Facebook X Instagram Youtube

STUDY

2025.4.9

神社やお寺の「宝物殿」とは?美術館とは異なる魅力を発見!

神社やお寺を訪れた際、ひっそりと佇む宝物殿が気になったことはありませんか?
そこには、歴史的な仏像や絵画、工芸品など、貴重な文化財が数多く収蔵されています。
美術館とはまた違った、歴史と美が詰まった宝物殿は、アート好きならきっと楽しめるはず。
本記事では、宝物殿の魅力や見どころをわかりやすく解説します。

神社やお寺にある宝物殿(宝物館)とは

明治神宮宝物殿。大正10年竣工、校倉風大床造明治神宮宝物殿。大正10年竣工、校倉風大床造, Public domain, via Wikimedia Commons.

神社やお寺の宝物殿(宝物館)は、歴史的・文化的に貴重な宝物を保管・展示する施設です。具体的には、仏像・絵画・書跡・工芸品・武具・神輿など、その神社仏閣に伝わる宝物を収蔵しています。これらの宝物は国宝や重要文化財に指定されているものも多く、芸術的にも高い価値を誇っています。

宝物の多くは、神仏に捧げられたり、神事や仏事で使用されたりするものであり、信仰の対象として大切にされてきました。宝物殿の展示内容は神社やお寺によって異なりますが、特定のテーマに沿った企画展が開催されることもあります。

神社やお寺の宝物殿で見られる主な文化財

菅家文草(江戸時代)菅原道真公の漢詩をまとめたもの、太宰府天満宮宝物殿, Public domain, via Wikimedia Commons.

実際に神社やお寺で見られる主な文化財として、資料と刀剣の2つをご紹介します。

資料

神社仏閣には、その神社や寺院の歴史、由緒、信仰などを伝える貴重な資料が数多く残されています。また、資料のジャンルも多岐にわたり、古文書・記録・系図・絵図・地図・版木・仏典・神道書など多様性に富んでいることが特徴です。これらの資料は、歴史研究や文化財保護の観点からも重要な意味を持っているものが少なくありません。

資料の主な内容は神社と寺院とでやや異なりますが、まとめると以下の通りです。


神社と寺院で保管されている資料の違い
神社・神社の創建や祭神に関する記録
・神社の祭礼や行事に関する記録
・神社の社宝や神宝に関する記録
・神社の境内や建物の由来
寺院・寺院の縁起や創建に関する記録
・歴代住職の記録
・仏像や仏画の由来
・寺院の運営に関する記録

刀剣

古青江派の俊次が作った太刀(鎌倉時代)重要文化財。太宰府天満宮の宝物殿にて古青江派の俊次が作った太刀(鎌倉時代)重要文化財。太宰府天満宮の宝物殿にて, Public domain, via Wikimedia Commons.

神社やお寺には、神事や仏事で使用された刀剣や、武将などから奉納された刀剣が収蔵されていることがあります。刀剣には奉納者の名前や由来などが刻まれていることがあり、美術品として価値があることはもちろん、歴史的な資料としても貴重です。

かつて、武将や信者が戦勝祈願や感謝の意を込めて、神社やお寺に刀剣を奉納することがありました。その歴史や美術的価値から、国宝や重要文化財に指定されたものも多く存在します。種類は小さな短刀から巨大な大太刀まで幅広く、さらには槍、薙刀、剣などがあり、現存しているものは刀装具なども含まれます。

全国の主な宝物殿6選

実際に見に行くことができる、全国の主な宝物殿をご紹介します。

①瑞厳寺 宝物館・青龍殿|宮城県

臨済宗妙心寺派の寺院である瑞厳寺の宝物館・青龍殿では、国宝の建造物とともに重要文化財の五大明王像や本堂障壁画群などを収蔵しています。

仙台藩歴代藩主画像をはじめ、伊達家から寄進された美術工芸品も数多く、古代から現代までのさまざまな資料を展示している施設です。

②増上寺宝物展示室|東京都

徳川将軍家との深いゆかりを持つ増上寺は、2代将軍の徳川秀忠など6人の墓所を設け、先祖代々を祀っています。

増上寺宝物展示室の主な見どころは、英国ロイヤル・コレクション所蔵の「台徳院殿霊廟模型」です。台徳院殿霊廟はかつて3代将軍の徳川家光によって境内南側に造営された壮大な建築群でしたが、戦災により焼失してしまいました。

