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STUDY

2024.9.18

ハローキティは50周年!時代も海も超える「カワイイ」のアイコンの秘密に迫る

赤いリボンがトレードマークのハローキティは2024年に50周年を迎えます。誕生から半世紀、世界中で愛される「カワイイ」のアイコンとして、その魅力は色褪せることを知りません。今回は、ハローキティのデザインや制作秘話、過去のコラボレーションなどを通して、「カワイイ」の探求にストイックなハローキティの秘密に迫ります。

Javier Mediavilla Ezquibela, CC BY 2.5 , via Wikimedia Commons

“カワイイ”文化の先駆け:ハローキティの歩み

ハローキティは、「かわいく、仲良く、助け合う」をコンセプトに誕生したキャラクターです。1975年に、名前も決まっていない段階で「プチパース」という小銭入れで商品化されました。当時、無名の状態にも関わらず、圧倒的な売上を誇ったため、後に名前が決定しました。名前の由来は、ルイス・キャロルの小説『不思議の国のアリス』の続編『鏡の国のアリス』に登場する「キティ」という猫です。ここに「ハロー」を加えて、「ハローキティ」という愛らしい名前がつけられました。
そして、ハローキティは、身長はりんご5個分、体重はりんご3個分、ロンドン郊外に住む女の子という、親しみやすいプロフィールと共に、サンリオを代表するキャラクターの一つになっていきました。
サンリオがハローキティを”猫”ではなく”小さな女の子”と公表した時には、物議を醸したことが米紙ロサンゼルス・タイムスで採り上げられました。世界中でハローキティが注目されていることがうかがえます。


▼2021年9月に「プチパース」を復刻再現


デザイン秘話:子供から大人まで楽しめるハローキティ

ハローキティの魅力は、その時代ごとのトレンドを捉えながら進化し続けるデザインにあります。サンリオは、従来のキャラクター像にとらわれず、常に新しい魅力を追求し、ハローキティに吹き込み続けています。かつては子ども向けのサブカルチャーであったキャラクターを、大人にも自然に受け入れられる存在へと昇華させたのです。

【二足歩行になる】
誕生当初は座ったポーズのみでしたが、1976年には立ち姿が登場します。これは、キティちゃんが二足歩行可能な年齢に成長したという設定と、デザイナー交代による変化と言われています。

【動きが加わる】
1979年には、飛んだり回ったりするなど、アニメーションのような動きが加わりました。これは、当時のアニメ人気を反映し、子どもたちの心を掴むための戦略でした。

【輪郭がなくなる】
1983年には、それまでの輪郭線が消え、ぬいぐるみのような柔らかな雰囲気のデザインに変わりました。これは、「冷たい感じがする」というお客様の声に応えた結果でした。また、頭身のバランスを崩し、今まで固定されていたハローキティのイメージを変えていきました。

【ボーイフレンドの登場】
1980年に始めてキティちゃんのボーイフレンド、ダニエル・スターが登場します。そして、1999年に「パパの仕事の都合で、アフリカに行ってしまったダニエルだけど、世界をまわって」帰ってきたという設定の元、キティちゃんとの再会を果たします。ボーイフレンドの登場は、キティちゃんを人間と同じ目線で捉え、より親しみやすい存在にするための試みでした。当時、メディアで著名人が恋人の存在を公表するようになったため、時代の流れを投影し、より感情移入しやすいキャラクターへと昇華させました。

【トレンドを取り入れたデザイン】
1980年代後半からは、モノトーンやタータンチェックなど、当時のファッショントレンドを取り入れたデザインが登場します。1996年に、ハイビスカスをつけたキティちゃんが販売され、女子高生の間でブームとなりました。「キティラー」という言葉も生まれました。キティちゃんが単なる子ども向けキャラクターではなく、時代のファッションアイコンとしても認められた瞬間と言えるでしょう。

▼50周年を記念してハイビスカスを付けたキティちゃんのグッズも販売されています!

【海外進出とローカライズ】
2000年代に入ると、海外進出を本格化。ライセンスビジネスを中心に展開することで、それぞれの国の文化に合わせたデザインが作られるようになり、世界に広まっていきました。イギリスでは英兵スタイル、ハワイでは日焼けしたデザインなど、ご当地ならではのデザインが人気を集めています。台湾のエバー航空とコラボした際には、機体全体にデザインを施したハローキティジェットが制作されました。また、海外セレブがハローキティグッズを身に着けた様子が報道されるようになったことも人気に拍車をかけました。

▼2005年には台湾のエバー航空でハローキティジェットが就航しました!

aeroprints.com, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

ハローキティはなぜ世界中で愛されるのか?

