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2021.9.1
杉浦非水やゴッホ、日本美術と現代アートの異色のコラボまで!9月に見たい東京都内の展覧会おすすめ5選
まだまだ暑い日が続きますが、9月に入って、朝晩を中心に秋の気配を感じるようになってきました。今月、東京都内では数多くの新たな展覧会がスタート。おすすめの展覧会をご紹介します!
目次
銀座の中心に出現した鮮やかな色彩のインスタレーション!『ル・パルクの色 遊びと企て』
東京・銀座の数寄屋橋交差点近くに位置するエルメス銀座店。そのビルの8階と9階に主に現代アートを中心に扱うギャラリー「銀座メゾンエルメス」があることをご存知でしょうか。
現在、銀座メゾンエルメスでは、フランスを拠点に活動する現代アーティスト、ジュリオ・ル・パルクの日本初個展『Les Couleurs en Jeu ル・パルクの色 遊びと企て』を開催中。ガラスブロックに覆われたスタイリッシュな空間にて、鮮やかな色を伴ったインスタレーションが展開されています。コンセプチュアルな思考に基づいた抽象性の高い作品ながらも、遊び心も感じられるため、現代アートに詳しくなくとも直感的に楽しめるような展覧会です。
なお新型コロナウイルス感染症にともなう銀座店混雑緩和のため、ギャラリーへは店内用のエレベーターではなく、ソニー通り側のエレベーターから入場する形になります。観覧は無料。「ギャラリーなんて行ったことがない…」という方にもおすすめの展覧会です。
『ル・パルクの色 遊びと企て ジュリオ・ル・パルク展』
開催期間:2021年8月13日(金)~11月30日(火)
所在地:東京都中央区銀座5-4-1 銀座メゾンエルメス8、9階フォーラム
アクセス:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅B7出口すぐ。JR線有楽町駅徒歩5分
開館時間:11:00〜19:00(入場は18:30まで)
休館日:不定休
料金:無料
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/
日本画家、川端龍子と現代アーティストが競演!『川端龍子 vs. 高橋龍太郎コレクション』
近代日本画の巨匠と称される川端龍子(かわばたりゅうし/1885〜1966年)。長らく大田区に暮らし、アトリエを構えた龍子は、1963年に自宅前へ美術館を開館。のちに作品と建物が大田区へと寄贈され、現在は大田区立龍子記念館として運営されています。
その大田区立龍子記念館にて行われるのが『川端龍子 vs. 高橋龍太郎コレクション―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃―』。日本屈指の現代アートのコレクターである高橋龍太郎のコレクションを龍子の作品とともに展示します。まさに現代アートとの異色のコラボレーションですが、高橋氏が大田区の蒲田にクリニックを経営し、地域と関係を築いてきたこともあって実現しました。
記念館の前には、龍子自らが設計した旧宅とアトリエが当時のまま保存され、龍子公園として一般に開放されています。開放時間は記念館の開館日の10時、11時、14時の1日3回。30分間自由に見学できます。ありし日の制作を偲ぶ旧宅とともに、同館初の現代アートとのコラボ展を見に行きたいところです。
『川端龍子 vs. 高橋龍太郎コレクション―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃―』 大田区立龍子記念館
開催期間:2021年9月4日(土)~11月7日(日)
所在地:東京都大田区中央4-2-1
アクセス:都営浅草線西馬込駅南口から徒歩15分
開館時間:9:30〜16:30(入場は16:00まで)
休館日:月曜日(9月20日は開館)、9月21日(火)
料金:大人500円、小人250円
https://www.ota-bunka.or.jp/facilities/ryushi
日本のモダンデザインのパイオニア。杉浦非水のデザインに酔いしれる
『東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通』 昭和2年(1927) 愛媛県美術館
明治末期から昭和中期にかけて活躍したデザイナー、杉浦非水(すぎうらひすい/1876〜1965年)を知っていますか? 愛媛県松山市に生まれた非水は、東京美術学校で日本画を学ぶも、在学中に洋画家の黒田清輝がもたらしたアール・ヌーヴォー様式に魅せられことで、図案家としての道を歩みました。
そして三越呉服店の図案図主任をつとめ、同店のポスターやPR雑誌などを担っただけでなく、様々な企業のポスターや雑誌の表紙、本の装幀からたばこのパッケージデザインを手掛けました。その華やかなデザインは当時から人気を集め、いまや日本のモダンデザインのパイオニアとして高い評価を得ています。
たばこと塩の博物館にて開かれる『杉浦非水 時代をひらくデザイン』では、非水の故郷である愛媛県美術館のコレクションを中心に、ポスター、装丁、パッケージデザイン、図案集からスケッチや写真など約300点を公開。非水の魅力を余すことなく紹介します。
なお会期中に展示替えが行われますが、たばこと塩の博物館は観覧料が一般100円。2度鑑賞しても200円と超破格です。前後期あわせて出かけながら、非水のデザインの世界に酔いしれましょう。
