STUDY
2022.10.7
『プリマヴェーラ』や『ヴィーナスの誕生』も!人気観光スポット「ウフィツィ美術館」を楽しむコツ
イタリアで最も人気のある観光地の1つ、フィレンツェのウフィツィ美術館。
ルネッサンスを牽引したフィレンツェの芸術家の作品を多く所蔵しているウフィツィ美術館、アートに興味のある人ならぜひ一度は足を運びたい場所です。
目次
Uffizi Gallery, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
しかしウフィツィ美術館はとても広いので、時間がない人や体力に自信がない人が観て周るには、少しコツが要ります。
そこでこの記事では、イタリアの大学院で美術史を専攻している筆者が、ウフィツィ美術館でぜひ注目したいポイントを解説していきます。
1560年着工!ウフィツィ美術館は建築にも注目しよう
Arek N., CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
ウフィツィ美術館には、建物自体にも歴史的価値があることをご存じでしたか?
実はあの建物は、伝記者であり画家でもあるジョルジョ・ヴァザーリが設計したものなのです。
建築は1560年に着工され、おそらく世界初のコンクリート製の規定を用いているという特徴があります。
建築の様式としては「ルネッサンス式」に分類されていますが、すでにマニエリスムの要素を含んでいる部分もあります。
マニエリスムとは、ルネッサンスからバロックへの転換期に流行した「極端な強調や歪曲を好んだ芸術の傾向」を指します。
参考:ウフィツィ美術館外観(Chris Wee, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons)
ウフィツィ美術館のチケット売り場や入り口がある長いコの字型の通りは、三方向を建築物にかこまれていますね。
この通りは実際に足を運んでみると圧迫感があり、人によっては不安な気持ちになるほど違和感のある構造になっています。
ウフィツィ美術館を訪れた際はまず、入り口付近の建築物の「違和感」を楽しんでみてくださいね!
見逃せない!ウフィツィ美術館の代表作品
ボッティチェッリ『プリマヴェーラ』・『ヴィーナスの誕生』
サンドロ・ボッティチェッリ『プリマヴェーラ』, Public domain, via Wikimedia Commons
ボッティチェッリのこの作品を知らないという人は、日本人にはほとんどいないのではないでしょうか。
国民的レストラン・サイゼリヤの壁にも印刷されているこの作品は、初期ルネッサンスの巨匠ボッティチェッリの作品です。
隣の部屋に飾られている『ヴィーナスの誕生』と合わせて、フィレンツェのシンボルともいえるような重要な作品となっています。
参考:サンドロ・ボッティチェッリ『ヴィーナスの誕生』, Public domain, via Wikimedia Commons
ボッティチェッリは15世紀にフィレンツェで活躍した代表的な画家の1人でしたが、約400年もの間忘れ去られていて、19世紀になってやっと脚光を浴びることになりました。
ボッティチェッリの『プリマヴェーラ』『ヴィーナスの誕生』が展示されている部屋は、ウフィツィ美術館の中でも最も混雑している場所なので、ゆっくり観たい方は午前中に行くことをおすすめします。
参考:『ヴィーナスの誕生』の展示室, Alison Johnstone, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
また、写真を撮りたいと思って行儀よく順番待ちをしていても(写真撮影OKです!)、どんどん順番を抜かされてしまいます……。
綺麗な写真を撮りたい人は、勇気を出してぐいぐい前に進みましょう!
ミケランジェロ『聖家族』
ミケランジェロ・ブオナローティ『聖家族』, Public domain, via Wikimedia Commons
ルネッサンスの巨匠ミケランジェロといえば、ヴァチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂など、荘厳な絵画を想像される方も多いのではないでしょうか。
しかし実際のところ、彼は自分のことを彫刻家だと生涯言い張り続け、絵画の仕事は可能な限り受けないようにしていた頑固者でした。
とはいえ、システィーナ礼拝堂に見られるように、彼の画家としても才能は並外れたものがあり、多くのパトロンが彼に絵画を描かせようとしていました。
ウフィツィ美術館に所蔵されている『聖家族』は、そんなミケランジェロの絵画の中で特に貴重な作品です。
なぜならミケランジェロが長い人生の中でたった3枚しかパネル画を描いておらず、そのうちの2作品は未完のままとなっているからです。(ヴァチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂は『フレスコ』と呼ばれる壁画用の技法を用いています)
このウフィツィ美術館の『聖家族』は、ミケランジェロが残したパネル画で、唯一完成しているものということになります。
ウフィツィ美術館では作品に極限まで近づくことができ、嫌々描かされたとは到底思えないような美しい色彩と陰影を肌で感じることができます。
カラヴァッジョ『バッカス』
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ『バッカス』, Public domain, via Wikimedia Commons
カラヴァッジョの『バッカス』も、ボッティチェッリの作品たちのように、フィレンツェの顔と言っていいほど有名な作品といえるでしょう。
バッカスはギリシャ神話の酒の神で、ワインを手にしていることと、古代風の服を身にまとっていることからもそれが伝わります。
おそらくモデルはカラヴァッジョの弟子であり恋人でもあった人物だと推測されています。
カラヴァッジョの繊細で緻密な自然への観察が凝縮されたこの作品を鑑賞するためには、人物を取り巻くディテールにも目を向ける必要があります。
少年が手に持つグラスは、手の振動で水面が揺れている様子が描かれていますね。
そして、テーブルに置かれたばかりのデキャンタにはガラスの反射までもが忠実に描き込まれています。
美しい少年に目を奪われてしまう気持ちはわかりますが、カラヴァッジョの『バッカス』を鑑賞する際は、ワインや周辺の果物にも目を向けてみてくださいね。
まとめ
ウフィツィ美術館は内部に階段があったり、コの字型にぐるっと作品が展示されていたり、かなり歩き周る必要がある構造です。
訪れる際は、かならず歩きやすい靴を履いて体調を整えておいてください!
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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