その主要部分を10分の1のスケールで製作し、1910年(明治43年)にロンドンで開催された日英博覧会に出品したのがこの模型です。

③久能山東照宮博物館|静岡県

徳川家康公を御祭神とする久能山東照宮には久能山東照宮博物館があり、過去に奉納された伝世の宝物を収蔵しています。

収蔵している資料は、当時の武士の生活や文化を感じられる徳川家康公の日常品がまとまっていること、徳川歴代将軍の武器・武具が充実していることが特徴で、その総数は2,000点を超えます。

④北野天満宮 宝物殿|京都府

菅原道真公(菅公)を御祭神として祀っている神社の総本山で、宝物殿には美術的にも価値の高い工芸品を多く収蔵しています。

国宝「北野天神縁起絵巻 承久本」をはじめ、貴重な文化財が数多く展示される施設です。

⑤厳島神社 宝物館|広島県

海上に浮かぶ美しい神社として知られる厳島神社の宝物館では、所蔵する宝物など美術工芸品の一部が展示されています。

社殿との調和を考慮して、日本で初めてコンクリートに漆を塗って外観を木造建築らしく整えた建物も見どころの一つです。

⑥宗像神社 神宝館|福岡県

宗像大社は、日本神話に登場する日本最古の神社の一つです。その神宝館では、沖ノ島神宝と呼ばれる8万点の国宝を中心に、これまで伝承されてきた重要文化財などが収蔵されています。

勾玉や管玉、須恵器や金工など、古代の美術品が好きな人は必見です。

神社やお寺の宝物は美術館でも見られる!

観音菩薩立像。東京国立博物館 法隆寺宝物館にてInside the Bronze Buddhist Statues room of the Gallery of Horyuji Treasures, Tokyo National Museum, Public domain, via Wikimedia Commons.

神社やお寺の宝物というと、普段は宝物殿に保管されていて、なかなか目にすることができないと思っていませんか?実は、貴重な宝物の数々は、美術館や博物館でも見ることが可能です。

例えば、美術館や博物館、あるいは地域のミュージアムで開催される展覧会では、普段は宝物殿で大切に保管されている作品も、特別に公開されることがあります。

あるいは、神社仏閣が美術館や博物館に作品を寄託していることもあります。寄託とは、作品を美術館や博物館に預けて、保管や展示を委託することです。寄託された作品は、美術館や博物館のコレクションとして、常設展や企画展で公開されることがあります。

宝物殿はアートの宝庫!神社仏閣巡りがもっと楽しくなる

神社やお寺は信仰の場であり、そこにある宝物殿は、貴重な文化財とともに歴史と美が凝縮された空間です。宝物殿を訪れて美術館とは異なる魅力を発見し、日本の歴史や文化に触れる貴重な体験をしてみませんか。

【写真4枚】神社やお寺の「宝物殿」とは?美術館とは異なる魅力を発見! を詳しく見る イロハニアートSTORE 50種類以上のマットプリント入荷! 詳しく見る
さつま瑠璃

さつま瑠璃

  • twitter

文筆家(ライター)。芸術文化を専門に取材執筆を行い、アートと社会について探究する書き手。SNSでも情報を発信する他、さつまがゆく Official Podcastでは取材執筆にまつわるトークを配信中。

文筆家(ライター)。芸術文化を専門に取材執筆を行い、アートと社会について探究する書き手。SNSでも情報を発信する他、さつまがゆく Official Podcastでは取材執筆にまつわるトークを配信中。

さつま瑠璃さんの記事一覧はこちら