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2023.1.6

【西日本初】最新作を含む李禹煥の大回顧展が兵庫で開催中!

特別展「兵庫県立美術館開館20周年記念 李禹煥」が2月12日(日)まで開催されています。「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウファン)さんの、西日本では初めてとなる大回顧展です。

《関係項一無限の糸》2022年 ステンレス、糸 作家蔵

本展は2022年8月から国立新美術館で開催された展覧会の巡回展。東京展は、はろるどさんがレポートを寄せていらっしゃいます。

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左:《応答》2021年 アクリル絵具/カンヴァス 作家蔵、右:《応答》2021年 アクリル絵具/カンヴァス 作家蔵

しかし、本展は単なる巡回展ではありません! 出品作品は一部異なり、兵庫展にしか展示されない作品も。また、ものとものの関係を取り扱う李さんの作品は、展示環境が異なれば作品の表情も変化します。李さん自ら考案した構成のもと、1960年代の最初期の作品から最新作までが展示される本展は、東京展とは違う展示と言っても過言ではありません。

李禹煥の作品の特徴は?

李禹煥さん(2022年12月12日(月)記者説明会にて)

1936年に韓国の慶尚南道(キョンサンナムド)で生まれた李禹煥さんは、国際的に注目を集める「もの派」を代表する美術家です。「もの派」とは、1960年代末から70年代初頭にかけて現れた、自然や人工の素材をほとんど未加工の状態で組み合わせて提示する美術の動向のこと。

東西の思想を学び1960年代から現代美術に関心を深め、60年代後半から本格的に制作を始めた李さんは、絵画や立体作品を通じ、ものともの、ものと人との関係を問いかけてきました。

展示風景

作品において、石や木などの物体や絵画を構成する色彩は、人間が与えた意味から解放され、静かに佇んでいます。この世界は人間中心に回っているのではなく、私たち人間を含む世界を構成するすべてのものは相互に関連しあう平等な存在である、ということを意識せずにはいられませんでした。

兵庫展のみ! 安藤忠雄建築とのコラボレーション

《関係項一棲処(B)》2017/2022年 石 作家蔵

ものとものの関係を問うゆえ、空間が変われば作品の様相も変わってくるのが李さんの作品の特徴です。そのため、同じ作品でも兵庫展と東京展では異なる印象を受けると思います。

それに加え、兵庫展のみで展示される作品も。特に見逃せないのが、今回の展覧会のために制作された新作《関係項-無限の糸》です。兵庫県立美術館の「円形テラス」のらせん階段に展示されています。

《関係項一無限の糸》2022年 ステンレス、糸 作家蔵


鏡のように空を映すステンレスの円盤に向かい、高い位置から1本の糸が垂れ下がる作品です。糸の長さは、ステンレスの面にギリギリ触れるか触れないか。鏡面となる円盤を覗き込むと、鑑賞者が立っている場所よりも低い地下の世界にも空が広がっており、糸が無限に伸びていくように見えます。

鏡の向こうの世界に鑑賞者を誘うように、糸は風で小さく揺れていました。

《関係項一無限の糸》2022年 ステンレス、糸 作家蔵

また、兵庫県立美術館を設計したのは建築家の安藤忠雄さん。香川県の直島にある李禹煥美術館を設計したのも安藤さんで、ここ兵庫でもコラボレーションが実現しました。

音声ガイドのナビゲーターは中谷美紀さん

左:《点より》1973年 岩絵具、膠/カンヴァス いわき市立美術館、右:《点より》1977年 岩絵具、膠/カンヴァス 東京国立近代美術館

本展の音声ガイドのナビゲーターを務めるのは、ドラマや映画など多方面で活躍する俳優の中谷美紀さんです。中谷さんは世界各地で李禹煥の作品をご覧になっているそう。展覧会に寄せたメッセージの中で、

「私にとって李禹煥さんの静かで厳かな作品は、心の拠り所であり、少しがんばりすぎたり、急ぎすぎた際に、ふと立ち止まって、自らを省みるための鏡のようでもあります」

と仰っています。

音声ガイドは無料で、スマートフォンで利用できます。中谷さんによる鑑賞ポイントの案内、李さん本人や本展担当キュレーターによる作品解説に加え、時折、李禹煥と中谷美紀さんとの対話も繰り広げられます。

【まとめ】西日本では初めてとなる李禹煥の大回顧展

《風景Ⅰ, II, III》1968/2015年 スプレーペイント/カンヴァス 個人蔵(群馬県立近代美術館寄託)

本展は、1960年代後半から本格的に制作をスタートした李さんの、初期から最新の作品を一望できる大回顧展です。自然の素朴な素材や人工の簡素な素材などを組み合わせた抑制の効いた作品は、従来の絵画や彫刻といった枠組みから美術を解放しました。

柔軟な発想で展開される李さんの作品を鑑賞していると、あるときはビックリ仰天し、あるときは厳かな気持ちになり……と対照的な感想を抱きます。自然の本質や美術の本当のおもしろさに触れることができる、充実した展覧会です。

展覧会情報

特別展「兵庫県立美術館開館20周年記念 李禹煥」

会期:2022年12月13日[火]-2023年2月12日[日]
休館日:月曜日、年末年始(12月31日[土]-1月2日[月])
※ただし1月9日[月]は開館、1月10日[火]は休館
開館時間:午前10時-午後6時 入場は閉館30分前まで
会場:兵庫県立美術館
https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_2212/

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明菜

明菜

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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。

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