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2023.9.1
【9月のおすすめ展覧会5選】『超絶技巧、未来へ!』から『めぐりあう大津絵』、『永遠の都ローマ』まで。
「芸術の秋」を迎え、9月は多くの展覧会がスタートする時期です。今月はアーティゾン美術館にて開かれる画家の山口晃の展示や、過去に人気を集めた「超絶技巧」シリーズの第3弾、また『めぐりあう大津絵』や『永遠の都ローマ展』などのおすすめ展覧会をご紹介します。
目次
アーティゾン美術館で展開する、現代アートとの新たなセッション。『山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン』展
1969年に東京にて生まれ、群馬県桐生市に育った画家の山口晃。日本の伝統的絵画の様式を用いつつ、油絵の技法を用いて絵画を描くと、立体や漫画、それに書籍や新聞小説の挿絵、さらにはインスタレーションやパブリックアートなどでも幅広く作品を発表してきました。
馬を模したバイクに武士が乗っていたり、近代的なビルと古い日本家屋が同時に描かれているなど、過去と現在、自然と人工物が入り混じったような表現方法でも人気を集めています。
アーティゾン美術館にて行われる『山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン』では、山口が同館のコレクションである山口が選んだのは雪舟『四季山水図』とセザンヌ『サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール』などを引用し、雪舟に基づくインスタレーションやセザンヌ理解に向けた自由研究などを公開。
あわせてNHK大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺~」のオープニングタイトルバック画となった『東京圖』の原画も初めて展示します。ユーモアがありながらも、美術や歴史に対する批判精神にも満ちた「山口ワールド」が東京に出現します。
【展示会情報】
『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン』 アーティゾン美術館
開催期間:2023年9月9日(土)~11月19日(日)
所在地:東京都中央区京橋1-7-2
アクセス:JR線東京駅八重洲中央口、東京メトロ銀座線・京橋駅6番、7番出口より徒歩5分
開館時間:10:00~18:00
※11月3日を除く金曜日は20:00まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(9月18日、10月9日は開館)、9月19日、10月10日。
観覧料:一般1200円(ウェブ予約チケット)、大学生以下無料(要予約)
※窓口販売チケットは1500円。
公式サイト:ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン
現代作家17名が繰り広げる、驚きの超絶技巧の作品とは?【三井記念美術館】
人並み外れた技術や行為のことなどを表す超絶技巧。過去2回、ともに超絶技巧をテーマとした『超絶技巧!明治工芸の粋』と『驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ』展が全国を巡回すると、多くの観客を魅了して話題を集めました。
明治時代の主に輸出用として作られた七宝や金工をはじめ、木彫や自在置物、金工や染織など、幅広いジャンルにわたる超絶技巧を凝らした作品は、時代を超えて新鮮な驚きと発見を与えてくれます。
三井記念美術館で開かれる『超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA』では、超絶技巧シリーズ第3弾として、金属、木、陶磁、漆、ガラス、紙といったさまざまな素材を用い、アスリートのような鍛錬を実践している現代作家17名の作品、64点を紹介。
あわせて超絶技巧のルーツである七宝から漆工、また陶磁や刺繍絵画などの明治工芸57点も展示します。明治工芸のDNAを受け継ぎながら、それらを凌駕するような、誰にも真似できないことに挑戦し続ける作家たちの渾身の作品を目に焼き付けましょう。
【展示会情報】
『超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA』 三井記念美術館
開催期間:2023年9月12日(火)~11月26日(日)
所在地:東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階
アクセス:東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅A7出口より徒歩1分。JR線東京駅日本橋口より徒歩7分。
開館時間:10:00~17:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日。ただし9月18日、10月9日は開館、9月19日(火)、10月10日(火)は休館。
観覧料:一般1500円、大学・高校生1000円、中学生以下無料
公式サイト:超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA
※富山県水墨美術館(会期:2023年12月8日〜2024年2月4日)へ巡回。
大津絵の奥深さと多様性を、八王子で発見しよう。『めぐりあう大津絵』が開催。
大津絵を知っていますか?現在の滋賀県大津市の大谷・追分周辺にて、江戸時代初期から旅人向けのお土産や護符として流通していた民俗絵画で、思わず微笑んでしまうようなユーモア溢れる表現や、大胆な造形感覚を特徴としています。
