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2021.11.18
傷害、投獄、殺人も?問題ばかりの天才画家カラヴァッジョの作品の魅力解説
カラヴァッジョはイタリアを代表する天才画家のひとりで、バロック絵画の巨匠としてローマ、ナポリなどを中心に活動していました。カラヴァッジョの描く人物は、実際に生きているかのように写実的で、見るものを圧倒します。
さらに、陰影を巧みに操ることでドラマチックな場面を表現することから、バロック絵画の形成に大きく貢献しました。
しかし、彼の人生は暴力に溢れ、傷害や恐喝で捕まっただけでなく、殺人の罪で投獄までされています。
この記事では、そんな波乱の生涯を送ったカラヴァッジョの作品の特徴と楽しみ方について解説していきます。
『バッカス』 Caravaggio, Public domain, via Wikimedia Commons
過激すぎるカラヴァッジョの人生とは
カラヴァッジョの肖像画 Ottavio Leoni, Public domain, via Wikimedia Commons
カラヴァッジョは、1571年にミラノに生まれ、ペスト(黒死病)の影響などもあって近郊のカラヴァッジョ村で過ごしました。
その後、1592年までは故郷であるミラノ近郊で生活していましたが、ある日喧嘩をして役人をケガさせたことからローマへと逃亡します。
その後も過剰なまでの写実主義、自然主義を追求した結果、物議を醸しつつも多くの人から支持を獲得し、1600年頃にはローマで最も有名な画家とも言われるようになったそうです。
一方私生活では相変わらず乱暴な素行が目立ち、1606年には若者を殺害してローマで殺人犯として指名手配されてしまいました。
そこで当時ローマの司法権が届かないナポリへ逃亡し、そこでも制作をつづけ成功を収めたものの、マルタへ拠点を移します。
マルタでも傷害事件を起こしたカラヴァッジョは、1608年頃にはマルタで投獄されることになりますが、しばらくして脱獄してしまったそうです。
その後も様々な街を転々としますが、最後は1610年に熱病にかかり病死したと記録されています。
数々の傷害事件だけでなく殺人まで犯していながら、絵の実力を高く評価されたおかげでイタリア内を転々と逃げ回るという、過激な人生を送りました。
カラヴァッジョの作品の特徴は?
『果物籠を持つ少年』 Caravaggio, Public domain, via Wikimedia Commons
カラヴァッジョは当時の誇張表現が進んだマニエリスム様式ではなく、見たものをそのまま表現する自然主義に傾倒していました。
ミラノから逃げた先のローマでカラヴァッジョは、当時の名のある画家の工房で助手として絵を描くようになります。この頃に作成した「果物籠を持つ少年」に代表されるように、「花と果物」の緻密な描写が評価され、カラヴァッジョの作品に注目が集まり始めました。
見たものを率直にキャンバスに表現するカラヴァッジョの絵画スタイルは、当時のイタリアで大きな反響を呼びました。宗教に関するテーマを依頼された場合でもカラヴァッジョはこのスタイルを維持したため、「神への冒涜」として批判を浴びることもあったようです。
しかし、ドラマチックな陰影表現と、息をのむほど繊細な人物の表情は、バロック様式の成立に大きな影響を与えました。
カラヴァッジョ作品を楽しむ方法
『The Conversion on the Way to Damascus』Caravaggio, Public domain, via Wikimedia Commons
カラヴァッジョ作品の特徴は、「写実的」で「自然的」な表現です。
ルネサンス様式のように、全体的にまとまったバランス重視の表現というよりは、現実世界をそのままカンヴァスに閉じ込めたようなタッチが用いられています。
額から飛び出してきそうなほど生き生きとした登場人物の、顔のパーツひとつひとつにもカラヴァッジョのこだわりを感じることができます。
カラヴァッジョの作品を観る際は、表情にどのような意図があるのか、描かれた人物の人間らしさに注目してみましょう。そうすることで、波乱の人生を送ったカラヴァッジョが、「人間」をどのようにとらえていたかを探ることができるかもしれません。
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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