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2022.3.25
刺激に溢れる現代アートが一堂に!『第25回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)』レポート
日本を代表する芸術家の1人として活躍した岡本太郎。1996年に84歳にて亡くなったのち、岡本の精神を継承し、現代社会に鋭いメッセージを突きつけるアーティストを顕彰するために創設されたのが「岡本太郎記念現代芸術大賞」(2006年に岡本太郎現代芸術賞に改称)です。
目次
その「岡本太郎現代芸術賞」、通称「TARO賞」が、今年も川崎市岡本太郎美術館にて開催中です。岡本といえば「芸術は爆発だ」の言葉でも知られていますが、まさにエネルギッシュな現代美術作品が展示されています。見どころをレポートします。
今年で25回目を迎えた「岡本太郎現代芸術賞」。最高賞の岡本太郎賞は吉元れい花の『The thread is Eros, It's love!』
まずは「岡本太郎現代芸術賞」、通称「TARO賞」について振り返っておきましょう。1997年に第1回が開催された同賞は今年で25回目。計578点の応募より、専門家によって選ばれた24名(組)の入選作品が公開されています。
同賞の受賞者には過去に山口晃や風間サチコ、さらに近年では冨安由真といった人気アーティストらも名を連ねていますが、絵画や彫刻、インスタレーションなどにとらわれず、幅広いジャンルの作品が扱われているのも特徴です。また応募に関しても年齢や国籍は一切問われません。
吉元れい花『The thread is Eros, It's love!』
そして最高賞である「岡本太郎賞」に選ばれたのは、吉元れい花の『The thread is Eros, It's love!』。すべて刺繍にて作られたインスタレーションです。
吉元れい花『The thread is Eros, It's love!』
今年70歳を迎える吉元は、約35年あまり刺繍作家として活動。2017年に脳溢血にて入院した際、岡本太郎が夢に出てきたことをきっかけに「TARO賞」に応募しようと思ったと話しています。呪術的で艶やかな花や人物などが、鮮やかな刺繍にて象られる光景を目の当たりにできました。
まさかの特大バナナも登場!岡本敏子賞や特別賞を受賞したインパクトのある作品たち
それでは「岡本敏子賞」をはじめ、特別賞や入選作より気になる作品をいくつかピックアップしていきましょう。「こんなところに特大のバナナが!?」と思わず目を丸くしてしまうのが、岡本敏子賞を受賞した三塚新司の『Slapstick』です。バナナの皮が床に転がるすがたを風を送ったバルーンにて表現しています。
写真ではバルーンに見えないかもしれませんが、少し傷んで黒ずんだ皮の表面の質感などは実にリアル。実際に触れることはできませんが、バナナの皮で足を滑らせるどころか、滑り台のようにしてバナナから降りられるほどの大きさでした。
特別賞を受賞した硬軟+stenographersの『速記美術のエレメント』も面白いのではないでしょうか。国会中継や議会で知られる速記者による速記符号を用いた平面や立体の作品を展開。カリグラフィーを思わせるようなイメージが空間全体へと広がっています。速記をドローイングに見立てれば、線自体がまるで魂をもって踊り出しているかのようでした。
今年は彫刻に力作が多い?お気に入り作品を選んで投票しよう
今年の「TARO賞」は彫刻表現にインパクトの強い作品が多かったかもしれません。同じく特別賞の村上力は『異形の森』と題し、巨大なピカソ像を中心とした人型の像や仏像などを展示。麻と漆を使った乾漆の作品の内部は空洞になっていますが、目の前に立てばあたかも動き出すようなリアリティーさえ覚えます。異様なまでに目力を感じるのもユニークでした。
この他、紙粘土や段ボールを用いた岡田智貴の『大覚』や、樟にアクリル絵具を使った中澤瑞季の『Forest』、さらには杉や檜を素材とした野々上聡人の『Drawing』といった入選作も見どころです。
作品は撮影(※)もOK。TwitterなどのSNSへの投稿も可能です。また会場では「お気に入りを選ぼう」として、お気に入り作品を1つだけ選べる投票イベントも行われています。大賞や特別賞といった受賞作だけではなく、まずは無心に作品と向き合いながら好きな表現を探していくのも楽しいかもしれません。
※動画撮影、フラッシュ撮影、三脚・自撮り棒・ジンバル等の機材の使用は不可 。
川崎市岡本太郎美術館で楽しむ刺激に満ちた現代アート
最後に川崎市岡本太郎美術館についてご紹介します。川崎市生まれの芸術家である岡本太郎の芸術作品を展示、収蔵するため、1999年に開館した同館は、多摩丘陵の一角に位置する生田緑地に位置しています。生田緑地は首都圏でも有数の都市計画緑地で、四季の自然を感じられるとともに、日本民家園やかわさき宙(そら)と緑の科学館といった文化施設も点在しています。
美術館は緑地内の高低差のある立地に建てられていて、展示室の大半は地下にあり、地上の最も高い部分にはシンボルタワー「母の塔」が建っています。
太陽の塔のレリーフが出迎えてくれる常設展示室では、岡本の絵画、彫刻、家具などが並んでいて、まるで胎内を連想させるような迷宮的な展示空間が広がっています。その奥の企画展示室が「TARO賞」の会場です。なお常設展示室も基本的に撮影ができます。
岡本太郎の作品とともに、いま最も新しく刺激的な現代美術作品を、川崎市岡本太郎美術館にて楽しんでください。
『第25回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)』 川崎市岡本太郎美術館
開催期間:2022年02月19日 (土)〜2022年05月15日 (日)
所在地:川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内
アクセス:小田急線向ヶ丘遊園駅南口から徒歩約17分。
開館時間:9:30~17:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(3月21日、5月2日を除く)、2月24日(木)、3月15日(火)、3月22日(火)、5月10日(火)、5月11日(水)
料金:一般700円、大学・高校生・65歳以上500円、中学生以下無料。
https://www.taromuseum.jp
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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