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2023.7.20

ポスト印象派画家・セザンヌの人生とは?作品の特徴と見どころを紹介!

ポスト印象派画家のセザンヌは、モネやルノワールなど同世代の印象派画家とともに活動した経歴をもちます。現在では「ポスト印象派」の位置づけでくくられることが多く、近代芸術の新しい絵画様式を確立する中心人物でした。

セザンヌ『玉ねぎのある静物』, Public domain, via Wikimedia Commons

セザンヌはキュビズムのような20世紀の芸術にも大きな影響を与えたと言われます。この記事では、革新的な芸術を追求したセザンヌの人生、作品の特徴、見どころを紹介します。

ポスト印象派セザンヌの人生とは?

セザンヌ『自画像』, Public domain, via Wikimedia Commons

ポール・セザンヌ(1839-1906年)は南フランスの銀行家の家に生まれました。1861年に画家を志しパリへ移ったことがきっかけで、モネやルノワールなどの印象派画家と交流を持つようになります。
若きセザンヌは、ドラクロワのロマン主義、クールベの写実主義、真似の印象派などさまざまな作風の影響を受けます。パリに出た当初は暗い色調でしたが、印象派画家ピサロとともに屋外で作業するようになってから、明るい作風に変化しました。
セザンヌは1870年代の自身の芸術を振り返り、「ピサロが与えた影響が大きかった」と述べています。セザンヌは他にもモネの非凡な才能に賛辞を述べており、刺激的な環境で芸術の技術や考え方を磨いていたことがわかります。
1880年代からは、セザンヌは印象派と距離を置き独自の絵画路線を追求し始めました。セザンヌにとって、印象派は光の変化にばかり着目し、そこにある対象物の表現自体が不十分に感じられたためです。

セザンヌの作品の特徴は「時代ごとの作風の違い」

セザンヌ『男性水浴図』, Public domain, via Wikimedia Commons

セザンヌ作品は、活動時期によって作風が変わる特徴があります。一般的には、次の4段階で分類します。

1858-1871年:アカデミック美術・ロマン主義期
1872-1877年:印象派期
1878-1887年:構成主義期
1888-1906年:総合期

アカデミック美術・ロマン主義の時代は、セザンヌがパリに出る前の芸術です。セザンヌがパリに到着したころは、暗い色調のロマン主義的作風でした。1872年以降、パリの印象派画家との交流を通して明るくいきいきとした色彩に変化します。
そして1878年以降は、印象派から離れ光の効果だけでも物体そのものに焦点を当てる芸術に移行します。この頃のセザンヌの作品は、「構築的筆致」と呼ばれる筆遣いが特徴です。構築的筆致とは、色調の微妙な変化を、斜めに平行な筆を並べて構築する技法です。

セザンヌ『メダンの館』, Public domain, via Wikimedia Commons

この時期の作品『メダンの館』ではとくに構築的筆致の特徴が感じられますね。
光を重視するあまり対象物の存在感が失われた印象派の問題点を克服するために、ルノワールは輪郭線を復活しました。それに対しセザンヌは、対象物を平面的な集合体として描いた特徴があります。1878年以降の美術では、はっきりとした対象物の存在感が表現され、力強い作風となりました。

セザンヌの作品の見どころは「デフォルマシオン」

セザンヌ『『果物籠のある静物』』, Public domain, via Wikimedia Commons

セザンヌ作品の見どころは、印象派の問題点を解決するために到達した平面的な物質の認識から生まれる「デフォルマシオン」です。これはセザンヌの1880年代の静物画にとくに良く見られます。
デフォルマシオンとは、対象を意図的に変形して主観的に表現することです。セザンヌの場合、1つの絵画作品のなかにさまざまな視点を混在させることで独特な世界を表現しています。傾いているポット、横からまっすぐ見たように描かれた果物籠、まえのめりになった壺など、現実世界の構造とは逸脱した表現が特徴です。
セザンヌは、「自然な絵」を描くためには対象の模写だけでは不十分と考えていました。彼にとって「自然な絵」は、視覚的な情報以外にもいくつかの感覚を統合して実現することで表現されるものだったからです。視覚で得た情報を自身の内部で再認識し、それを絵画表現に放出することが、セザンヌにとっての絵画でした。
緊張感のある不安定さはデフォルマシオンの特徴です。初めは不思議な印象を受けるかもしれませんが、セザンヌの絵画の考え方を知ると納得できますね。
1878年以降のセザンヌ作品を鑑賞する際は、デフォルマシオンに注目してみてくださいね!以上、セザンヌの人生、作品の特徴、見どころについてでした。

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はな

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3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経て2021年秋よりイタリアの大学で美術史修士課程に進学予定。フリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経て2021年秋よりイタリアの大学で美術史修士課程に進学予定。フリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

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