EVENT
2024.11.30
【横浜】そごう美術館で「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」が開催中!
現在、そごう美術館ではアール・ヌーヴォーを代表する作家として知られ、のちにチェコの国民的芸術家となったアルフォンス・ミュシャの展覧会「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」(会期:2024年11月23日(土・祝)〜2025年1月5日(日)まで)が開催中!
本展では、アルフォンス・ミュシャによる貴重な直筆作品約60点をはじめ、お菓子や香水のパッケージ、宝飾品など代表的なポスター作品にとどまらない魅力をご紹介します。
目次
アルフォンス・ミュシャ ポスター《黄道十二宮》1896年 チマル・コレクション
アルフォンス・ミュシャとは?
アルフォンス・ミュシャ(1860-1939年)は、アール・ヌーヴォーを代表する作家として知られています。
アルフォンス・ミュシャがパリに行くまでの道のりは、困難と挑戦に満ちたものでした。彼の生い立ちと初期のキャリアを振り返ると、彼の才能と決意がどのようにして育まれたかがわかります。
1860年、現在のチェコ共和国南東部のイヴァンチッツェに生まれ、高校卒業後は地元で舞台装飾の仕事に就きました。この経験が、後の装飾的なデザインへの興味につながります。
プラハの美術アカデミーに進学を希望しましたが、技量が足りないとして不合格。それでも諦めずに絵画への情熱を胸に独学で絵画を学びつづけました。
1879年、ウィーンに移って舞台装飾の工房で働きましたが、その工房が火災により閉鎖されたため失業。しかし、その後パトロンの支援によりミュンヘン美術アカデミーでの学びを得る機会を得ました。
ミュンヘン美術アカデミーで学んだ後、さらに高度な芸術教育を求め、1887年27歳のときパリへ向かい、アカデミー・ジュリアンに入学。
パリでは、アカデミー・ジュリアンとアカデミー・コラロッシといった私立美術学校で学びました。この時期、生活は厳しく、イラストレーターとして少しずつ仕事を得ながら生計を立てていました。
書籍の挿絵の仕事を受け持ちながら生活するなか、1894年の年末にパリの大女優であるサラ・ベルナールのためのポスター《ジスモンダ》を手掛けることになりました。
このポスターが評判となって彼女と正式に契約を結び、6年間にわたり彼女のためのポスター・舞台装置・衣装・ジュエリー・ヘアスタイルまで手掛け、彼女の名声をさらに高めるとともに、自身もアール・ヌーヴォーの代表的な作家として躍進します。
アルフォンス・ミュシャの芸術は、アール・ヌーヴォーの象徴として広く知られる一方で、チェコ民族の文化的象徴としても深い意味を持っています。
成功を収めた以降祖国チェコのための作品に力を入れ、1911年にスラヴ民族の歴史を描いた連作《スラヴ叙事詩》の制作を始めるも、1918年オーストリア・ハンガリー帝国が崩壊し、新しく建国されたチェコスロヴァキア共和国の国章、郵便切手と紙幣のデザインを無償で引き受けます。
1928年、プラハのヴェレトルジュニー宮殿における展覧会の際には、プラハ市に《スラヴ叙事詩》全20点を寄贈しました。1931年プラハ城の聖ヴィート大聖堂のステンドグラスをデザインし、1939年7月14日、78歳でプラハにてこの世を去りました。
彼の作品は繊細で装飾的なスタイル、優美な女性像、自然モチーフ(花や植物など)、そして柔らかな色調で知られており、現在も多くの人々に愛され、広く親しまれています。
本展覧会について
連作装飾パネル《四季:春、夏、秋、冬》 1896年 チマル・コレクション
ミュシャの多彩な芸術活動に焦点を当てた本展では、貴重な直筆作品約60点をはじめ、お菓子や香水のパッケージ、宝飾品など代表的なポスター作品にとどまらない魅力を紹介します。
チェコ在住の個人コレクターであるズデニェク・チマル博士のコレクションから、初来日作品約90点をふくむ約170点の選りすぐりの作品が楽しめます。
初来日のチマル・コレクション約90点をお披露目
書籍『装飾アルバム』より《ビザンティン》(pl.46) 1900年 チマル・コレクション
書籍からプロダクトデザイン、素描や水彩、油彩画と多岐にわたる初来日作品をご覧いただけます。
本展の出品作品約170点のうち、半数以上となる約90点が初来日作品です。
直筆作品を多数ご紹介
リトグラフとは異なり、唯一無二の 貴重な直筆作品を約60点ご紹介します。
チマル・コレクションが誇るオリジナル作品の数々からミュシャの生の線をお楽しみください。
ミュシャの「デザイン」の仕事に注目
ルフェーヴル=ウティール社ビスケット(ブドワール)缶のパッケージ 1900年 チマル・コレクション
《ジスモンダ》をはじめとして、ポスターや装飾パネルが有名なミュシャ。
代表的なポスター作品だけでなく、挿絵やお菓子のパッケージ、装飾品や装飾の資料集を紹介します。ミュシャ作品に特徴的な優美な女性像と花々を組み合わせたグラフィックによるデザインの、絵画とは異なる魅力をお楽しみください。
自画像、家族や友人との写真、学生時代の直筆ノートも展示
作品にとどまらない、プライヴェートなミュシャの姿に迫ります。
画家の友人であり、親交が深かったポール・ゴーガン(1848-1903)との写真や、本展の出品作品である油彩画《エリシュカ》のモデルとなった 、16歳のエリシュカ・ポリーフカの写真も紹介します。油彩画作品とあわせてご覧ください。
最後に
会期中には、横浜ゆかりの演奏家たちが、ミュシャ展にちなんだ曲などを演奏してくれる「クラシック・ヨコハマ2024ミュージアムコンサート」をはじめ、ミュシャの作品をモチーフに、アーティフィシャルフラワー・プリザーブドフラワーでリースやブーケを制作するワークショップ「ミュシャ色の花たち」、学芸員によるギャラリートークが開催されます。
ぜひホームページをチェックして会場に足を運んでみてはいかがでしょうか?
展覧会情報
展覧会「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」
会期:2024年11月23日(土・祝)〜2025年1月5日(日) 会期中無休
会場:そごう美術館
住所:神奈川県横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店 6F
開館時間:10:00~20:00
※12月31日(火)、1月1日(水・祝)は18:00閉館
※入館はいずれも閉館30分前まで
入館料:一般 1,400円(1,200円)、高校・大学生 1,200円(1,000円)、中学生以下 無料
※( )内は、前売・公式オンラインチケット、セブンチケット、ローソンチケット、イープラス、チケットぴあなどの料金
※前売券は、11月22日(金)まで、そごう美術館および上記のチケットサービスにて販売
※障がい者手帳各種の所持者および同伴者1名は無料
ホームページ:「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」
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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。
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