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EVENT

2026.2.18

細見美術館 特別展『志村ふくみ 百一寿 ー夢の浮橋ー』源氏物語に着想した作品や最新作を公開

紬織の人間国宝であり、随筆家としても知られる染織作家・志村ふくみさん。70年にわたる制作の軌跡をたどる展覧会『志村ふくみ 百一寿 ー夢の浮橋ー』が、京都の細見美術館にて開催されます。会期は3月3日(火)〜5月31日(日)です。

《若紫》 2007年 志村ふくみ 絹糸/紫根、茜 【前期展示】《若紫》 2007年 志村ふくみ 絹糸/紫根、茜 【前期展示】

志村さんは31歳の頃に母親の影響で染織家を志し、植物染料と紬糸を用いる紬織を始めました。その作品の特徴といえば、音楽を奏でるように響き合う色彩。そこには、自然と作家の間で交わされる丁寧な対話のようなイメージをも感じられます。

1990年には紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。本展は、2025年秋に101歳を迎えた志村さんのこれまでを振り返る展覧会です。本展をきっかけに構想・制作された作品2領(※)も初めて公開されます。

※領…ひとそろえの着物の単位

見どころ①源氏物語をテーマにした連作

《朧月夜》 2025年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸・金糸/紫根、藍、臭木 【通期展示】《朧月夜》 2025年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸・金糸/紫根、藍、臭木 【通期展示】

京都・嵯峨野に工房を構えた志村さんは、70代半ばから源氏物語をテーマとした連作を手がけてきました。嵯峨野といえば、光源氏のモデルとされる源融(みなもとのとおる)が眠る地。平安時代の王朝世界を身近に感じたことが、源氏物語シリーズ制作のきっかけとなりました。

《夢の浮橋》 2025年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸/紅花、茜、紫根、藍、刈安 【通期展示】《夢の浮橋》 2025年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸/紅花、茜、紫根、藍、刈安 【通期展示】

本展では、滋賀県立美術館の所蔵作品を含む代表作12点を展示。さらに、本展のために制作された新作《朧月夜》と《夢の浮橋》が初めて公開されます。

作品のタイトルは各帖からとられ、色と織りで物語の香りや響き、情感を表現。文学世界の味わいを、言葉ではなく染織で表した傑作シリーズです。

見どころ②新作能『沖宮』の能装束をすべて展示

2021年、作家・石牟礼道子さんが遺した新作能『沖宮』の公演が行われました。こちらはそのときの映像です。衣装は志村さんが手がけました。

舞衣《紅扇》 2021年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸/紅花、藍、刈安、臭木、紫根 【前期展示】舞衣《紅扇》 2021年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸/紅花、藍、刈安、臭木、紫根 【前期展示】

『沖宮』の舞台は、島原の乱が起こったあとの天草下島の村です。村は干ばつに苦しんでおり、少女の「あや」が龍神への人身御供として差し出されることになりました。舟に乗って沖へ流されたあやは、天草四郎によって「沖宮」へと導かれていきます。

小袖《Francesco》 2020年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸/臭木、藍 【前期展示】小袖《Francesco》 2020年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸/臭木、藍 【前期展示】

本展では、『沖宮』で使われる6領の装束すべてが展示。あやを象徴する緋色が鮮やかな《紅扇》と、天草四郎の小袖《Francesco》は関西初公開です。

見どころ③志村ふくみの豊かな創造世界

《風露》 2000年 志村ふくみ 絹糸/紅花、藍、刈安、紫根 【後期展示】《風露》 2000年 志村ふくみ 絹糸/紅花、藍、刈安、紫根 【後期展示】

志村さんは長きにわたって織ってきた着物の残り布や端切れを愛おしく思い、大切に保管してきたそうです。80代に入ってからはこれらの布を使ったコラージュ作品にも取り組みました。

《五月のウナ電》 詩:高村光太郎 書・裂:志村ふくみ 【後期展示】《五月のウナ電》 詩:高村光太郎 書・裂:志村ふくみ 【後期展示】

《五月のウナ電》は、高村光太郎による同名の詩を志村さんが筆でしたため、端切れで飾った作品です。詩の内容は、ヘラクレス座が「アオバ ソロッタカ」などと電報形式で自然の万物に呼びかけるもの。この詩に感動したことが、志村さんが本作を制作するきっかけとなりました。

志村さんはこの詩を、人間の慢心や環境破壊と結びつけて捉えているそうです。本作では植物染料を用いる作家ならではの視点や感性が詩と共鳴し、私たちに美しい警告を発しているようです。

《雛形 若菜》 2006年 志村ふくみ 絹糸 【前期展示】《雛形 若菜》 2006年 志村ふくみ 絹糸 【前期展示】

また、本展では着物の雛形やスケッチなども展示。志村さんの創造世界の奥深くに迫る展覧会となりそうです。

展覧会情報

志村ふくみ 百一寿 ー夢の浮橋
会期:2026年3月3日(火) - 5月31日(日)
◎前期:3月3日(火) - 4月12日(日)
◎後期:4月14日(火) - 5月31日(日)
会場:細見美術館
◎京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
開館時間:午前10時 - 午後5時
休館日:毎週月曜日(ただし、5月4日は開館)、5月7日(木)

主催:細見美術館、京都新聞(予定)
後援:京都市内博物館施設連絡協議会
協力:都機工房、アトリエシムラ
監修:志村ふくみ、志村洋子

美術館公式サイト:細見美術館

入館料

◎一般:2,000円(1,800円)
◎学生:1,500円
◎前売ぺアチケット:3,400円 一般2枚組のお得なチケット。1枚ずつでもご利用いただけます。
◎きもの割:会期中、きもの姿でご来館いただくと200円引きでご観覧いただけます!

販売期間:2月3日(火)〜3月2日(月)
販売場所:ローソンチケット、イープラス

※( )内は前売料金。
※前売券は2月3日(火)から3月2日(月)までプレイガイドで販売。
※学生(中学生〜大学生)の方は学生証をご提示ください。
※障がい者の方は、障がい者手帳などのご提示で100円引き。
※割引等利用の場合は美術館窓口でお求めください。
※チケット購入の際にプレイガイドによって手数料が発生する場合があります。

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明菜

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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。

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