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2022.3.18
300点以上の原画と映画の小道具が一挙公開!『鋼の錬金術師展 RETURNS』
「降りて来いよド三流 格の違いってやつを見せつけてやる!!」
こう言って両手を合わせてから、地面に手をついた経験がある方は意外と大勢いるのではないでしょうか? 私もその一人。あと指パッチンも練習したな~。
登場人物が技を繰り出すときの印象的なポーズや、ついつい真似して言いたくなる名言といえば、『鋼の錬金術師』です。2001年に連載がスタートしたこの漫画は、2021年に20周年を迎えました。
生誕20周年を記念し、『鋼の錬金術師展 RETURNS』が開幕。東京会場は大盛況で閉幕し、ただいま大阪のひらかたパークにて開催中です。この記事では、20年前からハガレンを愛してやまない美術ライターの明菜が、本展の見どころを紹介します。物語が「実際にあった出来事」だと錯覚してしまうほど、臨場感のある展覧会でした。
『鋼の錬金術師』ってどんな物語?
展覧会の話をする前に、ご存じない方のためにハガレンの紹介をさせてください。
『鋼の錬金術師』は、2001年7月から月刊「少年ガンガン」にて連載がスタートした、荒川弘さんによるダークファンタジー作品です。主人公は兄のエドワードと弟のアルフォンス。連載開始時の年齢は15歳と14歳で子どもですが、その頃から名うての錬金術師として国内各地に名を馳せます。
そんな二人の父親も錬金術師ですが、家を出たまま帰って来ず。大好きな母親は、二人が幼い頃に亡くなってしまいました。
「もう一度、お母さんの笑顔が見たい」と願った兄弟は、父親が残した錬金術の蔵書で勉強し、ついに人体を錬成する方法を発見。無邪気な二人は、禁じられている人体錬成に疑問を持たず、世界で誰も成し得なかった死者の蘇生に挑みました。
結果。
兄は左足を、弟は身体すべてを「持っていかれ」ました(失った、と思ってください)。兄のエドは自分の右腕と引き換えに、近くにあった鎧に弟の魂を定着させることに、かろうじて成功。しかし肝心の母親は……言うまでもないでしょう。
10代とは思えない錬金術の知識と技術を持つ天才兄弟であるにも関わらず、人体錬成という禁忌を犯してボロボロの状態から始まる物語。もとの身体を取り戻すために旅に出る二人ですが、残酷な世界は彼らの希望を片っ端から奪っていきます。
ときに打ちひしがれそうになりながら、過酷な現実に立ち向かっていくエドワードとアルフォンス、それに仲間たち。重すぎる荷物を背負いながらも前進する彼らの姿に、読者は胸を打たれるはず。未読の方は、コミックス1巻だけでも試しに読んでみてくださいませ(続きが読みたくなるはずなので、余計な宣伝はなし)。
300点以上の原画で振り返る名場面
そんな『鋼の錬金術師』には、バトルシーンや名言など、数々の見せ場があります。『鋼の錬金術師展 RETURNS』では、300点以上の原画が展示され、名場面を振り返ることができました。
名シーン中の名シーンが厳選されているので、ハガレン好きからすると、息をつく暇もなくクライマックスシーンが押し寄せてくる感じ。原画に感情を翻弄され、喜怒哀楽のパラメータが左右に振り切れ、涙腺が暴走しかけながら鑑賞しました。仕事でなければ泣いてましたね。
チケットはアニメ声優陣による音声ガイド付きで、「エド&アルver.」「ロイ&リザver.」の2種類から選べます。私は大好きな大佐と中尉のガイドにしました。想像以上に中尉の台詞が多く、「君のご主人がこんなに喋ってるの初めて聞いたよ」と、フュリー曹長の気持ちになりました。
大佐と中尉が「実際にあった出来事」としてハガレンの物語を振り返るので、いつのまにか私も「実際にあった出来事なんだな」と思うようになりました。ホムンクルスのラストとの戦いでは本当に、お二人ともよくぞ生き残ってくださいました……!(敬礼)
リアリティたっぷりの小道具
会場には漫画の原画のみならず、アニメや映画、ゲームの資料も展示されていました。中でも興味深いのが、実写版映画の小道具。
2022年公開予定の映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』で使われた小道具が、多数展示されていました。漫画を忠実に再現し、作り込まれた小道具を見ていると、ハガレンのキャラクターたちが本当に存在するような気がしてなりません。
エドワードやホーエンハイム、マスタング大佐、ホークアイ中尉など、キャラクターたちの衣装も。今作の衣装が展示されるのは初めてとのことです。
ハガレンの世界観そのままのものが目の前に現れると、「やっぱり実際にあった出来事なんだな」という気がしてきます。説得力がありすぎるんですよね。
【まとめ】ハガレンの世界へ旅をしよう
原画や小道具などで20周年を祝う『鋼の錬金術師展 RETURNS』。あまりにハガレンの世界観に没入しすぎて、「アメストリス(舞台となった国)って本当にあるんだな」「これはアメストリスの歴史展なんだな」と感じるまでになりました。
中学生や高校生の頃、漫画の世界に行きたい、そっちに生まれたかった、と割と真剣に思っていました。本展は臨場感たっぷりで、それに近い体験ができる内容でした。
音声ガイドによると、キャラクターたちは今もハガレンの世界の中で生きている様子。また会える日を楽しみにしています!
展覧会情報
『鋼の錬金術師展 RETURNS』
開催期間:2022年3月12日(土)~6月26日(日)
休館日:ひらかたパークの休園日に準じる
開館時間:10:00~17:00 ※最終入場は16:30
会場:ひらかたパーク イベントホール
公式サイト:https://www.mbs.jp/hagarenten/
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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
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