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2023.1.1

【1月のおすすめ展覧会5選】江戸絵画の華から佐伯祐三、エゴン・シーレ展まで

明けましておめでとうございます。お正月はいかがお過ごしでしょうか? 今年もイロハニアートの「おすすめ展覧会5選」をどうぞよろしくお願いします。

今月はようやく開催が実現した『江戸絵画の華』をはじめ、東京では30年ぶりとなる『エゴン・シーレ展』など見逃せない展覧会が少なくありません。おすすめをご紹介します。

『生誕100年 柚木沙弥郎展』の会場となる日本民藝館の大展示室。※『日本民藝館改修記念 名品展 I 』にて撮影

あの若冲にまた会える!出光美術館で開催される『江戸絵画の華』展

アメリカのコレクター、エツコ&ジョー・プライス夫妻によって蒐集(しゅうしゅう)された江戸絵画コレクション。伊藤若冲や円山応挙、酒井抱一などの優品で知られ、かねてより展覧会や書籍を通して日本でも度々紹介されると、多くの美術ファンの目を引いてきました。そして2019年にコレクションの一部が、里帰りするかたちにて出光美術館へと加わります。翌年に展覧会にてお披露目が企画されたものの、コロナ禍で延期となり、結果的に今日まで公開されることはありませんでした。

まさに江戸絵画ファン待望の展覧会です。旧プライス・コレクションを紹介する『江戸絵画の華』が出光美術館にて開かれます。展示は2期制です。第1部が「若冲と江戸絵画」、第2部が「京都画壇と江戸琳派」となります。作品数は里帰りした約190点のうちの80数点。若冲では特に人気の『鳥獣花木図屏風』も公開されます。入場は日時指定予約制で、すでに公式サイトより受付がはじまっています。まずは若冲さんに会いに出光美術館へと出かけましょう。

『江戸絵画の華〈第1部〉若冲と江戸絵画 〈第2部〉京都画壇と江戸琳派』 出光美術館
開催期間:〈第1部〉2023年1月7日(土)~2月12日(日)、〈第2部〉2023年2月21日(火)~3月26日(日)
所在地:東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階
アクセス:東京メトロ有楽町線有楽町駅・都営三田線日比谷駅B3出口より徒歩3分。JR線有楽町駅国際フォーラム口より徒歩5分
開館時間:10:00~17:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし1月9日は開館)、1月10日、2月13日~20日
料金:一般1200円、大学・高校生800円、中学生以下無料
 ※日時指定予約制
http://idemitsu-museum.or.jp

工芸品やプリミティブな造形とのコラボも!日本民藝館での『生誕100年 柚木沙弥郎展』

1922年に東京で生まれ、20代にして染色家の道を歩み、70歳を過ぎてから版画や絵本などを制作した柚木沙弥郎は、生誕100年を迎えたいまも創作を続け、多くの作品を世に送り続けてきました。近年も『柚木沙弥郎 life・LIFE展』がPLAY! MUSEUM(東京・立川)や美術館「えき」KYOTOなどにて開催され、日々の暮らしを豊かに彩るような染色や、人や動物たちの生きる歓びを描いた絵本原画に多くの人々が魅了されました。

日本民藝館で開催される『生誕100年 柚木沙弥郎展』では、同館の創設者である柳宗悦の収集した型染や注染をはじめ、初作品から近作に至る染色コレクションを公開。あわせて同館所蔵の工芸品やプリミティブな造形とのコラボレーションを果たします。柚木は戦後間もなく民藝を知り、染色家の芹沢銈介に出会ったことで染色を手がけるようになりましたが、歴史ある民藝館の空間との響き合いにも注目が集まりそうです。

『生誕100年 柚木沙弥郎展』 日本民藝館
開催期間:2023年1月13日(金)〜4月2日(日)
所在地:東京都目黒区駒場4丁目3番33号
アクセス:京王井の頭線駒場東大前駅西口から徒歩7分
開館時間:10:00~17:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)
料金:一般1200円、大学・高校7800円、中学・小学生200円
https://mingeikan.or.jp/

永久機関を立ち上げる?アーティスト、泉太郎が東京の美術館では初の個展を開催

現代アーティスト、泉太郎を知っていますか? 1976年に生まれた泉は、映像、パフォーマンス、ドローイング、絵画、彫刻などを交錯させるインスタレーションを手がけ、国内外にて作品を広く発表。近年もティンゲリー美術館(スイス・バーゼル、2020年)にて大規模な個展を開いたほか、『百年の編み手たち-流動する日本の近現代美術-』(東京都現代美術館、2019年)といったグループ展にも参加してきました。既存のルールや人々を取り巻く環境を問い直し、常識に疑問を提示する批評的な作品で知られています。

