EVENT
2024.12.18
『江戸メシ』が太田記念美術館にて開催!人気絵師たちの浮世絵で見る江戸の食文化とは?
日本において食文化が大きく発展した江戸時代。人々の暮らしを題材とする浮世絵においても、さまざまな料理や食材、そして食事の様子などが数多く描かれました。
東京・神宮前の太田記念美術館にて2025年1月5日から開催される『江戸メシ』では、北斎や広重、国芳といった人気絵師たちをはじめとする約90点の浮世絵にて、現代の食文化にもつながる江戸メシの魅力を紹介します。
目次
日本の食文化が大きく華やいだ江戸時代
月岡芳年「風俗三十二相 むまさう 嘉永年間女郎之風俗」 ※天ぷら
戦乱の世が終わり、長く安定した体制が築かれた江戸時代は、さまざまな産業が発展するとともに、日本の和食の文化が大きく華やいだ時代でもありました。
特に江戸時代の後期には街中に料理屋が多く軒を連ね、貧富の差こそあったものの、人々は自宅で気ままに食事を楽しむだけでなく、料亭や屋台で外食して舌鼓を打っていました。
食文化が発展した条件として挙げられるのが、新田の開発などにより米をはじめ、野菜や果物などの生産力が高まったことです。また街道が整備され、海洋航路が築かれると水運も発達し、全国各地の名産品などが江戸や大阪などの大都市に流通しました。
また醸造業の発展とともに、都市でも酒や醤油、味噌などが広く出回るようになったほか、漁業の進展に伴って魚介類の供給が増えます。さらに料理書が刊行されることによって、料理の技術も主に都市に暮らす人々に普及しました。
『江戸メシ』の3つの見どころ!
江戸メシ見どころ①:浮世絵で味わう江戸
現代でも人気の高い寿司、蕎麦、天ぷらのルーツは江戸時代。これらの和食はうなぎの蒲焼などとともに、庶民たちが手軽に楽しむことのできるファストフードとして人気が広がりました。
本展では、国芳の「縞揃女弁慶 松の鮨」や四代歌川国政の「志ん板猫のそばや」などの浮世絵を通し、さまざまな料理をはじめ、食材や調味料などの多彩な江戸メシを紹介します。
なお長く「蕎麦がき」として食されてきたそばが、現代のように「蕎麦きり」となったのは、江戸時代の少し前の頃だと言われています。
江戸メシ見どころ②:人気絵師たちが描いた多彩な江戸メシ
北斎や広重は風景画、国芳は武者絵や戯画が有名ですが、江戸っ子たちの暮らしを生き生きと描くことも得意としていました。
本展では、東海道の鞠子宿(現在の静岡市)の名物だったとろろ汁を食す旅人を表した北斎の「東海道 鞠子」など、北斎、広重、国芳の有名な代表作とは一味異なる、多彩な江戸メシの描き方に注目します。
江戸メシ見どころ③:さまざまな場で楽しむ江戸メシ
江戸っ子たちは自分で料理をすることはもちろん、近所の店で惣菜を買ったり、屋台で気軽に食事を楽しんだりしました。また立派な店構えの料亭で宴会を行ったりもしています。
このうち歌川広重の「江戸高名会亭尽 山谷 八百善」とは、会席料理が売り物で、多くの文化人らが集った江戸屈指の高級料亭、八百善での宴席の様子を描いたもの。
このような作品を通して、料亭や屋台、それに家などさまざまな場で楽しまれていた江戸メシの食事風景を紹介します。
学芸員によるスライドトークも開催!
最後に会期中に行われるスライドトークをご案内します。
【学芸員によるスライドトーク】
日時:2025年1月8日(水)11:00、1月17日(金)11:00、1月21日(火)11:00
※各回30分程度 定員50名
会場:太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法:10:30より美術館受付にて整理券を配布します。展覧会入場券ご購入時にお申し出ください。(お申し出のない場合整理券はお渡ししません)
※聴講には「江戸メシ」展の当日入場券と整理券が必要です。
※整理券は展覧会にご入場の方1名につき1枚まで。
スライドトークでは担当学芸員が見どころをたっぷりと解説。展覧会や出品作品をより深く掘り下げて鑑賞することができます。
年明けにスタートする太田記念美術館の『江戸メシ』にて、多彩な浮世絵を愛でながら、江戸時代の食文化を体感してください。
展覧会情報
『江戸メシ』 太田記念美術館
開催期間:2025年1月5日(日)〜1月26日(日)
所在地:東京都渋谷区神宮前1-10-10
アクセス:JR山手線 原宿駅(表参道口)より徒歩5分。東京メトロ千代田線・副都心線 明治神宮前駅(5番出口)より徒歩3分。
開館時間:10:30~17:30
※入館は17時まで
休館日:月曜日(1/13は開館)、1/14
観覧料:一般1000円、大高生700円、中学生以下無料
美術館HP:『江戸メシ』 太田記念美術館
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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