EVENT
2024.2.15
村上隆の新作多数!国内8年ぶりの大規模個展『村上隆 もののけ 京都』
京都市京セラ美術館で村上隆さんの大規模個展『村上隆 もののけ 京都』が開幕しました。開催期間は9月1日(日)までです。
村上さんの大規模な個展が開催されるのは、国内では8年ぶり。東京以外での開催は今回が初めてです。
手前:村上隆《四季 FUJIYAMA》2023-2024年 ©︎2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
村上隆《洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip》(部分)2023-2024年 ©︎2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
日本美術に関心を寄せてきた村上さんにとって、京都はゆかりのある土地です。新たに描きおろした大作《洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip》をはじめ、京都をテーマにした作品も多数展示されています。
本展について、美術ライターの明菜が紹介していきます。
村上隆さんと「スーパーフラット」
村上隆《金色の空の夏のお花畑》2023-2024年 ©︎2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
1962年、東京に生まれた村上隆さんは、1993年に東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了。2000年には、伝統的な日本の絵画表現とアニメ・マンガの平面性を接続し、日本社会の在り様にも言及した概念「スーパーフラット」を提唱しました。
以来、世界各地で個展を開催するアーティストであるとともに、コレクターやキュレーターなどさまざまな活動をしています。ルイ・ヴィトンとのコラボレーションなど、従来の美術の枠にとどまらない多様な活動で知られており、「美術には詳しくないけど、村上さんの絵は見たことあるよ」という方も多いのでは。
村上隆《ライオンと村上隆》2023-2024年 ©︎2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
本展では、そんな村上さんのこれまでの歩みを代表する作品から新作・国内初公開作品まで、約170点が展示されます。目を引く大作はもちろん、展示室と展示室を仕切るカーテンに至るまで村上さんの世界で染め上げられているので、細かいところも堪能してくださいね。
アート/美術って何だろう?
手前:村上隆《Murakami.Flowers Collectible Trading Card 2023》2023-2024年 ©︎2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
ところで、アニメやマンガといった文化に影響を受けた村上さんの作品に対し、「どうしてこれがアート/美術なの?」と疑問に思ったことはありませんか?
私もそう感じたことがあり、美術ライターとして活動している今でも整理のしかたに戸惑うことがあります。これは、「美術」と「アニメ・マンガ」を別のカテゴリとして捉えているからではないでしょうか。
村上隆《琳派のお花と抽象的図像》2023-2024年 ©︎2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
私は村上さんの作品を通して、「美術とはこういうもの」と無意識に枠を作っていたことを自覚できました。さらに、日本美術とアニメ・マンガの平面性という共通点を「スーパーフラット」として捉え、展開する考え方を知ることで、別物と捉えていた両者がなめらかに繋がり、切り離せないと感じるようにまでなったのです。
きっかけは1つの作品であっても、価値観が変わると、社会のあり方に違和感を持つようになったり、当たり前に受け流してきたことがいちいち引っかかるようになります。「村上隆を知る前の自分には戻れない」という感覚でしょうか。視野が広がる体験ができるのも、アートを見る面白さの1つではないかと思います。
村上隆《かごに入った花束》2023-2024年 ©︎2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
村上さんの作品は私たちの思考に染み込んで、美術とは関係ない日常のあちこちにおいて、私たち自身が「スーパーフラット」を見出すようになります。「スーパーフラット」の概念は美術における表現方法だけでなく日本社会の様相にも展開する……と、言葉で説明するとややこしくなりますが、作品を介して非言語の感覚を共有できるのではないでしょうか。
京都と村上隆さん
左:村上隆《風神図》2023-2024年、右:村上隆《雷神図》2023-2024年 ©︎2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
京都は江戸時代の絵師たちが活躍した舞台であり、あらゆる芸術や芸能、祭礼や伝統行事が今なお息づく土地です。活動初期から京都に深い関心を寄せてきたという村上さんは、今回、京都に正面から対峙して新作を制作されたそうです。
五山送り火をキャラクター化した風景画は、作者不明の国宝《日月四季山水図屏風》(室町時代)の意匠を借りて制作されました。ちなみに本展の記者発表会では村上さんが五山送り火のキャラクターなどが登壇し、集まった記者たちもニコニコしておりました(その後の質疑応答ではピリッと引き締まる)。
他にも、いつか挑戦してみたいと思っていた舞妓さんの絵や、「市川團十郎白猿 襲名披露」の祝幕になった作品の原画など、京都に関連する作品が展示されています。
村上隆《五山送り火》2023-2024年 ©︎2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
《五山送り火》の左に空間があるのは、展示作品が追加されるかも…? という可能性が残っているのだとか。9月1日(日)までと会期が長いので、追加作品があっても無くても、何回も訪れて楽しみたい展覧会です。
京都市内の大学生以下は入場無料となっておりますし、詳細や最新情報は公式ウェブサイトでご確認くださいませ。
展覧会情報
京都市美術館開館90周年記念展「村上隆 もののけ 京都」
会期:2024年2月3日(土)〜2024年9月1日(日)
開館時間:10:00~18:00(最終入場は17:30まで)
※展示作品のうち、一部に展示替えがある可能性あり
※会場の混雑具合に応じて、入場整理券の配布を行う可能性あり
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
観覧料:一般2,200円など
●京都市内の大学生以下は入場無料
企業版ふるさと納税を活⽤した⽀援により、京都市在住もしくは京都市内の学校に通学している⽅は本展の⼊場料が無料となります。
☆入場整理券の配布状況、先着5万名様限定「Collectible Trading Card」の配布状況など展覧会に関する最新情報は展覧会公式ウェブサイト・公式SNSでご確認ください。
展覧会公式ウェブサイト:「村上隆 もののけ 京都」
公式X:X「村上隆 もののけ 京都」
公式インスタグラム:Instagram「村上隆 もののけ 京都」
画像ギャラリー
あわせて読みたい
-

