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2022.7.1

ドンゲンからアリス、ボストン美術館展まで。7月のおすすめ展覧会5選

観測史上最も早い梅雨明けを迎え、連日、酷暑と言えるような暑さが続いています。そうした中、7月は夏から秋に向けて多くの展覧会がスタートする時期です。44年ぶりのドンゲンの回顧展やコロナ禍にて結果的に2年延期となった『ボストン美術館展 芸術×力』などを中心におすすめの展覧会をご紹介します。

書は決して難しくない?『よめないけど、いいね!』で学びたい書の“イロハ”

古くからいまに至るまで伝わり続けてきた日本の書。当然ながら文字には意味があり、書かれた内容を正しく理解するためには読むことが重要です。しかしそうは言われても、昔の人の字は読めず、そもそも何が書いてあるか分からないから興味がわかない……。だから「書は苦手」と難しく感じる方も多いかもしれません。

根津美術館で開かれる『よめないけど、いいね! 根津美術館の書の名品』は、そうした書のビギナー向けに、館蔵の書の名品から書の見どころを分かりやすく紹介。文字のかたちの美しさや、線が奏でるリズム、そして文字と紙の装飾などの関係を通して、思わず「いいね!」と呼びかけたくなるような書の魅力を探っていきます。この展覧会にて書の作品を深く鑑賞するために“初めの第一歩”を踏み出しましょう。

『よめないけど、いいね! 根津美術館の書の名品』 根津美術館
開催期間:2022年7月16日(土)~8月21日(日)
所在地:東京都港区南青山6-5-1
アクセス:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道」駅A5出口より徒歩8分
開館時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで
休館日:月曜日。※ただし7月18日(月・祝)は開館、翌19日(火)休館
料金:一般1300円、学生1000円、中学生以下無料
※オンラインでの日時指定予約制
https://www.nezu-muse.or.jp/

44年ぶりの回顧展!エコール・ド・パリの画家、キース・ヴァン・ドンゲンの魅力を探る

20世紀前半のエコール・ド・パリの画家、キース・ヴァン・ドンゲン(1877〜1968年)。オランダに生まれ、濃密で強烈な色彩を特徴とするフォーヴィスムの画家の一員となったドンゲンは、華麗でありながら内的な表情を思わせる色遣いよって、優美で官能的な女性をモチーフとした絵画を制作。洗練された色彩と細長くデフォルメされた人物像は、当時の上流階級の人々から絶大な人気を得ました。

そのドンゲンの画業を振り返る回顧展が、44年ぶりにパナソニック汐留美術館にて開催されます。展示では新印象派からフォーヴィスム、そしてフランスにおける1920年代の10年間を指すレザネフォルの時代(狂乱の時代)へと作品をたどりながら、ドンゲンの画風の変遷を見出していきます。エレガントな女性像から洗練された肖像画、そしてユーモアに満ちた描写のグラフィックといったさまざまな作品が楽しめそうです。

『キース・ヴァン・ドンゲン展―フォーヴィスムからレザネフォル』 パナソニック汐留美術館
開催期間:2022年7月9日(土)~9月25日(日)
所在地:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
アクセス:JR線新橋駅より徒歩約8分。東京メトロ銀座線新橋駅2番出口より徒歩約6分。都営大江戸線汐留駅3・4番出口より徒歩約5分。
開館時間:10:00~18:00 
※8月5日(金)、9月2日(金)は20時まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日:水曜日、8月12日~17日
料金:一般1000円、65歳以上900円、学生700円、中・高校生500円、小学生以下無料
https://panasonic.co.jp/ew/museum/

絵本から書籍の装画、そして絵画へ。幅広く活動するミロコマチコの作品とは?

絵本『オオカミがとぶひ』(2012年)によって出版業界にデビューしたミロコマチコ。それからも数々の絵本を手がけながら、生物や植物をモチーフとしたペインティングを制作し、画家としても幅広く活動してきました。プリミティブで魑魅魍魎とも言える絵画世界は生命力に満ちあふれていて、それは今年春、クリエイションギャラリーG8にて開かれた『ミロコマチコ展「うみまとう」』でも感じられました。


