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EVENT

2021.10.20

思わずクスッと笑えて、楽しくアハッと刺激体験!『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』

歴史、人物、社会、科学、宗教など、あらゆるものが盛り込まれている現代アートは、絵画だけにとどまらず、立体、映像、音楽、パフォーマンスなど、その表現も多岐にわたります。

なかなか難しそうで手が出せない…という方におすすめしたい、思わずクスッ笑えて、楽しくアハッと刺激体験を与えてくれる、千葉市美術館にて開催中の『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』をご紹介します。

福田美蘭とは?

福田美蘭展

福田美蘭は、東京藝術大学を卒業後、最年少での安井賞や国際展での受賞等、国内外での活躍を通して独自の作風を切り拓き、絵画の新たな可能性に挑戦しつづけているアーティストです。

人びとの固定観念を覆し、新たなものの見方や考え方を提案する彼女の芸術は、単なる絵画という枠にとどまらず、豊かな発想力によって独自の展開を遂げてきました。

福田美蘭展

本展覧会では、周密な観察力や入念なリサーチに基づき、精緻な表現と自由な発想とが共存する福田作品とともに、その発想の源となった千葉市美術館の所蔵作品を展示しています。

どのように日本美術を写しながら、どのように読み解いて制作したのか…会場を巡りながら私たちの日本美術への眼差しをアップデートするとともに、作品を鑑賞するとはどういうことかを改めて考えさせてくれます。

思わずクスッとなる数々の作品

福田美蘭氏の作品『青楼七小町 玉屋内花紫 見立て花びら餅』

例えば、喜多川歌麿「青楼七小町 玉屋内花紫」から着想を得て制作した、福田美蘭氏の作品『青楼七小町 玉屋内花紫 見立て花びら餅』。

客に手紙を書く遊女の口元に筆先をつける仕草、髪の生え際や巻き紙といった繊細さに対し、貝髷(ばいわげ)というかんざしに髪を貝のように巻きつける強い存在感を与えたこの髪型は、福田氏に花びら餅の形を連想させました。

お餅は白いことからネガポジ反転という江戸時代にはなかった技術を用いることで、当時の浮世絵の遊び心と通じるとともに、新年を祝う美しい和菓子が乗っているという幸せなイメージが重なる作品です。

福田美蘭展、参加型ワークショップが開催

会場では、他歌麿美人のネガポジ反転させた作品や、連想した花びら餅が一緒に展示されているほかにも、花びら餅の部分から何をイメージしたのかを描き足す参加型ワークショップが開催されています。

取材当日には、この部分をクラゲのかさに見立てたものが描かれていました…あなたも福田氏に習ってイマジネーションを広げてみてください。

作品の裏側にあるメッセージを汲み取ってみよう!

福田美蘭氏の作品に隠されたメッセージ

福田氏の作品を鑑賞してみるとただ面白いだけじゃないんです…その裏側にあるメッセージには、今を生きる私たちと同じ目線で表現されています。

例えば、江戸時代初期に制作された鳥居清倍『二代目市川団十郎の虎退治』では、敵(=虎)を撲滅しようとする強い意志によって、力で屈服させようとする姿が描かれていますが、現代においては作中の虎に感染拡大が止まらない新型コロナウイルスを重ねて見てしまうことでしょう。

しかし、この作品から着想を得た福田氏の作品では、まるで敵(=虎)と団十郎が一つになって融合してしまっているかのように描かれ、新型コロナウイルスと共生・共存を目指す新しいビジョンを、浮世絵の古典的な技法を用いて、丹絵の彩色に倣って、目に見える形にしています。

この作品の裏側にあるメッセージには、豊かに生きるヒントが隠されているので、福田氏の作品というフィルターを通して改めて社会と向き合ってみてはいかがでしょうか。

最後に

『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』

みんなが知っている作品に新たな見方を提示し、私たちの固定概念に揺さぶりをかけると同時に、現代を生きる私たちと同じ問題を共有する福田氏の作品。

少し敷居が高いと感じてしまう現代アートや日本美術でさえ、不思議と身近な物事のように感じられます。

難しくてとっつきにくいと感じている方にこそ、この世界がどうなっているのかを知り、今をどのように捉えて生きていくのか、その暮らしのヒントを与えてくれるものとして、必要不可欠なものだということに気づかされるでしょう。

ぜひ、楽しくてわくわくしてしまうユーモア溢れる『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』に足を運んでみてはいかがでしょうか?


取材・撮影・文:新麻記子


『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』
会期:2021年10月2日(土)〜2021年12月19日(日)
会場:千葉市美術館
時間:10:00〜18:00 (最終入場時間 17:30)
   ※金・土曜は20:00まで(最終入場時間 19:30)
休室日:毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)
   10月11日(月)、11月15日(月)
公式サイト:https://www.ccma-net.jp/

新 麻記子

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。