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2025.3.7
『西洋絵画、どこから見るか?』ルネサンスから印象派まで西洋絵画600年の歴史が明らかになるどこみる展。あなたはどこから見る?
『西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館』(略称「どこみる」展)が、2025年3月11日より東京・上野公園の国立西洋美術館にて開催されます。
目次
フランシスコ・デ・スルバラン《聖母子と聖ヨハネ》 1658年 油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 © The San Diego Museum of Art
サンディエゴ美術館と国立西洋美術館の所蔵品計88点を組み合わせ、「作品をどのように見ると楽しめるか」という観点から、ルネサンスから19世紀末までの西洋美術の歴史を紹介する展覧会です。
ともに非ヨーロッパ圏においてヨーロッパ美術を収集。サンディエゴ美術館と国立西洋美術館とは?
サンディエゴ美術館外観 © The San Diego Museum of Art
まずサンディエゴ美術館と国立西洋美術館とはどのような美術館なのでしょうか。カリフォルニア州の最南端に位置するサンディエゴは、スペインからの植民者によって築かれた町です。そして1926年に開館したサンディエゴ美術館には、ヨーロッパ、南北アメリカ、アジアなど世界各地の美術作品が約32000点も収蔵されています。
そのうち中核となるのはヨーロッパ古典絵画のコレクションです。そのラインナップは他のアメリカの美術館と同じく網羅的でありながら、同国のコレクターの好んだ初期イタリア絵画や、サンディエゴの歴史を反映したスペイン美術に優品が多いことでも知られています。
一方で国立西洋美術館は、実業家・松方幸次郎の収集した西洋美術コレクションの一部がフランスから日本へと寄贈返還されるに伴い、東京・上野公園に1959年に設立されました。その建物(現在の本館)はル・コルビュジエの設計によるもので、ユネスコ世界遺産に登録されています。
当初、1910〜20年代にかけてヨーロッパで収集されたコレクションは、印象派を中心に19世紀から20世紀初頭の絵画と彫刻に限られていました。しかし1960年代末以降、古典絵画の収集がはじまると、現在ではゴシックからロマン主義に至る古典絵画を含む、6000点以上の西洋美術作品を所蔵しています。
主な3つの見どころ。サンディエゴ美術館コレクション全49点は日本初公開!
マリー=ギユミーヌ・ブノワ《婦人の肖像》1799年頃 油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 © The San Diego Museum of Art
主な3つの見どころをご紹介しましょう。まず1つ目は日米2館、総勢88点のコラボレーションで西洋絵画600年の歴史が明らかにされることです。しかもサンディエゴ美術館コレクション49点はすべて日本で初めての公開となります。
2つ目はスペイン美術の名品が勢ぞろいすることです。スペイン美術の宝庫とされるサンディエゴ美術館よりエル・グレコ、スルバラン、 ムリーリョ、ソローリャらの名品が来日を果たします。
フアン・サンチェス・コターン《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》 1602年頃 油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 © The San Diego Museum of Art
最後はスペインの静物画「ボデゴン」の最高傑作とされるフアン・サンチェス・コターンの《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》 が公開されることです。同作はサンディエゴ美術館の顔ともいえる重要な名品。それを日本で鑑賞できるまたとない機会が実現します。
『どこみる』展の構成と出品作品(一部)
【chapter1:ルネサンス】現存作の少ないジョルジョーネの肖像画が公開!
カルロ・クリヴェッリ《聖母子》 1468年頃 油彩/板 サンディエゴ美術館 © The San Diego Museum of Art
西洋近代美術の礎は、14~16世紀にかけて、イタリアとネーデルランド(現在のベルギー、オランダ)で起こった革新運動によって築かれ、ヨーロッパ各地へと広がりました。ここではジョットからボス(工房)まで、両地域におけるルネサンス絵画の展開を探ります。
アンドレア・デル・サルト《聖母子》 1516年頃 油彩/板 国立西洋美術館
聖母子はルネサンスを通じて最も多く描かれた画題の一つ。窓枠のような細長い欄干の向こう側に半身像の マリアが幼児キリストとともに立つタイプは、 とりわけ15世紀後半に好まれました。
ヴェネツィアで絵を学んだクリヴェッリは、イコン画に由来する天の女王としてのマリアを威厳に満ちた存在として描き出します。一方フィレンツェの盛期ルネサンスを代表するデル・ サルトは、愛情豊かな母としてのマリアをより身近な存在として表現しました。
ジョルジョーネ《男性の肖像》 1506年 油彩/板 サンディエゴ美術館 © The San Diego Museum of Art
ジョルジョーネは、ヴェネツィアにおける盛期ルネサンス絵画の創始者とされる画家です。緻密な細部の描写と柔らかい陰影表現を組み合わせ、人物の実在感までを表現した《男性の肖像》は、ルネサンス肖像画の傑作の1点に数えられます。
33歳で若くして世を去ったジョルジョーネの現存作は30点ほどと極めて少なく、国内で展示されることは極めて稀です。本展では、16世紀後半のヴェネツィア絵画を代表するティントレットの肖像画2点とともに展示し、同地における肖像画制作の展開を検証します。
【chapter2:バロック】「ボデゴン」の傑作を並べて展示。スルバランの画業の変遷も。
フアン・バン・デル・アメン《果物籠と猟鳥のある静物》 1621年頃 油彩/カンヴァス 国立西洋美術館
サンディエゴ美術館のバロック絵画コレクションを基に、国立西洋美術館所蔵の作品と組み合わせながら、17世紀美術の展開をスペイン、イタリア及びフランス、フランドル及びオランダと、地域を分けて紹介します。
フランシスコ・デ・スルバラン《神の仔羊》 1635〜40年頃 油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 © The San Diego Museum of Art
17世紀初頭、スペインではボデゴンと呼ばれる独自の静物画が花開きます。その始祖とされる画家サンチェス・コターンは早くして僧籍に入ったため、静物画は6点しか残されていません。
その中でも高く評価される《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》と、コターンの次の世代を代表する静物画家バン・デル・アメンの『果物籠と猟鳥のある静物》、そしてスルバランの「神聖なるボデゴン」と呼ばれる《神の仔羊》を展示します。
スルバランは17世紀スペイン絵画を代表する画家の一人で、多くのカトリック聖人像を描いたことから「修道僧の画家」とも呼ばれます。本展ではサンディエゴ美術館所蔵の4点と国立西洋美術館所蔵の1点を合わせた計5作品を展示。初期のリアリズムから、甘美な理想主義へと転じる晩年までの画業の展開をたどることができます。
【chapter3:18世紀】グランド・ツアーが大流行。都市景観画の魅力とは?
