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2024.2.14
キリスト教美術:マグダラのマリアとは?見分ける目印と主な主題を紹介
マグダラのマリアは、キリスト教美術でよく目にする聖人の1人です。新約聖書によれば、イエスの十字架の死を見守り、復活に立ち会ったことで知られます。
「罪の女」といわれるマグダラのマリアは、美術にどう描かれるのでしょうか。この記事では、西洋美術(カトリック)の観点から、マグダラのマリアを理解するための目印と、主な主題を紹介します!
マグダラのマリアの目印:長い髪と油壷
ティツィアーノ『マグダラのマリア』, Public domain, via Wikimedia Commons
マグダラのマリアは、長い髪が特徴です。一般的にはブロンドで描かれることが多く、長く豊かな髪をおろした状態で描かれます。
新約聖書によれば、マグダラのマリアは「罪深き女」で「改悛した女」です。マグダラのマリアは、裕福な家庭に生まれ、美貌と富から快楽におぼれた人生を送ってきましたが、イエスに出会いこれまでの人生を悔やんで改悛し、神のために生きることを決めたためです。
女性の長い髪は結んだり布で覆ったりすることが多いなか、長くおろされた髪は、娼婦を彷彿とさせます。周辺にジュエリーが散乱していることもあり、財宝や贅沢な服飾品は過去の「富への執着」を象徴しています。
髪が目印となっている理由は、それだけではありません。聖書のなかでマグダラのマリアは、イエスの足に香油を塗って洗い、自分の髪で水をふきとったと言われます。このことから、マグダラのマリアは髪が長く、香油壺が近くに描かれることが一般的です。
また、朱色のような赤い色の服をまとっている場合や、全裸で描かれる場合もあります。赤い服は、改悛を意味します。全裸で描かれるのは「罪を悔やんで洞窟にこもって何年も過ごした」という伝説がもとになっているようです。
実は、マグダラのマリアの図像の根拠を聖書に求めるのは簡単ではありません。複数の登場人物(マリアという名のほかの聖人や、無名の女性)と混同され、さまざまなストーリーが組み合わされて現在のマグダラのマリア像が出来上がっているためです。
『イエスの磔刑』のなかのマグダラのマリア
マサッチョ『イエスの磔刑』, Public domain, via Wikimedia Commons
『イエスの磔刑』には、多くの場合マグダラのマリアが描かれます。マグダラのマリアは赤い服を着て髪をおろしていることが多く、イエスの死に対して感情的なリアクションをしていることが一般的です。有名なマサッチョの『磔刑』では、両手を大きく広げてイエスの足もとにひざまずいています。
マグダラのマリアが「罪の女」でありながら、キリスト教におけるもっとも重要なイエスの受難シーンに登場することは、キリスト教の基本的な考えを示しているように思えます。マグダラのマリアの存在は、罪を犯した人間であっても、悔い改めれば救いの道は拓けるというメッセージなのです。
『イエスの復活』のなかのマグダラのマリア
フランジェリコ『Noli me tangere』, Public domain, via Wikimedia Commons
『イエスの復活』にも、マグダラのマリアが登場します。新約聖書によれば、イエスは磔刑にかけられて絶命したのち埋葬されましたが、3日後に復活したと言われます。
復活したイエスはマグダラのマリアの前に姿を現しますが、マリアがイエスに気づきすがろうとすることを制します。「Noli me tangere(ラテン語『私に触れるな』)」はこのシーンの有名なセリフです。
イエスの復活に驚き喜ぶマグダラのマリアの対し、イエスは復活したあとの自分はもはやこれまでの人間ではなく神であることを告げます。そして、神と人間のコンタクトはもはや身体的なものであるべきではなく、心と心のつながりを大切にする必要がある、だから「Noli me tangere(私に触れるな)」と伝えたのです。
罪深い存在でありながら、イエスの死と復活を目撃したマグダラのマリア。彼女の姿は、変えられない過去の罪に苦しむ信徒にとって、希望に映ったのでしょう。
以上、キリスト教美術のなかのマグダラのマリアの解説でした!
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イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
イタリア・ローマ在住美術ライター。2024年にローマ第二大学で美術史の修士を取得し、2026年からは2つめの修士・文化遺産法学に挑戦。専攻は中世キリスト教美術。イタリアの前はスペインに住んでいました。趣味は旅行で、訪れた国は45カ国以上。世界中の行く先々で美術館や宗教建築を巡っています。
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