EVENT
2026.07.02
「たべっ子どうぶつ」が横浜に帰ってくる! 第5弾『MIRAI LAB. ~星降るキラリウム~』で初登場の”どうぶつドーナツ”&星モチーフグッズに注目
イロハニアート編集部
-

EVENT
2026.07.01
【取材レポート】『「怖い」本』展。東洋文庫ミュージアムで見つけた、古今東西の「怖い」
はろるど
-

EVENT
2026.06.26
【東京・大阪】少女マンガ誌『LaLa』創刊50周年原画展が開催。76名の作家による200点以上の原画で辿る、”ときめき”の50年
イロハニアート編集部
-

EVENT
2026.06.25
気鋭のアーティスト・杉田万智が描く現代の希望。新作個展「灯火」で触れる土地の記憶
イロハニアート編集部
-

EVENT
2026.06.21
【京都】浮世絵が動き出す!「KUNIYOSHI IMMERSIVE ART in 歌川国芳展」7月18日から京都市京セラ美術館で開催
イロハニアート編集部
-

EVENT
2026.06.20
【名古屋】岐阜の伝統工芸に触れる夏のワークショップ「岐阜提灯&ぼんぼり 絵付け体験」7月25日開催
イロハニアート編集部
このライターの書いた記事
-

EVENT
2026.06.24
【東京・大阪】『大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱〜海を越えた江戸絵画』イギリスから初里帰り作品も!
明菜
-

EVENT
2026.06.19
【大阪市立美術館】『水滸伝』歌川国芳の出世作を一挙公開!亀梨和也さん音声ガイドも
明菜
-

STUDY
2026.06.01
手フェチ歓喜!「手」が美しくて見惚れる名画【美術館を楽しむコツ】
明菜
-

EVENT
2026.05.26
【京都文化博物館】『マリメッコ展 模様のちから』北欧デザインを代表するブランドの展覧会 開催決定!
明菜
-

STUDY
2026.05.21
「ここ直して!」「お金返して!」理不尽なクレームにどう返す?巨匠たちの斜め上な対応術
明菜
-

STUDY
2026.05.11
フェルメールにも“挫折”があった?《ディアナとニンフたち》から読み解く巨匠の夢
明菜

美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
明菜さんの記事一覧はこちら