ベルナルド・ベロット《ヴェネツィア、サン・マルコ湾から望むモーロ岸壁》 1740年頃 油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 © The San Diego Museum of Art
この時代の美術をリードしたイタリア絵画とフランス絵画の展開に焦点を当て、両館のコレクションから風景画、肖像画、風俗画それぞれのジャンルにおける地域ごとの特徴を見ていきます。
18世紀ヨーロッパでは、グランド・ツアーと呼ばれるイタリア旅行が流行し、それに合わせてヴェドゥータと呼ばれる都市景観画がもてはやされました。
ユベール・ロベール《マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観》 1786年 油彩/カンヴァス 国立西洋美術館
イタリア人画家ベロットは水の都ヴェネツィアの名所を明るい陽光のもとに描き出します。またフランス人画家ロベールは永遠の都ローマの著名なモニュメントを自在に組み合わせ、ノスタルジックな空想的風景を作り出しました。
【chapter4:19世紀】フランス人画家ブーグローとスペイン人画家ソローリャ。
ウィリアム=アドルフ・ブーグロー《小川のほとり》 1875年 油彩/カンヴァス 国立西洋美術館(井内コレクションより寄託)
本章で着目するのは、19世紀絵画における人物表現です。この時代、古典絵画の伝統と新しい時代の要請する近代性を、それぞれの手法で融合することを目指した画家が活躍しました。
ホアキン・ソローリャ《ラ・グランハのマリア》 1907年 油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 © The San Diego Museum of Art
フランス人画家ブーグローとスペイン人画家ソローリャは、ともに生前からアメリカで高い人気を誇っていました。フランスのアカデミックな伝統に基づき、現実には存在しない理想郷の女性を描き続けたブーグロー。一方でソローニャはベラスケスなどを介して受け継がれたスペイン絵画の写実に基づき、卑近なモデルの何気ない仕草を捉えました。
音声ガイドナビゲーターに、西海岸への留学経験もあるディーン・フジオカさんが就任!
マリー=ガブリエル・カペ《自画像》 1783年頃 油彩/カンヴァス 国立西洋美術館
本展では、両館の所蔵する作品をペアや小さなグループからなる36の小テーマに分けて展示。比較に基づく作品の対話を通して、ルネサンスから印象派に至る西洋美術史の魅力を分かりやすく紹介していきます。
また両館は非ヨーロッパ圏においてヨーロッパ美術を収集した点においても共通します。その点に着目して、それぞれの西洋絵画がどのような目的や理想に基づいて収集されていったのかについても明らかにされます。
本展の音声ガイドナビゲーターに、海を越えてアジアでも活躍中のディーン・フジオカさんが就任。サンディエゴ美術館が位置するアメリカ・西海岸への留学経験もあるディーンさんが、国立西洋美術館のコレクションと、アメリカン・ドリームを背負ったサンディエゴ美術館の魅力を、深みのある優しい声で語ってくれます。
初めての方にも、一歩先の美術鑑賞にもおすすめの『西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館』。ぜひ会場でひとりひとりの「どこみる」を探してみてください。
※画像写真の無断転載を禁じます。
展覧会情報
『西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館』 国立西洋美術館
開催期間:2025年3月11日(火)〜6月8日(日)
所在地:東京都台東区上野公園7-7
アクセス:JR上野駅下車(公園口出口)徒歩1分。京成電鉄京成上野駅下車徒歩7分。東京メトロ銀座線、日比谷線上野駅下車徒歩8分。
開館時間:9:30~17:30(金・土曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、5月7日(水)。ただし、3月24日(月)、5月5日(月・祝)、5月6日(火・休)は開館。
観覧料:一般2300(2100)円、大学生1400(1300)円、高校生1000(900)円、中学生以下無料。
※( )内は前売券料金。前売券は1月2日(木)から3月10日(月)までの販売。
展覧会HP:『西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館』 国立西洋美術館
【京都会場(巡回)】会場:京都市京セラ美術館 会期:2025年6月25日(水)-10月13日(月・祝) ※出品作品が東京会場と異なります。
画像ギャラリー
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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