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2025.4.3

特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」が開催!大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)で話題の蔦重がトーハクへ

喜多川歌麿、東洲斎写楽といった浮世絵師を世に出し、江戸時代の出版業者である蔦重こと蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう 1750〜97年)。2025年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)の主人公として描かれ、“江戸のメディア王”として時代の寵児となった生涯に、いま改めて大きな注目が集まっています。

2025年4月22日(火)より開催される特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」(会場:東京国立博物館 平成館)では、蔦重の活動をつぶさに見つめながら、天明、寛政(1781〜1801年)期を中心とした江戸の多彩な文化を明らかにします。

江戸のメディア王”蔦重の全体像を約250作品にて紹介!

重要文化財「市川鰕蔵の竹村定之進」 東洲斎写楽筆 寛政6年(1794) 東京国立博物館蔵 後期展示:5/20(火)〜6/15(日)

大きな見どころは3つです。1つ目は、本と人、それに時代をプロデュースした蔦重の全体像を追いかけること。蔦重は多彩な出版活動を通して、本のみならず、優れた作者を育て、時代そのものをつくり上げました。そうした蔦重の全体像を本展では約250作品で紹介します。

「姿見七人化粧」 喜多川歌麿筆 寛政4~5年(1792~93)頃 東京国立博物館蔵 後期展示:5/20(火)〜6/15(日)

2つ目は蔦重仕込みといえる浮世絵師を紹介することです。蔦重は喜多川歌麿、東洲斎写楽をはじめとする名だたる絵師を発掘し、その魅力を最大限に生かした浮世絵を企画、出版しました。そうした浮世絵黄金期と呼ばれる18世紀末の浮世絵の名品が一堂に公開されます。

最後は大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK)との連携した展示が行われることです。大河ドラマの世界を展覧会で再現することで、蔦重が活躍した頃の江戸の街へ旅したかのような気持ちを味わうことができます。

各章の見どころと出品作品(一部)

それでは各章に沿った見どころと出品作品の一部をご紹介します。

【第一章 吉原細見・洒落本・黄表紙の革新】

蔦屋重三郎は寛延3年(1750)、幕府公認の遊郭である吉原に生まれました。出版人としての活動は、吉原の情報誌『吉原細見』の出版に携わるところからスタートします。蔦重は優れた手腕を発揮すると、富本正本や往来物といった定番の商品、また人気の作者や絵師を抱えて戯作の出版に乗り出しました。

さらに風刺や滑稽を織り交ぜた黄表紙や洒落本は人々の心をつかみ、朋誠堂喜三二や恋川春町、山東京伝らの傑作を送り出します。

『青楼美人合姿鏡』 北尾重政・勝川春章画 安永5年(1776)正月 東京国立博物館蔵 通期展示 ※会期中、頁替えを行います

本章では蔦重が企画、出版し、人気浮世絵師の重政と春章が競作した『青楼美人合姿鏡』や、湖龍斎の代表作として知られるシリーズで、禿二人を連れた妓楼自慢の遊女を艶やかに描き出した「雛形若菜初模様 丁字屋内ひな鶴」などを展示します。

重要文化財「エレキテル」 平賀源内作 江戸時代・18世紀 郵政博物館蔵 前期展示:4/22(火)〜5/18(日) ※後期は複製を展示

またオランダから伝わった摩擦起電機・エレキテルを自ら製作し、見世物にしたり病気治療のために使ったりした平賀源内の「エレキテル」にも注目が集まることでしょう。

【第二章 狂歌隆盛―蔦唐丸、文化人たちとの交流】

『画本虫撰』 宿屋飯盛撰/喜多川歌麿画 天明8年(1788) 正月 千葉市美術館蔵 前期展示4/22(火)〜5/18(日) ※後期は別本を展示

江戸では天明期(1781~89年)を中心に、狂歌が爆発的な人気を博しました。武士や町人、また役者や絵師といったさまざまな階層の人が集まり、江戸を謳歌する狂歌を詠んで遊びます。そして蔦重も狂歌師「蔦唐丸」として参入しました。

