が充実したという一面と、都市の中産階級における労働生活の日常化という一面がありました。

そこで本章では、印象派をはじめとした戸外制作の画家たちの表現を時代背景からひも解き、画家たちが自然にどのように魅せられ、戸外での制作に至ったのかについて紹介します。自然を前に感じた印象を、画家の“ととのった”瞬間と読み解き、印象派の画家たちの作品を通して、画家の“ととのい”を追体験することができます。

ダリ作品から見る、究極の“ととのった”世界とは?『マンガ サ道』の原画も公開!

サルバドール・ダリ《ダンテ『神曲』天国篇 第24歌》 1960 公益財団法人諸橋近代美術館 © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR Tokyo, 2024 B0829

第3章のキーワードのひとつは天国です。究極の“ととのった”体験は、天国や極楽と喩えられることがあります。古今東西、究極の至福とは天国や極楽にあると考えられていて、そのまだ見ぬ天国世界を数々の芸術家たちは理想郷として描きました。また今に生きる私たちもマッサージや温泉で癒された時に、それを“ごくらく”と表現した経験があるかもしれません。

本章では、サルバドール・ダリが描いたダンテ『神曲』天国篇の挿絵版画を引用し、ダンテやダリが想像した天国世界を紹介していきます。諸橋近代美術館といえば、アジア随一のダリ・コレクションで知られていますが、ダリの天国世界を味わいながら、究極の“ととのった”世界を夢想できます。

タナカカツキ《サウ画「ととのったーっ」》© タナカカツキ 2022

ラストの特別展示ではタナカカツキによる『マンガ サ道』の原画や、本展のための新たに描き下ろすオリジナル漫画を紹介。ここではサウナー(サウナ愛好家の通称)が求める“ととのう”とはどのような体験であるのかを知りながら、サウナ好きも、アート好きも、日々の生活のなかに潤いを見つけ、自身のココロとカラダがアートで “ととのう” 体験の一端を感じることができるでしょう。

国内初の「美術館×サウナフェス」も。会津磐梯高原でヘルスツーリズムを楽しもう。

『モロビでサウナフェス!』

会期中に行われる“ととのう”ためのイベントにも注目です。4月12日と13日には『モロビでサウナフェス!』を実施。諸橋近代美術館の屋外エリアにて、国内初の「美術館×サウナフェス」が開催されます。

美術館と一緒にサウナを楽しむことで、これまでと違った五感による鑑賞体験が得られること間違いありません。(詳しくは同館HPを参照)

諸橋近代美術館

庭園からは磐梯山が望め、自然に囲まれた諸橋近代美術館は、国内有数の高原リゾート地に位置します。五色沼にも近く、中世の馬小屋をイメージした美術館の建物が自然と響き合う様子も絶景です。

近年は健康増進を目的とした旅行活動であるヘルスツーリズムが注目され、特に旅行中の森林浴や温泉浴、登山といったウォーキング、さらに芸術鑑賞も効果があると考えられています。

美術館におけるヘルスケアの可能性について科学的検証を紹介するとともに、19世紀の西洋近代絵画のおける非日常や自然への渇望、またダリが描いた天国描写にみる天国イメージなどについても触れる『ととのう展』。

雪が溶け、緑が広がる春から初夏にかけては、会津磐梯高原でも特に美しい光景が広がる季節です。ヘルスツーリズムにはうってつけの場所にある諸橋近代美術館にて、かつてないアートを通した“ととのう”感覚を体感してください。

展覧会情報

『ととのう展~ヘルスケアにつながる美術館~』 諸橋近代美術館

開催期間:2025年4月12日(土)~6月29日(日)
所在地:福島県耶麻郡北塩原村桧原字剣ケ峯1093-23
アクセス:JR磐越西線「猪苗代駅」より路線バスまたはタクシーをご利用
開館時間:9:30〜17:00(最終入館16:30)
会期中無休
観覧料:一般1,300円(1,000円)、高校・大学生500円(300円)、中学生以下無料。
 ※( )内は20名以上の団体。
美術館HP:『ととのう展~ヘルスケアにつながる美術館~』

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はろるど

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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