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2023.8.4

印象派・ポスト印象派画家ルノワールの人生とは?作品の特徴と見どころも

ルノワールはフランスの印象派の画家です。後期には作風が変化したため、ポスト印象派として語られることもあります。

ルノワール『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』, Public domain, via Wikimedia Commons

ルノワールの作品は、生涯のうちに大きく作風が変化したため、年代によって異なる魅力があります。この記事では、ルノワールの人生、作品の特徴と見どころをわかりやすく紹介します。

フランスの印象派・ポスト印象派画家ルノワールの人生

ルノワール『ポン・ヌフ』, Public domain, via Wikimedia Commons

ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919年)は、フランスの貧しい家庭に生まれました。13歳のころから陶磁器の絵付け職人になるための訓練を受け、若くして働き始めます。

産業革命のあおりで絵付け職人の仕事を失ってからは、20歳で画家になる決意をするまで、主に扇子装飾などの職人として生計を立てていました。

パリでアトリエに入って修行していた際、ルノワールはモネやシスレーと交流を持つようになります。周囲の画家仲間と共鳴しながら、ルノワールは伝統的なアトリエの指導方針よりも、自由な色遣いを大切にする印象派への道に進んでいきました。

ルノワール1860年代に数回サロンに作品を提出し、何度も入選を経験しています。この頃のルノワールの作品はクールベやドラクロワのような「アカデミズム絵画」(欧州の伝統的な形式主義的な絵画)要素が強い点が特徴です。

1874年には、「第1回印象派展」に『踊り子』、『桟敷席』、『パリジェンヌ(青衣の女)』など合計7作品を出品しました。ルノワールは、1876年、1877年に開催された第2回、第3回印象派展でも多くの作品を出品し、その後もサロン回帰などを経ながら複数回印象派展に参加しています。

ルノワール『桟敷席』, Public domain, via Wikimedia Commons

しかし、晩年は印象派から離脱し始め、独自の作風を確立しました。モネに代表される印象派では、光の変化や瞬間的な風景描写に集中しているのに対し、ルノワールは作中の人物を豊かに描くことに力を入れています。

晩年のルノワールの作品は、温かみのある芳醇な色彩で平和な主題が特徴です。穏やかな作風は、ルノワールが追求した「見る人が喜ぶ絵を描く」価値観が明確に表れています。

ルノワールの作品の特徴とは?

ルノワール『2人の姉妹(テラスにて)』, Public domain, via Wikimedia Commons

ルノワールは、印象派の瞬間的な光の表現を残しつつ、はっきりと対象物を描く特徴があります。

ルノワールは印象派展に参加していたことや、色彩を重視する傾向があるために、しばしば印象派と分類される画家です。一方で、輪郭線を明示しない印象派の作品に比べると、明確に描かれる人物像はポスト印象派の特徴を備えています。

ルノワールの1883年ごろの手紙によると、彼は印象派としての自身の作品を「印象主義をとことんまで追いつめていった結果、自分はもう絵を描くこともデッサンをすることもできないのではないかという結論に達した。」と話しています。

もともと人間の肉体、とくに女性の身体に強い関心を示していたルノワールにとっては、輪郭を定義しない印象主義では表現に限界があったのでしょう。ルノワールが印象派路線を外れたときに指針となったのは、当時サロンで人気の高かったアカデミズム主義や新古典主義絵画でした。

ルノワールの作品の見どころ

ルノワール『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』, Public domain, via Wikimedia Commons

ルノワール作品の見どころは、時代ごとに変化する画家の作風です。初期の印象派時代は、色彩を重視し外の生き生きとした光を描くことを大切にしました。

ルノワールの代表作の1つである『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』は、この時期のルノワール作品の特徴がはっきりと表れています。人物の輪郭線はぼやけており、豊かで明るい陽射しと躍動的な風景が見どころです。

印象派から距離を取り始めた「アングル期」と呼ばれる時代には、ルノワールの作品はより新古典主義的になります。この頃の作品は、『雨傘』に見られるように、輪郭線を明確に描いたために冷たい印象があると評価されることもあります。

ルノワール『雨傘』, Public domain, via Wikimedia Commons

1890年代以降には、「アングル期」を経て獲得した輪郭線を優しく残しつつ、明るい色彩で生き生きした作品が描かれました。1918年の『浴女たち』に代表されるように、穏やかな作風は見る人に元気を与えますね。

ルノワール『浴女たち』, Public domain, via Wikimedia Commons

ルノワールの作品を鑑賞する際は、作風の変化に注目してみてください。以上、画家ルノワールの人生、作品の特徴、見どころについてでした!

【写真7枚】印象派・ポスト印象派画家ルノワールの人生とは?作品の特徴と見どころも を詳しく見る

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はな

はな

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

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