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2025.4.29

20年ぶりの『大阪・関西万博』を楽しもう!アート好きにおすすめの見どころ紹介

日本で20年ぶりとなる国際博覧会「大阪・関西万博」が、ついに開幕。開催期間は4月13日(日)〜10月13日(月・祝)です。

提供:2025年日本国際博覧会協会

「万博楽しむぞー!」と準備ばっちりな方もいれば、「自分が行っても楽しめるのかな?」「そもそも何があるんだろう?」と、まだチェックしていない方も多いのでは。

私も開幕直前に慌てて調べまして、いやはやびっくり……。気になる展示やパビリオンが多すぎます!!

あれもこれも体験したい、大阪・関西万博。この記事では、アートや美術が好きな皆さんに向けて、見どころを厳選して紹介します。

アートも楽しめる!? 大阪・関西万博とは

提供:2025年日本国際博覧会協会

大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。サブテーマには、「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」の3つを掲げています。

コンセプトは「未来社会の実験場」。SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献や、Society5.0 の実現を目指します。

正直、「アートや美術とは関係なさそう」と思いませんでしたか?私も初めはそうでした……が、調べていくうちに「万博って、現代アートの祭典と言っても過言ではないのでは!?」と感じるようになりました。(※筆者個人の考えです……!)

提供:2025年日本国際博覧会協会

たとえば、SDGsが目指す「誰ひとり取り残さない社会」って、どんな状態なんだろう?正解が1つの問題とは違って、人の数だけ答えがあり得る問いです。

社会問題を共有し、常識にとらわれない発想で未来を思い描き、実際にやってみる。大阪・関西万博のこうした側面は、「現代アートの実験場」とも言えるのではないでしょうか?

大阪・関西万博の見どころ

アートや美術が好きな方こそ楽しめそうな大阪・関西万博。見どころは「全部です!」と言いたいのを抑え、厳選して3つ紹介していきます。

見どころ①伝統と革新が融合した大屋根リング

提供:2025年日本国際博覧会協会提供:2025年日本国際博覧会協会

大屋根リングは、全長約2km、直径約600mの円形という巨大な建造物。「最大の木造建築物」としてギネス世界記録に認定されました。

内側には世界各国のパビリオンが建設されます。「多様でありながら、ひとつ」というコンセプトのもと、分断の危機にある世界をリングがつなぎます。

提供:2025年日本国際博覧会協会

建築の方法にも工夫があり、日本の伝統的な「貫(ぬき)工法」に現代の工法を加えて建てられました。垂直な柱に穴を開け、「通し貫」と呼ばれる木材を水平に差し込み、くさびで固定する工法です。

貫工法は鎌倉時代に誕生したとされています。耐震性に優れた構造で、京都の清水寺をはじめ、神社仏閣の建築を中心に普及しました。

提供:2025年日本国際博覧会協会

今、木造建築は世界的にも見直されており、注目度が高まっている領域です。大屋根リングは、歴史に学び未来へと知恵をつなぐ私たち人類の象徴でもあるように思います。

リングの下部(グラウンドウォーク)は来場者のメイン動線で、日差しや暑さから来場者を守る機能も。リングの上部(スカイウォーク)からは、会場全体が見渡せます。

見どころ②創造力を刺激されるシグネチャーパビリオン

国内パビリオン、海外パビリオン、民間パビリオンなど、1日で回りきれないほどの展示パビリオンがある大阪・関西万博。ここでは、「シグネチャーパビリオン」に注目してみましょう。

シグネチャーパビリオンとは、メディアアーティストや映画作家など各界の最前線で活躍する8人が、「いのち」をテーマにプロデュースするパビリオンです。

©Yoichi Ochiai

たとえば、メディアアーティストの落合陽一さんは「いのちを磨く」をテーマに、「null2(ヌルヌル)」をプロデュース。素材の開発に3年ほどかけたそうで、「動く鏡」が実現されました。

一方、パビリオンの中には「デジタルな鏡」が。来場者のコピーである「デジタルヒューマン」が生成され、現実の自分とデジタルの自分が向かい合います。……いったいどんな体験になるのでしょうか?

デジタルヒューマンという自分のコピーに、外見や嗜好、行動パターンといったデータを保存する。それは、仮想空間で遊ぶときに使うアバターとは違うニュアンスのよう。落合さんが構想する未来とはどんなものなのか、「null2」で体験できるかもしれません。

©Naomi Kawase, All Rights Reserved.

映画作家の河瀨直美さんは「いのちを守る」をテーマに、「Dialogue Theater –いのちのあかし–」をプロデュースしています。

廃校になった奈良県の小中学校を移築したシアターでは、スクリーンの向こうの人物と観客のひとりが「対話」。私たちの身近にもある「分断」を明らかにし、乗り越える方法を探ります。

©SANAA

データサイエンスなどを専門とする慶應義塾大学教授の宮田裕章さんは「いのちを響き合わせる」をテーマに、「Better Co-Being」をプロデュースしています。

SANAAが設計を担当したパビリオンには屋根も壁もなく、「静けさの森」に溶け込んでいます。そこでは偶然集まった来場者でグループを組み、人と人、人と世界、人と未来が共鳴する体験ができるそう。

見どころ③日本初の展示も注目のイタリアパビリオン

出典:https://www.italyexpo2025osaka.it/en/media-kit

世界各地から160の国と地域が参加する「海外パビリオン」からは、「芸術は生命を再生する」がテーマのイタリアパビリオンに注目してみましょう。

出典:https://www.italyexpo2025osaka.it/en/media-kit

「ルネッサンスの理想都市」を再解釈したパビリオンでは、イタリアの最新技術やオペラの上演などが行われます。屋上には庭園とレストランがあり、イタリア料理を楽しむことも。

出典:https://www.italyexpo2025osaka.it/en/media-kit

中でも見逃せないのが、紀元2世紀頃の彫刻《ファルネーゼのアトラス》の展示です。高さ約2m、重さ約2トンの大作で、日本で公開されるのは今回が初めてとなります。

イタリアパビリオン内に設置されるバチカンパビリオンでは、カラヴァッジョの名画《キリストの埋葬》が展示予定。「美は希望をもたらす」をテーマに掲げるバチカンパビリオンでは、他にはない芸術と信仰の力を体感できそうです。

あらゆる分断が生まれる世界で、芸術にはどんなことができるんだろう。大阪・関西万博ではアートや芸術を率直に楽しみながら、未来を想像することもできるのではないでしょうか。

イベント情報

提供:2025年日本国際博覧会協会

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)

開催期間:2025年4月13日(日)~10月13日(月) ※184日間
開催場所:大阪 夢洲(ゆめしま)

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明菜

明菜

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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。

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