EVENT
2022.9.2
夜の植物園に常設のアートが!『チームラボ ボタニカルガーデン 大阪』
2022年7月29日から、アート集団『チームラボ』による新しい展示が大阪の長居植物園で始まりました。夜の植物園をアートで彩る常設展なので、いつでも作品を楽しめます。
長居植物園の面積は約24万平方メートルで、東京ドームで言うと約5個分という広さ。チームラボの作品もたっぷりの面積を使って展示されており、朝まで楽しめそうなくらい充実していました(22時閉園です)。
どんな作品があるのか、美術ライターの明菜が見どころを紹介していきます。
夜の植物園を彩る常設展
チームラボは、自然を破壊することなく、自然そのものが自然のままアートになるというプロジェクト「Digitized Nature」を行っています。長居植物園でも、植物の生育を妨げることなく、作品を展示しています。
一部の作品は、訪れた人が触ることができます。《自立しつつも呼応する生命の森 - ユーカリ》は、卵形のovoidがいくつも設置された作品。ovoidをかき分けながらユーカリの森を進むと、光の色が変化して波紋のように伝わっていきます。
ユーカリの香りが濃いのか、マスク越しにもほんのりと香りを感じることができました。ああ、ここで思いっきり深呼吸したい……!
ovoidで遊んだり、森のように木々が密集した道を散策したりしたあとは、大池に浮かぶ《風の中の散逸する鳥の彫刻群》をゆったり眺めてきました。ゴッホの筆跡のような渦が、刻々と流れを変えながら映し出される作品です。
この作品が描いているのは、そのとき作品の近くに吹いている風や鳥がもたらしたエネルギーの軌跡です。日中に飛んでいた鳥のエネルギーも記憶されており、重なって映し出されているとのこと。
幻想的な渦は水面にも反射しています。ぼんやりと眺めているだけで、たくさん遊んで疲れた身体を癒してくれました。
約1200種類の植物が生い茂る長居植物園は、当然、時期によって異なる植物が見頃を迎えます。私が訪れたときはヒマワリが見頃で、チームラボの《生命は闇に浮かぶまたたく光 - ヒマワリ》が期間限定で公開されていました。
今後も、季節と共に移り変わる植物を活かした期間限定の作品が登場する予定だそうです。
「インタラクティブ」とロマンティック
チームラボの作品の多くは、訪れた人や鳥が触れたり、風が吹いたりすることで変化します。例えば、起き上がり小法師のようなovoidを揺らすと色が変わり、その変化は波紋のように周囲のovoidに伝わります。人とovoid、ovoidとovoidが相互に影響を与える「インタラクティブ」な作品です。
チームラボの作品で筆者が特に好きなのが、この「インタラクティブ」という特徴です。人間の五感では感じられない「気配」を、光や音で表現し、誰でも知覚できるようにしているのが面白いのです。
人間が五感で知覚できるのは、ごく限られた範囲だけです。例えば、木々が生い茂る森の中で、遠くにいる人を見つけることは難しいです。犬と違ってにおいで知覚することもできません。
けれど、チームラボの作品は、自分と遠くにいる人を直接結んでくれます。目の前のovoidの色が変化したら、それはおそらく、どこか遠いところで誰かがovoidを揺らしたということ(鳥や風かもしれないけれど)。逆に、自分がovoidを揺らした光も、誰かのところに届くでしょう。
まだ出会ってもいない人どうしが、姿を見たり会話したりする前から、作品を介して実はつながっているのです。夜の植物園で、運命的な出会いがいくつも発生しているのだな……と、作品を鑑賞しながらロマンティックな感傷に浸りました。
【まとめ】昼も夜も楽しめる新感覚の植物園
チームラボの光と音を用いた作品により、長居植物園は昼も夜も楽しい場所になりました。
夜は視界に限りがあるからか、昼間よりも匂いに敏感になったような気もします。植物が放つ自然の香りを吸い込みながら、チームラボの作品で第六感を研ぎ澄ませてはいかがでしょうか。
展示情報
チームラボ ボタニカルガーデン 大阪
会場:長居植物園
会期:常設
公式チケット販売サイト:https://botanicalgarden.ticket.teamlab.art/#/
長居植物園:http://botanical-garden.nagai-park.jp
画像ギャラリー
あわせて読みたい
-
EVENT
2024.09.11
『浮世絵お化け屋敷』の後期展示の見どころレポート!幽霊と妖怪を描いた浮世絵の名品が大集合
はろるど
-
EVENT
2024.09.04
東京都美術館「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」奄美に生き、奄美を描いた画家を知る
さつま瑠璃
-
EVENT
2024.08.31
【東京 品川】浮世絵がデジタルで蘇る:「動き出す浮世絵展」開催!! 2024年12月21日(土)~
イロハニアート編集部
-
EVENT
2024.08.30
戦前から戦後まで駆け抜けた瑛九の全貌を明らかにする関東では13年ぶりの回顧展
つくだゆき
-
EVENT
2024.08.28
京都国立近代美術館9/13〜『LOVEファッション―私を着がえるとき』
新 麻記子
-
EVENT
2024.08.20
風景をシンプルに描いたlandscape作品で大人気!田村久美子の個展「YOURSCAPE ~ あなたが見るセカイ〜」が、南青山イロハニアートスタジオにて開催!
はろるど
このライターの書いた記事
-
EVENT
2024.09.12
【京都10/11〜】特別展「巨匠たちの学び舎 日本画の名作はこうして生まれた」47名の巨匠の名品が一堂に。
明菜
-
STUDY
2024.09.06
自由な個性で日本美術を彩る「琳派(りんぱ)」を解説。私淑によって生まれた流派とは
明菜
-
STUDY
2024.08.26
狩野派?琳派?日本美術史の「流派」を押さえて楽しく鑑賞しよう
明菜
-
EVENT
2024.08.13
京都9/14〜『生誕140年記念 石崎光瑤』鮮やかな花鳥画の大作が並ぶ
明菜
-
STUDY
2024.08.01
2種類の浮世絵?浮世絵版画・肉筆浮世絵の違いと見どころを解説
明菜
-
STUDY
2024.07.31
北斎と広重って何が凄い?美術館めぐりが楽しくなる浮世絵の知識を解説
明菜
美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
明菜さんの記事一覧はこちら