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2024.10.4

太田記念美術館『広重ブルー』 ー歌川広重と「ベロ藍」が生んだ名作を展示

歌川広重の美しい青に注目した展覧会「広重ブルー」が、太田記念美術館で開幕します。会期は10月5日(土)~12月8日(日)です。

歌川広重「名所江戸百景 京橋竹がし」(前期展示)

『東海道五拾三次』をはじめ、主に風景画のジャンルで活躍した江戸後期の浮世絵師・歌川広重(1797~1858)。彼の風景画で特に印象的なのが、空や海の青色です。

歌川広重「名所江戸百景 猿わか町よるの景」(後期展示)

その秘密は、「ベロ藍(あい)」(プルシアンブルー、ベルリンブルーとも)と呼ばれる青色の絵の具にあり。1830年頃から浮世絵に用いられるようになった「ベロ藍」は、その美しさゆえに、多くの絵師たちを魅了しました。

歌川広重「東都名所 高輪之明月」(前期展示)

当時30代半ばの広重も、ベロ藍と出会って風景画に目覚めた絵師のひとり。広重の青は「広重ブルー」と呼ばれ、国内外で愛されています。本展では、ベロ藍を用いた広重の名作を中心に展示し、広重ブルーの魅力に迫ります。

見どころ①ベロ藍に彩られる広重の名品

歌川広重「京都名所之内 あらし山満花」(後期展示)

ベロ藍と出会って風景画に開眼した広重は、刻々と変わる空模様や水面を繊細に表現し、たちまち人気絵師への階段をのぼっていきました。その後も晩年にいたるまで、日本の詩情あふれる風景画の名作を続々と生み出した広重は、今では国際的にも高く評価されています。

歌川広重「四季江都名所 夏両国之月」(前期展示)

本展では、広重の風景画における最初のヒット作「東都名所」(「一幽斎がき東都名所」)から、出世作の「東海道五拾三次之内」(保永堂版)、晩年の大作「名所江戸百景」シリーズまで、ベロ藍が用いられた数々の名作を展示。「広重ブルー」をじっくり堪能できる機会となりそうです。

見どころ②多くの絵師を魅了したベロ藍

葛飾北斎「冨嶽三十六景 相州梅沢左」(後期展示)

既存の渋い藍色とは異なり、鮮やかに発色するベロ藍は、当初はオランダ船で日本に持ち込まれました。中国でも安価に生産されるようになったことから、浮世絵でも使用されるようになります。

歌川国芳「東都富士見三十六景 新大はし橋下の眺望」(前期展示)

葛飾北斎や溪斎英泉、歌川国芳など、ベロ藍は当時の絵師たちを魅了。本展では、風景画の傑作である北斎「冨嶽三十六景」シリーズをはじめ、広重以外の絵師による作品も展示されます。

浮世絵界でベロ藍がいかに流行していたかを実感できるとともに、他の絵師との比較によって広重ブルーの個性も感じられる展示となりそうです。

見どころ③ベロ藍と出会う前の広重も

歌川広重「初代中村大吉の清盛の乳人八条局と初代中村芝翫の安芸守平清盛」(後期展示)

風景画を多く手がける前の広重は、美人画や役者絵、武者絵を描いていました。本展ではそれらの作品も展示され、風景画の巨匠・広重の新たな一面を知ることができます。

ベロ藍が登場しなかったら、広重が風景画を描くことはなかったのでしょうか? どんな絵師になっていたのか、想像しながら鑑賞するのも楽しい時間になりそうです。

関連記事:北斎と広重って何が凄い?美術館めぐりが楽しくなる浮世絵の知識を解説

展覧会情報

広重ブルー

会場:太田記念美術館

会期:2024年10月5日(土)~12月8日(日)
◎前期:10月5日(土)~11月4日(月・祝)
◎後期:11月9日(土)~12月8日(日)
※前後期で全点展示替え

休館日:10月7、15、21、28、 11月5-8、11、18、25日

開館時間:10時30分~17時30分(入館は17時まで)

美術館ウェブサイト:太田記念美術館

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明菜

明菜

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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。

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