▼関連記事
大規模な個展が全国へ巡回中!生命力に溢れた生物や植物を描くミロコマチコの絵画世界
https://irohani.art/event/7351/

現在、ミロコマチコの美術館での個展が全国を巡回中。2020年の宇都宮美術館を皮切りに、神戸や高知、それに横須賀などにて開かれてきましたが、この夏、いよいよ千葉県の市原湖畔美術館へとやって来ます。ここではミロコマチコのライフワークともいえるライブペインティングの作品をはじめ、書籍の装画、絵本の原画、または奄美大島へ移住後に描いた近作などが展示されます。湖のほとりにたつ風光明媚な美術館にて、旺盛に活動するミロコマチコの底知れぬパワーを感じ取りましょう。

『ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ』 市原湖畔美術館
開催期間:2022年7月16日(土)~9月25日(日)
所在地:千葉県市原市不入75-1
アクセス:JR線五井駅より小湊鉄道に乗り換え高滝駅下車、徒歩約20分
開館時間:10:00~17:00(平日)、9:30〜19:00(土曜・祝前日)、9:30〜18:00(日曜・祝日)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
料金:一般1000円、大高生・65歳以上800円、中学生以下無料
https://lsm-ichihara.jp/

「不思議の国のアリス」の世界が六本木へ!『特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―』

ルイス・キャロルによって1895年に発表された「不思議の国のアリス」。以来、現在に至るまで170以上の言語に翻訳されると、アート、映画、音楽、ファッション、演劇など、児童文学の枠を超えてさまざまなジャンルに影響を与えてきました。もはやその名を知らない人はいないとして良いほど、世界の人々に愛されてきた作品と言えるかもしれません。2010年に公開されたティム・バートン監督の『アリス・イン・ワンダーランド』も話題を集めました。

そうしたアリスの“文化現象”をたどる初めての大規模な展覧会が、『特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―』です。展示ではジョン・テニエルの挿絵からディズニー映画のアニメーションセル、またアリスに影響を受けたダリや草間彌生らの作品、さらにヴィヴィアン・ウエストウッドらによるファッションなど、アリスに関する約300点もの作品が公開されます。それにアリスの世界を全身で体感できるような、遊び心あふれる演出も見どころとなります。

『特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―』 森アーツセンターギャラリー
開催期間:2022年7月16日(土)~10月10日(月)
所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
アクセス:東京メトロ日比谷線六本木駅1C出口徒歩3分(コンコースにて直結)。都営地下鉄大江戸線六本木駅3出口徒歩6分。
開館時間:10:00~20:00(月・火・水曜は18:00まで)。
※7月18日(月・祝)、9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は20:00まで。
※入館は閉館の30分前まで
休館日:無休
料金:一般2100(2300)円、大学生・専門学生1500(1700)円、高校生1300(1500)円、小中学生700(900)円
※平日料金。( )内は土・日・祝日料金。
https://macg.roppongihills.com/jp/
※あべのハルカス美術館(会期:2022年12月10日~2023年3月5日)へと巡回。

コロナ禍を踏まえて2年越しに実現。『ボストン美術館展 芸術×力』で見る珠玉の西洋・日本美術

1876年、アメリカの独立100周年記念日に開館したボストン美術館。古代エジプト、アジア、ヨーロッパ、アメリカの美術をはじめ、古代から現代までの作品を収集し、現在は約50万点のコレクションを誇るアメリカ屈指の美術館として知られています。本展では、ボストン美術館から珠玉の美術品を60点ほど公開。同館は日本美術の優れた作品を所蔵していることでも定評がありますが、いずれも日本に残っていれば国宝間違いない『吉備大臣入唐絵巻』と『平治物語絵巻 三条殿夜討巻』が里帰りを果たします。

それにしてもなぜ「芸術×力」(げいじゅつとちから)というタイトルが付けられているのでしょうか。それは古今東西の権力者たちに関わる作品を紹介するから。権力者らは画家や職人に芸術品を作らせ、またパトロンとして芸術家を支援しましたが、そうした力とともにあった芸術の歴史を振り返ることで、改めて芸術作品が担っていた役割を考え直そうとしているのです。コロナ禍にて2020年に中止となり、2年越しに実現したボストン美術館の至宝を目に焼き付けてください。

『ボストン美術館展 芸術×力』 東京都美術館
開催期間:2022年7月23日(土)~10月2日(日)
所在地:東京都台東区上野公園8-36
アクセス:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成電鉄京成上野駅より徒歩10分。
開館時間:9:30~17:30
※金曜日は20時まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし8月22日(月)、29日(月)、9月12日(月)、19日(月・祝)、26日(月)は開館)、9月20日(火)
観覧料:一般2000円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1400円、高校生以下無料
※オンラインでの日時指定予約制
https://www.tobikan.jp

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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