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EVENT

2024.5.30

泉屋博古館東京で「企画展 歌と物語の絵―雅やかなやまと絵の世界」を開催

泉屋博古館東京(東京都港区六本木1丁目5番地1号)では、「企画展 歌と物語の絵 ―雅やかなやまと絵の世界」を2024年6月1日(土)より7月21日(日)まで開催します。

泉屋博古館が所蔵する住友コレクションから、桃山・江戸時代前期の「やまと絵」を一挙公開。「竹取物語」「源氏物語」「伊勢物語」など、現代に読み継がれる和歌や古典文学を素材とした絵巻や屏風をご紹介し、物語と絵画との関係性に迫ります。

《源氏物語図屏風》(左隻)江戸・17世紀 泉屋博古館

近世の人々の気分を映し出す物語絵や歌絵を紹介

《伊勢物語図屏風》(右隻)桃山~江戸・17世紀 泉屋博古館

古来、語り読み継がれてきた物語は、古くから絵巻物など絵画と深い関係にありました。和歌もまた、三十一文字の世界が絵画化されたり、絵から受けた感興から歌が詠まれたりと、絵画との相互の刺激から表現が高められてきました。

物語絵や歌絵の特徴のひとつは、精細な描写と典雅な色彩です。また、ストーリーに流れる時間を表すかのような巻物、特別な場面を抽出してドラマティックに描き出す屏風など、長大な画面にさまざまな表現が生まれました。

古典文学と同様に、それに基づく絵画も、後世の人々が自身に引き寄せて味わいながら読み継がれてきました。本展では、そのような物語絵と歌絵を、館蔵の住友コレクションから選りすぐってご紹介します。

展覧会の見どころ

《平家物語・大原御幸図屏風》桃山・16世紀 泉屋博古館

本展では「やまと絵」を通じて、宮廷や社寺の一級の絵師が貴人の美意識に寄り添い追求した物語絵、歌絵のさまざまな様式、表現を鑑賞できます。

1. 住友コレクションのやまと絵を一挙公開。

住友家が収集した日本絵画には、繊細な描写と典雅な色彩の絵巻・屏風が含まれます。それらは、やまと絵の領域が一気にひろがった桃山から江戸時代前期(17世紀頃)の作品です。

かつて一部の貴人のために描かれたやまと絵は、より広い階層にむけて一段と親しみやすく、視覚効果の高いものへ生まれ変わりました。本展では、その美しさをお楽しみいただけます。

2. 江戸時代の親しみやすい絵画を通じて、古典文学に一歩近づく。

江戸時代の人たちには、挿絵入りのダイジェストやパロディ本も人気がありました。屏風や掛軸には特に印象的な名場面が選ばれ、その時代ならではの好みや解釈も反映されています。

展覧会でそれらに親しみながら、知っているようで知らない古典文学の世界に入り込めます。

3. 細部こそ見せ場!高精細画像で心情・風情に迫る。

絵巻は手元で、屏風は座敷で。ともに間近に鑑賞されたやまと絵は、細密な描写こそ本領ともいえます。

本展では、文化財用高精細スキャナーで撮影した、3点の物語絵屏風の拡大画像を会場にご用意。ガラス越しでは見つけにくい表情や仕草、四季折々の自然など、ひとたび目にすれば古典文学にぐっと近づけます。

展示構成(予定)

《竹取物語絵巻》(部分)江戸・17世紀 泉屋博古館

1. うたうたう絵

平安時代中頃、和歌の隆盛とともに広がったのが歌絵です。それは歌の意味からイメージされ、また詠まれた景物を素材として描かれた作品。反対に、描かれた景物に触発されて歌が詠まれることもありました。

和歌とは、人の心に去来した感興を三十一文字の言葉に託して表すものです。そこに欠かせないのが、日本の四季折々の自然、そして人の営みでした。歌から絵へ、絵から歌へ――無限の連鎖のなかから生まれていった芸術をご紹介します。

2. ものかたる絵

元来、物語文学は「語り」のことばどおり、音読して聞かせることが中心だったといいます。やがて言葉と書、絵からなる総合芸術となった絵巻物から、冊子、扇、掛物、屏風へと物語絵は広がりました。

とりわけ中世末から近世にかけての物語絵屏風は、大画面の特長を生かした装飾的で視覚効果の高い新たな世界を開きます。そこでは、場面選択や表現に、当時の鑑賞者の好みを映し出し、また新興の画派たちの創意が注ぎ込まれました。

目を凝らして、登場人物になった気分で物語の世界を眺めてみるのも一興です。

3. れきしがたる絵

明治時代には、日本の歴史・神話・仏教主題・伝説を描く「歴史画」が流行しました。画家たちが時代考証を究めて描いた歴史画は、単なる記録にとどまらず、歴史意識の共有や国民の道徳心を養うために求められました。

明治時代の思想家・高山樗牛は「歴史画の本領は歴史のために描くのではなく、絵画のために歴史を借りるのである」と言っていますが、果たして「れきしがたる絵」とは「歴史を語る絵」なのか、あるいは「歴史画たる・・絵」のどちらでしょうか?

《三十六歌仙書画帖》(書)柿本人麻呂 松花堂昭乗 江戸・元和2年(1616)泉屋博古館

《三十六歌仙書画帖》伊勢 松花堂昭乗 江戸・元和2年(1616)泉屋博古館

《乾坤再明》原田西湖 明治36年(1903)泉屋博古館東京

開催概要

会期 2024年6月1日(土)〜2024年7月21日(日)
会場 泉屋博古館東京
住所 106-0032 東京都港区六本木1丁目5番地1号 Google Map
時間 11:00〜18:00
※金曜日は19:00まで開館 ※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日、7月16日(火)※7月15日(月・祝)は開館
入館料
一般1,000円(800円)、高大生600円(500円)、中学生以下無料
※20名様以上の団体は( )内の割引料金
※障がい者手帳等ご呈示の方はご本人および同伴者1名まで無料
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL 泉屋博古館東京 公式サイト
SNS
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泉屋博古館東京 公式Facebook
主催 公益財団法人泉屋博古館、日本経済新聞社

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さつま瑠璃

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文筆家(ライター)。芸術文化を専門に取材執筆を行い、アートと社会について探究する書き手。SNSでも情報を発信する他、さつまがゆく Official Podcastでは取材執筆にまつわるトークを配信中。

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