また蔦重は四方赤良(大田南畝)や唐衣橘洲、朱楽菅江ら一流の文化人たちと交流しながら、狂歌集、狂歌絵本を刊行するプロデューサーとして才能を発揮しました。

本章では狂歌のグループ・連が詠んだ狂歌集に、歌麿が絵を添えた狂歌絵本の『画本虫撰』をはじめ、蔦重の企画出版とされる春画本で男女の細やかな機微を描いた歌麿の『歌まくら』などが公開されます。

【第三章 浮世絵師発掘―歌麿、写楽、栄松斎長喜】

「婦女人相十品 ポッピンを吹く娘」 喜多川歌麿筆 寛政4~5年(1792~93)頃 東京国立博物館蔵 前期展示:4/22(火)〜5/18(日)

寛政期(1789~1801年)に入り、浮世絵界に進出した蔦重は、喜多川歌麿、東洲斎写楽、栄松斎長喜といった絵師たちを発掘し、その魅力を生かした浮世絵を企画、出版します。蔦重版の作品で特徴的なのが、人物の顔を大胆にクローズアップした「大首絵」の構図です。

この手法を用いて歌麿はあらゆる年齢や階層の女性の心情を描き分け、写楽は歌舞伎役者の個性を見事にとらえました。こうした人々の内面を映し出した錦絵は、版元・蔦重と浮世絵の人物表現の一つの到達点を示しています。

重要文化財「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」 東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)  東京国立博物館蔵 前期展示:4/22(火)〜5/18(日)

本章では声をかけられた瞬間に振り返る町娘の一瞬を捉えた「婦女人相十品 ポッピンを吹く娘」などの歌麿の傑作を紹介。あわせて役者が着物を脱ぎ払い、立ち会う瞬間を描いた重要文化財「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」や、当代随一の名優を実感的に描き出した重要文化財「市川鰕蔵の竹村定之進」など写楽の代表作が展示されます。

まさに黄金時代のスター浮世絵師による傑作浮世絵が集う、ファンにとっては夢のような展示が実現することでしょう。

【附章 天明寛政、江戸の街】

18世紀後半の江戸は経済や文化が成長し、大江戸と呼ぶべき魅力ある都市へと発展した時期にあたります。本章では蔦重が活躍した天明・寛政期の江戸の街並みを大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)のセットとともに再現。博物館にいながら、江戸時代へとタイムスリップしたかのような体験を楽しむことができます。

染谷将太さんが展覧会アンバサダーに就任!横浜流星さんの音声ガイドにも注目

「大坂新町東ノ扇屋 花扇太夫」 栄松斎長喜筆 寛政(1789~1801)中期頃 東京国立博物館蔵 後期展示:5/20(火)〜6/15(日)

展覧会アンバサダーには、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)にて喜多川歌麿役を演じる染谷将太さんが就任。歌麿作品も多く展示される本展の魅力を、幅広い分野で活躍する染谷さんの視点を通しながら、時には歌麿の目線で紹介します。

また同じく大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK)で蔦屋重三郎を演じる、俳優の横浜流星さんによる音声ガイドナビゲーターにも期待しましょう。

貸本業から身を起こし、社会状況の変化をとらえつつ、数々のベストセラー作品を生み出した蔦重は、敏腕プロデューサーであり、稀代のマーケターでもあったといえます。時代の風雲児として生きた蔦重の出版活動と文化、それに彼が創出した価値観や芸術性を、特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」にて体感してみてください。

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特別展情報

◆特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」 東京国立博物館 平成館

開催期間:2025年4月22日(火)~6月15日(日)
 ※会期中、一部作品の展示替えを行います。
所在地:東京都台東区上野公園13-9
アクセス:JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分。
開館時間:9:30~17:00
 ※毎週金・土曜日、5月4日(日・祝)、5日(月・祝)は20時まで開館
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、5月7日(水)
 ※ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館
観覧料(税込):一般2,100円(1,900円)、大学生1,300円(1,100円)、高校生900(700)円、中学生以下無料。
 ※( )内は前売券。販売期間:2025/2/13~4/21
展覧会HP:「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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