~余白が生み出す共感~

ハローキティ最大の特徴とも言える「口がない」デザインに、世界中の人々から愛される理由が隠されています。
口がないことで、見る人はキティちゃんの表情を自由に想像することができます。嬉しいときは一緒に笑っているように感じ、悲しいときは慰めてくれているように感じます。
つまり、見る人それぞれが感情移入できる余白が、ハローキティにはあるのです。これは、他の多くのキャラクターにはない、ハローキティならではの大きな魅力と言えるでしょう。

~”Kawaii”を世界共通言語にした立役者~

大正時代に「かわいい」文化は広まりました。竹下夢二が自身の作品を「かあいい」という言葉で表現し、女学生の間で大流行しました。

関連記事:大正時代の「かわいい」文化について詳しくはこちらの記事で紹介しています!
【大正ロマン】100年経っても人気を誇るその魅力とは?激動の時代が生み出した西洋と日本の融合文化

「かわいい」という言葉で表現されるものには、「小さい」「白っぽい」「丸い」「やわらかい」といった特徴が共通して見られます。ハローキティのデザインは、まさにこれらの要素を体現しており、その小さくて丸みを帯びた白いフォルムは、見る人に安心感と親しみを与え、「かわいさ」を感じさせるのではないでしょうか。
海外では大人の女性は「Sexy」であることが求められるという風潮がありました。しかし、ハローキティが海外セレブの間で人気を博したことをきっかけに、「カワイイカルチャー」が世界中に広がり、「Cute」であることも魅力的だという価値観が浸透していきました。「かわいく、仲良く、助け合う」という日本らしい精神性は、ハローキティを通じて世界中の女性に共感をもたらし、多様な価値観を認め合う社会の実現に貢献していると言えるでしょう。

▼レディガガもハローキティファンと公言しています!

多彩なコラボ作品:ハローキティのギブの精神はエンターテイナー顔負け?

ハローキティは、様々なブランドやアーティストとのコラボレーションでも知られています。

【初めての変身「はち」】
1998年に初めて変身した姿を見せたキティちゃんは、なんとハチスタイルでした。ファンの声をきっかけに、ハチになったキティちゃんがデザインされました。

【ファッションブランドとのコラボ】
ハイブランドからファストファッションまで、幅広いブランドとコラボレーションしています。高級感あふれるアイテムから、普段使いしやすいアイテムまで、様々なキティちゃんを楽しむことができます。
「Heatherette(ヘザレット)」がハローキティをテーマにしたコレクションを発表し、大きな話題となりました。また、スワロフスキーのような世界で展開しているブランドとのコラボ作品がキティちゃんを世界的に人気にしていきました。

【アーティストとのコラボ】
国内外のアーティストとのコラボレーションも多数実現しています。X JAPANのYOSHIKIとのコラボで誕生した「yoshikitty」は2016年のサンリオキャラクター大賞で7位にランクインしました。

【ご当地キティ】
日本各地の名産品や観光地とコラボレーションした「ご当地キティ」も大人気。その土地ならではのキティちゃんを探すのも旅の楽しみの一つです。これは、旅行の思い出を彩るだけでなく、地域活性化にも貢献しています。

50周年!進化し続ける「カワイイ」から目が離せない!

2024年は、ハローキティ誕生50周年です!
アニバーサリーイヤーは、「Hello Kitty 50th Anniversary」と題し、様々な企画が予定されています。 公式アートブックの発売や展覧会など、見逃せないイベントが目白押しです。
50周年アニバーサリーのロゴは、赤いリボンに青のオーバーオールの誰もが知るキティちゃんの姿です。あえて、オーソドックスな姿にすることで、懐かしい思い出や、これからキティちゃんを好きになる未来の人々への想いを膨らませるような表現をしています。

また、公式アートブック「HELLO KITTY ART COLLECTION」が発売されます。170ページを超える大ボリュームで、これまでほとんど公開されてこなかった海外アートや貴重なビジュアルが満載の1冊です。

▼KADOKAWAから「HELLO KITTY ART COLLECTION」は発売されます!
公式アートブック「HELLO KITTY ART COLLECTION」

そして「Hello Kitty展 –わたしが変わるとキティも変わる–」は国立博物館という格式高い場所で開催されます。「キティとわたし」の50年をテーマに、グッズやコラボ作品、オリジナル映像コンテンツなど、様々な展示を通して、キティとの思い出を振り返ることができる新しい形の展覧会です。いつもそばにいてくれたキティとの思い出が蘇り、懐かしく温かい気持ちにさせてくれます。

「Hello Kitty展 –わたしが変わるとキティも変わる–」
会期:2024年11月1日(金)〜2025年2月24日(月)
会場:東京国立博物館 表慶館(上野公園)
住所:〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
※金曜日、土曜日は19:00まで開館
「Hello Kitty展 –わたしが変わるとキティも変わる–」

まとめ

50年間、時代と共に進化を続け、様々なアーティストやブランドとのコラボレーションを通して、常に新しい表現に挑戦してきたハローキティ。ハローキティの「かわいく、仲良く、助け合う」という日本らしい精神が世界中に共感を呼び、「カワイイ」を世界共通の言語の「Kawaii」へ押し上げました。ハローキティの歩みは、まさに「カワイイ」の探求の歴史そのものと言えるのではないでしょうか。50周年を迎えたいま、キティちゃんは「アート」として、私たちに何を語りかけてくれるのか?これからの進化に、ますます目が離せません。

總統府, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons

【写真3枚】ハローキティは50周年!時代も海も超える「カワイイ」のアイコンの秘密に迫る を詳しく見る

むらいさきの個展「Spring has come」南青山イロハニアートスタジオにて開催!2025.2.22(土)-2.24(月・祝)11時〜18時

Lily

Lily

1997年生まれ。観光学部出身の東京都在住のライター。
イロハニアートを通じて、芸術の美しさや楽しさを多くの人に伝えられるように日々精進しています。
猫と漫画が好き!

1997年生まれ。観光学部出身の東京都在住のライター。
イロハニアートを通じて、芸術の美しさや楽しさを多くの人に伝えられるように日々精進しています。
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