STUDY
2023.7.14
印象派の指導者マネの人生って?作品の特徴と見どころも紹介!
19世紀のフランス画家のマネは、伝統的な絵画から飛び出し、感覚的な表現を重視する作品を多く残しました。マネの作風はのちに続く印象派の画家に大きな影響を与えたため、印象派の指導者と称されることもあります。
『草上の昼食』, Public domain, via Wikimedia Commons
マネの芸術を知ると、印象派や近代アートの理解を深めることができます。この記事では、マネの人生や作品の特徴、見どころをわかりやすく解説します。
新しい芸術を貫いたマネの人生
ナダールによるマネの肖像写真(1867), Public domain, via Wikimedia Commons
エドゥアール・マネ(1832-1883年)は裕福なフランスの家庭に生まれ、伯父の影響で芸術の道に興味を持ちます。マネは、20代前半の修行時代から芸術に対する独自の考えを持っており、「見たものをそのまま表現すること」が大切だと考えていました。
1869年から1875年にかけては、マネを慕って集まったモネやルノワールなどの若手画家とともに「バティニョール派」と呼ばれる芸術グループおよびアトリエを形成します。バティニョールの名は、パリの地区からつけられ、マネはアトリエに集まった芸術家たちと友人関係を構築します。
しかし、新しい芸術発表の場を設けてパリのサロンから脱しようとする他の印象派芸術家たちに反し、マネはサロンで評価を受けることを重視していました。マネは芸術キャリアの方向性の違いから、結果的にアトリエを去ります。実際、1874年にモネ、ドガ、ルノワールなどによって開かれた「第一回印象派展」に、マネは参加しませんでした。
伝統的なサロンに革新的な芸術を出品し続けたマネは、批判を浴びながらもいくつかも入選作を残しました。16歳のときのブラジル渡航が原因で患った病が原因となり、マネは51歳で亡くなります。
死後に開催された1889年のパリ万博では、マネの『オランピア』が展示され、アメリカ人収集家に購入されそうになりました。マネを尊敬していたモネは、作品を購入しルーブル美術館に展示することで、代表作の国外流出を防ぎました。
『オランピア』, Public domain, via Wikimedia Commons
マネの芸術の特徴は「平面性と輪郭」
『バルコニー』, Public domain, via Wikimedia Commons
マネの絵画は「平面的な色彩」と「明確な輪郭」が特徴です。これは、当時の芸術界のスタンダードからは大きく離れており、マネの革新性は批判の対象になりました。19世紀中ごろのヨーロッパ芸術界では、理想化された芸術が主流だったためです。
当時流行していた芸術は「アカデミック美術」と呼ばれ、神話や想像上の情景などの理想的な主題を、理想的な形で表現する芸術です。一方マネは、伝統的で格式的な芸術界に新たな風を吹き込もうとしますが、何度もサロンに落選します。
マネが生涯ライバル視していたアレクサンドル・カバネルの作品と比べると、マネの作品の輪郭がいかに強烈で、平坦な色彩で構築されているかわかります。アカデミック画家のアレクサンドル・カバネルは、マネが落選した1863年のサロンで『ヴィーナスの誕生』を発表し、絶賛されました。
※参考:アレクサンドル・カバネル『ヴィーナスの誕生』, Public domain, via Wikimedia Commons
マネの作品は、色彩や実線の使い方だけでなく、作品の主題についても伝統的な絵画と大きく異なりました。神話や想像上の場面が好まれたサロンにおいて、マネはパリの市民生活の情景を切り取って作品に描いたためです。
マネ作品の見どころは「“見たまま描く”信条」
『フォリー・ベルジェールのバー』, Public domain, via Wikimedia Commons
マネの作品の見どころは、描かれた人物の表情です。マネが若年期より提唱してきた「見たままに描く」という信条は、しばしば批評を集める原因となります。
とくに肖像画では、描かれた人物は魂が抜けたように映るマネの絵画は低く評価されることがありました。理想化された芸術をとおして描かれる“肖像画”に慣れていた当時の人々にとっては、当然の反応かもしれません。
マネは、意図的に不愛想に描いたわけでも、豊かな表情を描く技量がなかったわけでもありません。ただ「見たまま描く」信条に沿って、目の前にいる人物の表情を誠実に表現しようとしました。
マネ作品に見られる人物のアンニュイな表情は、近代の人の生活への無関心さをそのまま映しただけに過ぎません。「理想化」と逆行するマネの芸術においてはごく自然な表現だったのでしょう。
作品を鑑賞する際は、人物の表情に注目すると、マネの目を通して当時のパリの息吹が感じられます。現代のわれわれと同じように、生活に疲れ、悩み、それでも楽しく生きようとする人々がいたことがわかりますね。ぜひ鑑賞の際は、表情を観察してみてください。以上、マネの人生と作品の特徴、見どころについてでした!
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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