その泉が東京の美術館にて初めての個展を開催。古墳や陵墓、ストライキ、再野生化、仮病、鷹狩におけるマニング(懐かせる)やフーディング(目隠し)のほか、数々のキーワードが絡み合う思考のプロセスに、コスプレやキャンプ、被葬といった体験を織り交ぜ、不可知に向き合い続けるための永久機関を立ち上げます。複雑で不条理なプロセスを経て立ち上がる作品を一括りにできませんが、誰もが予測不能でありつつも、創造と発見に満ちた、かつてない展示が繰り広げられそうです。

『Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.:泉太郎』 東京オペラシティ アートギャラリー
開催期間:2023年1月18日(水)~3月26日(日)
所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー3F
アクセス:京王新線初台駅東口下車徒歩5分(東京オペラシティビルに直結)
開館時間:11:00~19:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、全館休館日(2月第2日曜日)
料金:一般1200円、大学・高校生800円、中学生以下無料
https://www.operacity.jp/ag/

「描くことに命を捧げた」画家、佐伯祐三の生涯と作品とは?

今年生誕125年を迎える画家、佐伯祐三(1898〜1928年)。大阪で生まれた佐伯は東京美術学校を卒業すると、パリへと渡り、ヴラマンクと面会するも怒声を浴びせられ、自らの作風を模索します。そしてユトリロやゴッホの影響を受けながら当地の風景を絵に表しました。また一時帰国した後も再び渡欧し、パリの重厚な石造りの街並みやポスターが貼られた建物の壁などを描き続けます。しかし結核が悪化して精神的にも追い詰められ、30歳の若さで亡くなりました。

この佐伯の画業を18年ぶりに東京にて振り返るのが、東京ステーションギャラリーにて開かれる『佐伯祐三 自画像としての風景』です。大阪中之島美術館が所蔵する国内最大の佐伯コレクションを核に、全国の美術館と個人所蔵家の作品が100点あまりも集結。大阪、東京、パリの3つの街へ佐伯がどのように向き合い、生涯を燃やし尽くしながら風景を描きとっていったのかを検証します。

『佐伯祐三 自画像としての風景』  東京ステーションギャラリー
開催期間:2023年1月21日(土)~4月2日(日)
所在地:東京都千代田区丸の内1-9-1
アクセス:JR線東京駅丸の内北口改札前。東京メトロ丸の内線東京駅M12出口より徒歩3分
開館時間:10:00~18:00 
 ※金曜日は20時まで開館
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし3月27日は開館)
料金:一般1400円、高校・大学生1200円、中学生以下無料
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/
※大阪中之島美術館(2023年4月15日〜6月25日)へ巡回。

東京では30年ぶりに開催!人間の内面や性を生々しく描いたエゴン・シーレの作品世界

世紀末を経て芸術の爛熟期を迎えたウィーンに生き、28歳の若さながらスペイン風邪にて世を去った画家、エゴン・シーレ(1890〜1918年)。最年少でウィーンの美術学校へ入学し、10代にしてクリムトに才能を認められると、若い仲間たちと新たな芸術を起こすべく「新芸術家集団」を結成します。そして当時の常識にとらわれない創作活動により逮捕されるなど波乱に満ちた生涯を送りつつ、人間の内面や性を生々しく表現する作品を描きました。

そのシーレの東京では30年ぶりとなる大規模な展覧会が、上野の東京都美術館にて開催されます。展示ではシーレの世界有数のコレクションで知られるレオポルド美術館(ウィーン)の所蔵作品を中心に、油彩画とドローイング40点以上を通して、画家の生涯を振り返ります。またあわせてクリムトやココシュカをはじめとする同時代作家の作品を含めた約120点の作品にて、ウィーン世紀末美術の諸相を紹介します。

『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』 東京都美術館
開催期間:2023年1月26日(土)~4月9日(日)
所在地:東京都台東区上野公園8-36
アクセス:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成電鉄京成上野駅より徒歩10分
開館時間:9:30~17:30
※金曜日は20時まで開館
※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
観覧料:一般2200円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1500円、高校生以下無料
※オンラインでの日時指定予約制
https://www.tobikan.jp
https://www.egonschiele2023.jp/

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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