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STUDY

2024.7.4

KENZOの創始者・髙田賢三はどんな人?独自のスタイルの魅力

1970年代、パリのファッションシーンを牽引したKENZO(ケンゾー)の創始者である髙田賢三(たかだ・けんぞう)。

彼は、日本人のファッションデザイナーとしていち早くパリに進出し、ポップで艶やかな色、大胆で華やかな柄、ロマンティックでゆったりしたシルエットなど、斬新なアイデアで常識を打ち破るスタイルを次々と生み出し、ファッションデザイナーとして確固たる地位を築きました。

この記事では、髙田賢三の紹介だけでなく、70年代のファッション、彼がもたらした影響と成功、そして彼が生み出した数々の作品をお届けします。

1971-1972秋冬 文化出版局 ©装苑 1972年1月号 撮影:岩田弘行

KENZO(ケンゾー)創始者:髙田賢三 (たかだ・けんぞう) とは?

髙田賢三 2016 年撮影 毎日新聞社

髙田賢三(たかだ・けんぞう)は文化服装学院に入学し、1960年に若手デザイナーの登竜門「装苑賞」(第8回)を受賞。卒業後、三愛に就職するも3年ほど働いたあと、1970年に単身でフランスにわたり、パリで自らのブランドを立ち上げました。

木綿の新しい可能性を打ち出したことで、「木綿の詩人」と称され早くから注目を集めた髙田賢三。その後も身体を衣服から解放させることを意識し、直線裁ちの着物袖やダーツをなくしたゆとりある服を生み出します。独特の色使いや柄の組み合わせを用いた「色彩の魔術師」と称されるなど、日本人としての感性を駆使したスタイルを数多く発表しました。

それらは、国境や文化、性別を自由に超え、これまでの西欧中心の伝統文化にとらわれない新しい衣服を示唆することとなり、今もなお世界中で愛されています。

70年代のファッション

1971-1972 秋冬 文化出版局 ©High Fashion 1971年10月号 撮影:大西公平

1970年代をきっかけに大きく社会が変化し、ファッションのトレンドは「多様化」し、バリエーションの時代へと突入していきます。

中でも、プレタポルテ(※)のコレクションの傾向も徐々に多様化していきました。デザイナーが思い思いにコレクションを発表し、個人が自分の好きなデザインを選ぶ、そして着る、それがファッションとなるという流れを築きました。

※「プレタポルテ(prêt-à-porter)」は、フランス語で「既製服」を意味し、高級ファッションブランドが制作する即座に購入して着用できる衣服のことを指します。これは、オーダーメイドの高級服(オートクチュール)とは対照的に、大量生産され、さまざまなサイズで販売される衣服です。

髙田賢三の影響と成功

髙田賢三のアプローチは、パリのファッション界に新しい視点をもたらします。既成概念を打ち破るデザインで若者をはじめ、世界中の多くの方々の心を掴みました。彼の影響と成功は、既存の伝統主義を超えたオリジナリティとクリエイティビティが如何に重要であるかを表しています。

若者向けデザイン

髙田賢三のデザインは、カラフルで大胆なプリント、リラックスしたシルエット、そして多文化的な要素を取り入れたもので、これが若者に受け入れられました。彼のデザインは伝統的なパリのファッションシーンに新風を巻き起こしました​。

伝統を超えるオリジナリティ

髙田賢三は、当時のフランスファッション界で主流だった保守的なスタイルから逸脱し、自由でクリエイティブなデザインを構築した特徴があります。これにより、KENZOはすぐに国際的な注目を集め、ほかにはないオリジナリティのあるスタイルを築きました。

パリでのプレタポルテ成功

パリでのプレタポルテ成功

KENZO(ケンゾー)・髙田賢三による数々の作品

1982-1983 秋冬 ©RICHARD HAUGHTON

高田賢三が立ち上げたKENZO(ケンゾー)のファッションは、70年代のパリコレクションで中心を担い、常に話題を提供する存在だったそうです。

例えば、1つのシーズンのコレクションに民族スタイルを取り入れたフォークロアスタイル、クラシカルなベーシックスタイル、軽快なスポーティースタイルなどいくつかの柱があり、さらに若者ファッションのセンスを取り入れるなど、さまざまなジャンルを提案しました。

色彩の大胆な使用

1975-1976秋冬 文化学園ファッションリソースセンター

高田賢三は鮮やかで大胆な色使いを得意としており、彼のデザインの特徴は多くの色が融合している点です。彼の作品は視覚的に非常に魅力的で、エネルギーと活気に満ちています。

プリントとパターン

1975-1976秋冬 文化学園ファッションリソースセンター

花柄、動物柄、幾何学模様など、多種多様なプリントとパターンを多用しています。これらのプリントは彼の作品のシグネチャーとも言えます。

異文化の融合

1987春夏 文化学園ファッションリソースセンター

高田賢三は、日本の伝統的なデザイン要素を持ちながらも、アジア、アフリカ、東ヨーロッパなどの世界各地の民族衣装を取り入れたデザインを融合させたデザインを生み出すことに長けていました。

自由なシルエット

1984春夏 文化学園ファッションリソースセンター

彼のデザインは、身体のラインを強調しないリラックスしたシルエットが特徴です。これは着心地の良さを重視していることを反映しています。

自然素材の使用

高田賢三は、自然素材を使用することを好み、これにより彼の作品には自然な質感と持続可能性が感じられます。

最後に

初のブティック JUNGLE JAP の店内装飾 1970 年 撮影:岩田弘行

この夏、東京オペラシティアートギャラリーにて、衣装展示を通じて髙田のファッションの変遷をたどるとともに、幼少期から描いてきた絵画やアイデアの源泉となった資料、衣装のデザイン画などを紹介する展覧会『髙田賢三 夢をかける』が開催されます。

その人柄を物語るトピックを織り交ぜながら、日本人デザイナーのパイオニアとして世界で活躍した髙田賢三。彼の創作活動を多角的な視点で回顧する本展覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

髙田賢三 夢をかける
会期:2024年7月6日(土)~9月16日(月・祝)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2)
開館時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、8月4日(日・全館休館日)
詳細:髙田賢三 夢をかける

【写真9枚】KENZOの創始者・髙田賢三はどんな人?独自のスタイルの魅力 を詳しく見る
新 麻記子

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

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