STUDY
2022.5.16
【ローマ】世界最古の美術館!カピトリーニ美術館の歴史と必見作品紹介
ローマにはヴァチカン美術館やボルゲーゼ美術館などたくさんの重要な美術館があります。
カピトリーニ美術館はそんな美術館の中でも最も歴史の長い、世界最古の美術館です。
目次
Serghei Topor from Chisinau, Moldova, CC0, via Wikimedia Commons
この記事では、現役ローマ美術史大学院生の筆者が、カピトリーニ美術館の歴史と要チェック作品について紹介します!
カピトリーニ美術館の歴史:教皇からの寄贈
Sailko, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
カピトリーニ美術館の歴史は15世紀後半までさかのぼります。
当時まだ「美術館」という概念がない時代に、教皇シクストゥス4世が教会で保管していた美術作品をローマ市民に「寄贈」したことが起源です。
その中には古代ローマ時代のブロンズ像なども含まれており、ローマ市民の誇りとアイデンティティをつなぐ重要な役割を果たしました。
カピトリーニ美術館作品:ロムルスとレムス
Carole Raddato from FRANKFURT, Germany, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
カピトリーニ美術館を訪れたなら絶対に見逃してほしくない作品が「ロムルスとレムス」です。
歴史の教科書に載っていたのを覚えている人もいるかもしれませんね。
これは、ローマの起源と言われる伝説をテーマにした作品で、双子の兄弟ロムルスとレムスが狼に育てられ、のちにローマを建国したと言われています。
▼関連記事
ローマの起源!?狼に育てられた『ロムルスとレムス』の伝説と芸術作品
https://irohani.art/study/7248/
ローマに限らずヨーロッパ中にレプリカがありますが、本物はこの美術館内にあるものです。
中世には長らく古代ローマのものであると考えられてきましたが、実際は11世紀頃の作品だろうと言われています。
カピトリーニ美術館作品:マルクス・アウレリウス像
Daderot, Public domain, via Wikimedia Commons
『ロムルスとレムス』と同じ部屋に所蔵され、ひと際インパクトが強い作品がマルクス・アウレリウス像です。
馬に乗って凛々しく進むマルクス帝の姿は、古代ローマの栄光を表すのにピッタリな作品…ですが、歴史はそう単純ではありません。
ローマには多くの古代彫刻作品が残っていますが、実はブロンズ作品はほとんど残されていません。
これは、中世を通じてブロンズという素材に価値があり、武器や道具の製造のために芸術作品が溶かされたしまったためです。
そのため、美術史の観点から見ると「現存しているブロンズ像は圧倒的な重要性を持っていた」という解釈ができるのです。
話をマルクス・アウレリウス帝のブロンズ像に戻します。
実は、この作品は中世のカトリック教会では「コンスタンティヌス帝の像」と勘違いされていました。
コンスタンティヌス帝は、古代ローマでキリスト教を国教化した皇帝で、教会の歴史として非常に重要な存在でした。
もしこの像がマルクス・アウレリウス帝のものであると中世の人々が気づいていたら、これは武器製造のために溶かされてしまっていたかもしれません。
偶然が重なったおかげで、私たちはいまでもこの作品を目の前で楽しむことができます。
カピトリーニ美術館作品:カラヴァッジョ
カラヴァッジョ『女占い師』Michelangelo Merisi da Caravaggio, Public domain, via Wikimedia Commons
カピトリーニ美術館には、カラヴァッジョの傑作『洗礼者ヨハネ』と『女占い師』が所蔵されており、絶対に見逃せません。
『洗礼者ヨハネ』は通常静かな佇まいで描かれることは多いですが、このカラヴァッジョの作品では大胆に身体をよじらせています。
これは、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画から着想を得たと考えられています。
『女占い師』では、高貴な服装をした男の子が得意気に女占い師に手を差し出しています。
楽しそうな情景に見えますが、よくよく見てみると、この女占い師は男の子の指輪を抜き取ろうとしているのです。
思わず笑ってしまうようなカラヴァッジョの遊び心もカピトリーニ美術館の見どころの1つです。
▼関連記事
傷害、投獄、殺人も?問題ばかりの天才画家カラヴァッジョの作品の魅力解説
https://irohani.art/study/5815/
古代から近代まで幅広い所蔵の美術館
世界最古の美術館であるカピトリーニ美術館には、たくさんの作品が所蔵されており、ざっとみるだけでも結構時間がかかってしまいます。
1つ1つの作品にストーリーがあるので、気になる方はぜひたっぷり時間をとって訪れてみてくださいね。
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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