また時代がくだるにつれて、神社の絵馬の図柄、風俗図などの画題が取り入れられた大津絵は、人形浄瑠璃や歌舞伎、それに浮世草子といった文学にも影響を与えるほど庶民の間に浸透。近現代に入ると、ユニークな描写から国内外の文化人の興味を惹きつけ、蒐集の対象として愛好されてきました。
八王子市夢美術館にて開かれる『めぐりあう大津絵』では、昭和の洋画家・小絲源太郎の蒐集した大津絵コレクション、および演劇資料や仏教版画の蒐集がきっかけとなって大津絵に興味を抱いて研究した国文学者の信多純一による大津絵と関連資料を展示。
芸術家の視点と研究者としての視点からの蒐集品という、ふたつのコレクションが持つ個性を対比させながら、時代を超えて親しまれてきた大津絵の魅力に迫ります。
【展示会情報】
『めぐりあう大津絵』 八王子市夢美術館
開催期間:2023年9月15日(金)~11月5日(日)
所在地:東京都八王子市八日町8-1 ビュータワー八王子2F
アクセス:JR線八王子駅下車北口より徒歩15分。京王線京王八王子駅下車徒歩18分。
開館時間:10:00~19:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日。ただし月曜が祝日の場合は開館し、翌平日が休館。
観覧料:一般800円、学生(高校生以上)・65歳以上400円、中学生以下無料。
公式サイト:めぐりあう大津絵
カピトリーノ美術館の至宝、日本初公開!東京都美術館の『永遠の都ローマ展』
イタリアの首都で、2000年を超える歴史と豊かな文化を有するローマ。古代には最高神をまつる神殿がおかれ、現在はローマ市庁舎のあるカピトリーノの丘に位置するカピトリーノ美術館には、古代遺物やヴァチカンに由来する彫刻、またローマの名家からもたらされた絵画など貴重なコレクションが築かれてきました。また今年は日本の明治政府が派遣した「岩倉使節団」がカピトリーノ美術館を訪ねてから150年を迎えます。
そのカピトリーノ美術館の所蔵品を中心に、建国から古代の栄光、また教皇たちの時代から近代までのローマの歴史をたどるのが、東京都美術館にて開かれる『永遠の都ローマ展』です。展示では彫刻、絵画、版画など、同館のコレクションのなかから選りすぐりの約70点の作品を紹介。
『コンスタンティヌス帝の巨像』の原寸大で複製した作品(一部)や、古代ローマ彫刻の傑作として知られ、カピトリーノ美術館以外では滅多に見ることができない門外不出の『カピトリーノのヴィーナス』が奇跡の初来日を果たします。
【展示会情報】
『永遠の都ローマ展』 東京都美術館
開催期間:2023年9月16日(土)~12月10日(日)
所在地:東京都台東区上野公園8-36
アクセス:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成電鉄京成上野駅より徒歩10分
開室時間:9:30~17:30
※金曜日は20:00まで
※入室は閉室の30分前まで
休室日:月曜日、9月19日(火)、10月10日(火)。※ただし、9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開室。
観覧料:一般2200円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1500円、高校生以下無料
※土日・祝日のみ日時指定予約制(当日の空きがあれば入場可)
公式サイト:永遠の都ローマ展
※福岡市美術館(会期:2024年1月5日~3月10日)へ巡回。
横尾忠則のアート作品で描かれる不思議な旅路。【横尾忠則現代美術館】
『Yokoo in Wonderland―横尾忠則の不思議の国』
1936年に兵庫県にて生まれ、グラフィック・デザイナーやイラストレーターとして活動したのち、1980年の「画家宣言」以降、美術家として絵画を描き続ける横尾忠則。
森羅万象のあらゆるものを素材としながら、スタイルを変えつつ現在もなお旺盛に制作を手がけていて、2000年代以降は国内の国公立美術館での個展のほか、パリのカルティエ現代美術財団(2006年)などの海外での作品の発表も数多く行っています。いま、国内で最もパワフルに作品を生み出す美術家のひとりとしても過言ではありません。
神戸市の横尾忠則現代美術館にて開かれる『Yokoo in Wonderland―横尾忠則の不思議の国』では、横尾作品のなかの「不思議」に着目。現実の延長にあるもうひとつの世界をルイス・ キャロルの『不思議の国のアリス』、および『鏡の国のアリス』になぞらえて紹介します。
展示では地底や海中、宇宙を舞台にした作品、また鏡を使用したものやミラーイメージを用いた作品、さらに横尾が見た夢をもとに描いた『夢枕』など、絵画、ポスター、テクナメーションなど約150点の作品が公開されます。
【展示会情報】
『Yokoo in Wonderland―横尾忠則の不思議の国』 横尾忠則現代美術館
開催期間:2023年9月16日(土)~12月24日(日)
所在地:神戸市灘区原田通3-8-30
アクセス:阪急電車王子公園駅より徒歩約6分。JR線灘駅より徒歩約10分。阪神電車岩屋駅(兵庫県立美術館前より徒歩約12分。
開館時間:10:00~18:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日。ただし9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館。9月19日(火)、10月10日(火)は休館。
観覧料:一般700円、大学生550円、70歳以上350円、高校生以下無料。
公式サイト: Yokoo in Wonderland―横尾忠則の不思議の国
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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