『杉浦非水 時代をひらくデザイン』 たばこと塩の博物館
開催期間:2021年9月11日(土)~11月14日(日)
所在地:東京都墨田区横川1-16-3
アクセス:東武スカイツリーラインとうきょうスカイツリー駅より徒歩8分。都営浅草線本所吾妻橋駅より徒歩10分。東京メトロ半蔵門線・都営浅草線・京成線・東武スカイツリーライン押上駅より徒歩12分
開館時間:11:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(9月20日は開館)、9月21日(火)
料金:一般・大学生100円、小・中・高校生50円、65歳以上50円
https://www.tabashio.jp/
人気の若冲や応挙の作品も公開!かわいらしく面白い動物の絵に癒やされる
古くから人々が身近に接し、描き続けてきた動物。たとえ画家でなくとも誰もが一度や二度、好きな動物を描いた経験があるのではないでしょうか。
府中市美術館にて開催される『開館20周年記念 動物の絵 日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり』では、日本の動物絵画の魅力を紹介。あわせて西洋の絵画と比べることで、日本で動物の絵を生んだ土壌を探っていきます。いずれも江戸時代の絵師である伊藤若冲や円山応挙、長沢蘆雪らの作品や、かわいらしい子犬の絵ばかりを集めた「子犬の部屋」、それに近年、美術ファンの間で密やかな人気を集める徳川家光の絵も注目されそうです。
作品は前後期で入れ替えあり。嬉しいことに観覧券を購入すると2度目は半額になる割引券が付いています。おそらくは開催後にWEBにて公開される展示替えリストをチェックしつつ、府中まで出かけましょう。
『開館20周年記念 動物の絵 日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり』 府中市美術館
開催期間:2021年9月18日(土)〜11月28日(日)
所在地:東京都府中市浅間町1-3 都立府中の森公園内
アクセス:京王線東府中駅から徒歩15分。京王線府中駅からちゅうバス(多磨町行き)「府中市美術館」下車
開館時間:9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(9月20日は開館)、9月21日(火)
料金:一般1000円、大学・高校生500円、小・中学生200円
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
世界屈指のゴッホ・コレクションが日本へ。『ゴッホ展—響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』
最後はこの秋、最も注目されそうな西洋美術の展覧会です。オランダのポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890年)の作品を中心とする『ゴッホ展—響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』が、上野の東京都美術館にて開かれます。
これはゴッホの世界最大の個人収集家であるヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869〜1939年)が初代館長を務めたクレラー=ミュラー美術館のコレクションから、選りすぐりの作品が来日するもので、ゴッホの油彩画28点と素描・版画20点が公開されます。ヘレーネはゴッホの没後、まだ評価される途上にあった頃から作品を収集した人物で、その芸術を世に知らせるべく美術館の設立にも情熱を注ぎました。
展示では一連のゴッホの作品に加え、ミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの20点の作品もあわせて公開されます。ヘレーネのゴッホへの愛情から、ゴッホを軸とした近代絵画の展開を良質なコレクションにて追いかける絶好の機会となりそうです。
『ゴッホ展—響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』 東京都美術館
開催期間:2021年09月18日(土)~12月12日(日)
所在地:台東区上野公園8-36
アクセス:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線京成上野駅より徒歩10分
開館時間:9:30〜17:30(入室は17:00まで)
休館日:月曜日、9月21日(火)。ただし9月20日(月・祝)、11月8日(月)、22日(月)、29日(月)は開室
料金:一般2000円、 大学・専門学校生1300円、65歳以上1200円
https://gogh-2021.jp/
※新型コロナウイルス感染症の状況等により、各展覧会の会期や時間の変更、また事前予約など入場の方法が変わる可能性があります。最新の状況は各館のウェブサイト、公式Twitterアカウントなどでご確認ください。
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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