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STUDY

2023.10.6

マサッチョの人生って?初期ルネッサンス画家の作品の特徴と見どころ紹介

マサッチョはイタリア初期ルネッサンスの3人の祖の1人です。建築家ブルネレスキ、彫刻家ドナテッロとともに、ルネッサンスの礎を築きました。

マサッチョ,『イエスの磔刑』, Public domain, via Wikimedia Commons

マサッチョは非常に短命で、画家としてのキャリアは長くはありませんでした。しかし、後世に与えた影響は計り知れないほどです。この記事では、マサッチョの人生、作品の特徴と見どころをわかりやすく紹介します。

マサッチョの人生

マサッチョの肖像, Public domain, via Wikimedia Commons

マサッチョ(1401-1428年)はフィレンツェ郊外に生まれました。同時期にフィレンツェ周辺で活躍していたマソリーノが初期の師匠であったとする説もありますが、作風の違いから否定する意見もあるようです。

マソリーノとマサッチョはいくつか「共同制作」と思われる作品を残しています。1424年に制作された『聖アンナと聖母子』がその1つです。マサッチョよりも年長であったマソリーノは、後期ゴシックのスタイルを強く残していたのに対し、マサッチョはルネッサンス的な作風に進んでいきました。

ルネッサンス的な作風とは、遠近法を用いた空間把握や、解剖学を意識した人体表現です。1420年代に制作されたサンタ・マリア・デル・カルミネ大聖堂ブランカッチ礼拝堂(フィレンツェ)のフレスコ画では、遠近法による背景理解がはっきりとみてとれます。

サンタ・マリア・デル・カルミネ大聖堂ブランカッチ礼拝堂(フィレンツェ), Public domain, via Wikimedia Commons

ブランカッチ礼拝堂もまた、マソリーノとマサッチョの合同制作でした。完成しなかった部分もあり、1480年代にフィリッピーノ・リッピが加筆して完成させました。

マサッチョは、27歳の若さで亡くなります。才能を妬んだ同業者の毒殺とする説もありますが、真相は定かではありません。短い人生のなかでも多くの作品を残し、ルネッサンスの礎を築いたマサッチョは、後世の芸術家に高く評価され続けました。

マサッチョ作品の特徴:遠近法

マサッチョ,『貢の銭』,サンタ・マリア・デル・カルミネ大聖堂ブランカッチ礼拝堂(フィレンツェ), Public domain, via Wikimedia Commons

マサッチョ作品の特徴は、遠近法です。マサッチョ以前の後期ゴシック時代では、遠近法を用いた写実的な表現ではなく表象重視の荘厳な絵画が主流でした。

マサッチョは、現実に見える世界を二次元の絵画に落とし込むために、遠近法を用いた作品を制作します。遠近法(透視図法)とは、遠くのものが小さく見えたり、角度によってものの長さが変わって見えたりする原理です。

三次元で構成される世界を二次元で写実的に表現するためには遠近法が必要だと考えたマサッチョは、緻密な計算のもと絵画構成を決めました。

1427年頃にフィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会に描かれたフレスコ画『三位一体』には、建築における「奥行きの表現」が最も明確に感じられます。

マサッチョ,『三位一体』, Public domain, via Wikimedia Commons

同時期に活躍し、マサッチョと同じようにルネッサンスの祖と言われる建築家ブルネレスキも、『三位一体』の遠近法の計算を手伝ったと言われます。現代では当たり前に思える概念ですが、その当時の芸術家にとっては大きな発明(古代からの再発見)でした。

マサッチョ作品の見どころ:空間表現

マサッチョ,『三位一体』透視図法, Public domain, via Wikimedia Commons

遠近法を重視したマサッチョの作品の見どころは、空間表現です。マサッチョの描く絵画は、建物の構造を巧みにしようして視覚的にわかりやすい奥行きを演出しています。

建築物が含まれる絵画作品では、建物のラインを遠近法の原理に基づいて縮小・拡大することで「空間」が演出されます。もちろんラインだけでなく陰影も重要で、光源を設定し明るい場所と暗い場所を描き分けました。

緻密な計算と繊細な筆致により、マサッチョの作品はそれまでの平面的な芸術を脱し、より写実的な世界観に到達します。奥行きのある空間に配置される人物にも写実主義を追求し、解剖学に基づいた筋肉の表現や、ドレープ(服のひだ)の豊かな陰影が見られます。

マサッチョの作品を鑑賞する際は、空間表現はもちろん、統一感を生み出すための繊細は陰影表現にも注目してくださいね。以上、マサッチョの人生、作品の特徴と見どころについてでした。

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はな

はな

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

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