Facebook X Instagram Youtube

EVENT

2025.1.22

『What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!』の見どころを徹底解説!

2025年3月1日、開館以来初めてとなる大規模改修を終え、2年5カ月ぶりに大阪市立美術館はリニューアルオープンを迎えます。これを記念し、同館では2025年3月1日より、リニューアルオープン記念特別展『What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!』を開催します。(出品点数約250点、会期中の一部展示替えあり)

リニューアルオープン記念特別展『What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!』

大阪市立美術館とは?豊かな寄託作品群と有形文化財に登録された建物

まず、開催地である大阪市立美術館を簡単にご紹介していきます。

市民が優れた美術文化に接する機会を提供し、生活に潤いをもたらすとともに、美術家の活動を助成し、広く大阪の文化振興に資することを目的として、1936年5月に開館しました。緑豊かな天王寺公園に位置していますが、この敷地は住友家の本邸があった場所で、美術館の建設のため、近代日本庭園の名園である慶沢園(けいたくえん)とともに大阪市へ寄贈された背景を持っています。

また同館は、大阪の財界人の寄贈などで集まった約8,000件の所蔵作品を有するほか、国立博物館に次ぐ国宝、重要文化財約100件を含む約5,000件にのぼる寄託作品群を誇ります。さらに2015年、建物は登録有形文化財(建造物)に登録されており、長年地元で親しまれてきた美術館でもあります。

2012年12月、大阪市では「大阪都市魅力創造戦略」が策定され、同館のある天王寺・阿倍野地区が重点な集客拠点のひとつに位置づけられました。都市の魅力発信に貢献してきた大阪市立美術館は、建物の老朽化が進んでおり、現代の美術館として求められる機能整備や設備等の改修も必要だと判断され、2023年10月から、2年5ヶ月にわたる大規模改修工事を実施してきたのです。

そしていよいよ2025年3月1日、同館のリニューアルオープンに合わせて、リニューアルオープン記念特別展『What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!』が開催されます。

大阪市立美術館 正面外観(撮影:佐々木香輔)

名品珍品約250件が一堂に展観!

展覧会タイトルにある「What’s new」というフレーズ。英語の授業などで聞いたことがあるかもしれませんね。久しぶりに会った相手に「お変わりはありませんか」と近況を尋ねる挨拶と、「最新情報/新着情報」という2つの意味を持つ言葉なのだそうです。

『What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!』では、館内の全フロアを特別展会場として、重要文化財6件を含む絵画や書蹟、彫刻、漆工、金工、陶磁など、分野ごとに選りすぐりの作品約250件が一堂に展観されます。大阪市立美術館を代表する名品に加え、これまであまり登場する機会のなかった「珍品」も織り交ぜられているとのこと。

ここでは、展示が予定されている作品を2つご紹介したいと思います。

《青銅鍍金銀 羽人》大阪市立美術館を代表する名品

大阪市立美術館に所蔵された金工品は、古代の青銅器や仏教の儀式に用いられた仏具、実用品としても機能した銅鏡や水滴など、中国・日本の紀元前から近代までバラエティ豊か。その中から今回は、勇壮、典雅、愛らしさ、コミカルなど、作品の醸し出す表情に焦点を当てて展示をおこないます。

そのうち、展覧会の広報大使に任命された《青銅鍍金銀 羽人》は、中国・後漢時代に制作されたと考えられている作品で、同館を代表する名品のひとつです。「羽人(うじん)」は、中国の仙人の一種で、とがった耳が特徴的。また、作品の類品は世界に3点だけという珍品でもあります。わたしたちを招いてくれているような手に誘われて、この機会にじっくり鑑賞してみたいですね。

《青銅鍍金銀 羽人》中国後漢時代(1~2世紀) 大阪市立美術館蔵(山口コレクション)

《魚介 蒔絵 杯》子孫繁栄の図柄が描かれた華やかな杯

漆工分野の所蔵品の多くを占める「カザールコレクション」。スイス人実業家のU.A.カザール氏が、明治末から昭和中頃にかけて蒐集した、日本、中国および東南アジアの漆工品、約4000件からなる一大コレクションです。豪華な蒔絵を施した調度品の数々は、歴史的背景を知らない人の心をも躍らせる魅力を持っています。

今回の展覧会では、リニューアルを記念した「祝杯」をテーマとして、カザールコレクションを中心に飲食器具の数々が鑑賞できます。その中でも《魚介 蒔絵 杯》は、鮮やかな朱色が印象的な杯。江戸時代後期に活躍した羊遊斎によるもので、蛸や鯛といった魚介類の図柄は子孫繫栄を表しているとのこと。見応え十分な作品の数々が揃っているため、きっと1つひとつに目を奪われることでしょう。

《魚介 蒔絵 杯》(3枚のうち)銘:原羊遊斎 江戸-明治時代(19世紀) 大阪市立美術館蔵(カザールコレクション)

変わらぬ魅力、新たな魅力

リニューアルオープンに伴い、大阪市立美術館では、屏風などを広く均一に照らせる照明や、巨大な中国書画を展示できる5mガラスの特大展示ケースなども導入されたとのこと。今まで以上に作品たちが輝く空間になっているのではと胸がときめきます。みなさんもこの機会に、作品たちとの再会と新たな出会いを堪能してみてはいかがでしょうか?

展覧会情報

リニューアルオープン記念特別展
What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!
会期:2025年(令和7年)3月1日(土)~3月30日(日)
※本展は予約制ではありません。
※会期中、一部展示替えがあります。
時間:午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
※初日(3月1日)は午前10時から開館
休館日:月曜日
観覧料(税込):一般 1,800円(1,600円)
高大生 1,200円(1,000円)
※( )内は、前売および20名以上の団体料金。
※中学生以下、障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)は無料(要証明)。
※本展は、大阪市内在住の65歳以上の方も一般料金が必要です。
※前売券は、1月15日(水)午前10時00分より2月28日(金)午後11時59分まで販売。
公式サイト:https://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/whats_new

【写真4枚】『What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!』の見どころを徹底解説! を詳しく見る

むらいさきの個展「Spring has come」南青山イロハニアートスタジオにて開催!2025.2.22(土)-2.24(月・祝)11時〜18時

神谷小夜子

神谷小夜子

  • homepage

ライター。若手社会人応援メディアや演劇紹介メディアを中心に活動中。ぬいぐるみと本をこよなく愛しています。アート作品では特に、クロード・モネ《桃の入った瓶》がお気に入りです。

ライター。若手社会人応援メディアや演劇紹介メディアを中心に活動中。ぬいぐるみと本をこよなく愛しています。アート作品では特に、クロード・モネ《桃の入った瓶》がお気に入りです。

神谷小夜子さんの記事一覧はこちら